- 教員採用試験の教職教養・一般教養ってどんな内容なの?
- 教員採用試験の教職教養・一般教養の傾向や勉強方法は?
- 教員採用試験の教職教養・一般教養がない自治体(県)はあるの?
このような悩みを解決できる記事を書きました。
本記事では、教員採用試験の教職教養と一般教養の内容から具体的な勉強方法まで徹底解説しています。
教員採用試験の勉強法はいくつもありますが、ひとつの方法として参考にしてください。これから受験対策を始める方はもちろん、勉強方法で悩んでいる方は必見です。
教職教養と一般教養の試験名(呼称)は自治体によって異なります。
- 教養検査(北海道)
- 教職教養(東京都)
- 一般教養・教職専門(神奈川県)
- 総合教養(名古屋市)
- 一般教養(兵庫県)
- 教養試験(福岡県)
なので、試験名だけで何がでるのか決めつけないことが大事です。
たとえば、兵庫県の試験名は「一般教養」ですが出題内容は「教職教養+一般教養」なんですよね…。
【教員採用試験】教職教養と一般教養の内容は?
教員採用試験の内容は幅広く、教職教養と一般教養は筆記試験の一つとして出題されます。
ここでは、教職教養と一般教養それぞれの内容や傾向を解説します。
【教員採用試験】教職教養の内容
教員採用試験の教職教養は、教員として必要な「教育に関する知識や理解を問う分野」です。
多くは大学の教職課程で学ぶ内容ですが、教職課程よりもさらに深く、広範囲な知識が問われるため、違う内容だと思って対策する必要があります。
教職教養の出題科目
教員採用試験の教職教養は、「教育原理」、「教育法規」、「教育心理」、「教育史」の4科目で構成されます。
出題科目 | 内容 |
---|---|
教育原理 | 学習指導要領や生徒指導、学級経営など、教員として必要な教育の考え方や方法に関する分野。 |
教育法規 | 学校や学校教育、教職員などの法律・法令に関する分野。 |
教育心理 | 学習理論、生徒の発達段階、動機づけや認知のプロセスに関する分野。 |
教育史 | 日本や世界の教育の変遷、重要な教育改革や教育思想の流れに関する分野 |
このほか、文部科学省や中教審、教育委員会が出した答申・資料に関する出題があります。
教職教養の傾向
教員採用試験の教職教養は、一般教養よりも出題数が多いです。
たとえば、東京都や岐阜県の出題数比率は「教職教養:一般教養=10:0」です。同じように、千葉県は「9:1」、静岡県は「7:3」のように、多くの自治体で教職教養の出題数が50%〜80%を占めています。
自治体 | 教職教養 | 一般教養 |
---|---|---|
東京都 | 100% | 0% |
千葉県 | 90% | 10% |
静岡県 | 70% | 30% |
広島県 | 100% | 0% |
福岡県 | 70% | 30% |
筆記試験の総合点を上げるには、教職教養の攻略が必要不可欠なので、優先して勉強することが大切です。
【教員採用試験】一般教養の内容
教員採用試験の一般教養は、社会人として必要な基礎学力を測る分野です。
その多くが中学校から高校までに勉強した内容です。しかし、科目数が多いので、対策に頭を悩ます受験者が散見されます。
一般教養の出題科目
教員採用試験の一般教養は、「人文科学」、「社会科学」、「自然科学」の3領域で構成されます。
出題科目 | 内容 |
---|---|
人文科学 | 国語、英語、音楽、美術、保健体育、技術・家庭 |
社会科学 | 世界史、日本史、地理、政治、経済、倫理 |
自然科学 | 数学、物理、化学、生物、地学、情報 |
このほか、社会的な関心事(国内外の動向やオリンピックなど)や志望先の歴史・郷土人物に関する出題もあります。
一般教養の傾向
教員採用試験の一般教養は、教職教養に比べて試験科目が多く、出題範囲も広いです。
たとえば、日本史や世界史をイメージするとわかりますが、とんでもない範囲ですよね。大学受験のとき1科目だけでもキツかったのに両方を勉強しなくてはいけないので出題範囲の広さがわかるはずです。
中学から高校までの6年間で勉強した範囲を1年程度でやり直す必要があるため勉強に苦労している人は多いんですよね…。
とはいえ、どの科目も全範囲から出題されているわけではないので、志望自治体の出題傾向を理解して勉強することが大事。
自治体ごとの出題傾向は下記noteで配信しています!
【教員採用試験】教職教養・一般教養の勉強方法は?
教員採用試験の教職教養と一般教養を勉強する具体的な手順を解説します。
STEP①:出題傾向の把握
まずは、受験先の出題傾向を把握しましょう。
なぜなら、自治体によって試験科目や頻出分野が違うからです。
たとえば、岩手県や徳島県は一般教養からの出題がありません。兵庫県や愛知県は、副科目(音楽や美術など)からも出題があります。
自治体 | 主な出題傾向 |
---|---|
岩手県 | 教職教養のみ、一般教養からの出題はなし |
徳島県 | 教職教養のみ、一般教養からの出題はなし |
兵庫県 | 教職教養と一般教養から出題。一般教養の出題が8割を占める。 |
愛知県 | 教職教養と一般教養から出題。バランスよく出題。 |
大阪府 | 教職教養と思考力・判断力を問う科目から出題。 |
無駄な時間や労力を消費しないためにも、出題傾向を把握してから勉強しましょう。
各自治体の傾向は下記記事を参考にしてください。
自治体ごとの出題傾向(タップして表示する。)
STEP②:参考書・問題集を揃える
出題傾向を把握したら、自分に合う参考書や問題集を1冊購入し、何度も繰り返し覚えましょう。
オススメの参考書や問題種は次のとおり。
どのシリーズを使っても大差ないですが、必ず参考書と問題集はセット(同じシリーズ)で揃えましょう。
参考書と問題集が相互リンクリンクしているので、勉強効率が段違いです。
参考書・問題集の使い方
結論、問題集→参考書の順で使いましょう。
間違った参考書・問題集の使い方
この使い方では、試験までに必要科目の勉強が終わりません。また、活字だけの参考書では、どこがどういう形式で問われるのか判断できないので、無駄な部分まで覚えなくてはいけません。
正しい参考書・問題集の使い方
問題形式は、必要な知識を実践的な形でインプットできるので記憶にも残りやすいです。
参考書は問題集の解答を読むときの参考として、「正解にたどり着くために必要な知識やその周辺部分を読む」という使い方をしましょう。
STEP③:優先順位をつけて勉強する
限られた時間の中で最大のパフォーマンスを発揮するには、問題数の多い科目や頻出度の高い分野から勉強するのがセオリーです。
たとえば、次のような傾向があるとしたらどの科目から勉強するといいでしょうか?
- 教育原理:9問
- 教育法規:4問
- 教育心理:1問
- 教育史:1問
どんなに教育史が苦手でも、出題数の多い教育原理から勉強した方が効率的ですよね。すべてを勉強して中途半端になるよりも、まずは問題数が多い(配点が高い)科目に重点を置き知識をインプットしていきましょう。
優先順位のつけ方
- 問題数の多い科目
- ❶の中で頻出度の高い分野
- 出題率の高い科目
- ❸の中で頻出度の高い分野
- 自分の得意とする科目・分野
全体の7〜8割を勉強する気持ちで臨みましょう!
STEP④:全国過去問集でアウトプット
必要な知識を覚えたら、知識の定着と補強のために志望自治体以外の過去問も使いましょう。
今までの知識がしっかり身についているかの確認に加えて、初見問題への対応や教育時事の知識をインプットできるからです。
オススメの過去問題集は次の2冊。
- Hyper実戦シリーズ(自治体別に問題を集約)
- 「全国版」過去問シリーズ(分野別に問題を集約)
繰り返しになりますが、志望自治体の過去問を何回やっても同じ問題は出ないので意味がありません。でも、他自治体で出ていた問題(範囲)はバンバン出てきますよ。
過去問題集の進め方
- 時間を測って真剣に解く
- すぐに答え合わせをする。
- 不正解問題と自信がなかった問題の解説を読む
- 再度、それらの問題を自力で解く
現在の実力確認も踏まえているので本試験だと思って解いてください!
STEP⑤:反復練習(復習)を意識する
勉強において重要なのは、どんどん先に進むよりもどれだけ復習をしたかということです。どれだけ勉強量を増やしても復習に時間をかけていないと覚えることはできません。
復習のタイミングは一概ではありませんが、僕は勉強した箇所は3日連続で見るというルールで覚えていきました。要するにその日に解いた問題は短いスパンで3回見るというものです。
1日目 | 1~10ページをやる |
2日目 | 1~10ページを見直して、11~20ページをやる |
3日目 | 1~20ページを見直して、21~30ページをやる… |
とくに重要なのが翌日の復習。
これをしないだけで一気に知識の定着が悪くなります。記憶の法則で有名なエビングハウスの忘却曲線でも人間の記憶力は翌日にガタ落ちすることが立証されていますからね。
最初のうちはけっこうシンドイですが、1カ月ほど続けてみれば結果が見えてくるので、復習メインを意識して勉強していきましょう。
僕も勉強時間の7割ぐらいを復習に充てていました。
【教員採用試験】教職教養・一般教養に関するFAQ
教員採用試験の教職教養・一般教養でよく相談される質問(FAQ)をまとめています。
教職教養のみ(一般教養なし)の自治体はありますか?
教職教養のみ(一般教養なし)の自治体はあります。2025(令和7)年度採用試験時点での、教職教養のみの自治体は次のとおり。
- 岩手県
- 福島県
- 茨城県
- 東京都
- 岐阜県
- 京都府
- 奈良県
- 島根県
- 岡山県
- 広島県
- 徳島県
- 愛媛県
- 福岡県(小学校のみ)
- 熊本県
- 熊本市
- 宮崎県
この他にも、一般教養の出題は国語や時事のみといったライトな自治体(千葉県や高知県など)もあります。
なお、これらの自治体は対策がしやすい一方で、合格ラインが高くなったり、専門科目の重要度が高かったりする傾向があるため注意が必要です。
教職教養・一般教養は差がつきやすいって本当?
教職教養・一般教養は差がつきやすいです。
教員採用試験の筆記試験では、専門教養のウエイトが大きく、二次試験でも評価基準になるなど、教職・一般教養よりも重要度が高い傾向にあります。
そのため、教職教養・一般教養を軽視する受験者は少なくありません。しかし、他のライバルたちも同じく専門教養の対策に力を入れるので、結果として「専門はできて当たり前、むしろ差がつくのは教養」という状態になります。
教職教養・一般教養は科目・範囲が膨大のため、受験者の中でも確実に差がでてしまうのです。
教育時事やローカル問題はどう勉強すればいいですか?
教育時事やローカル問題は過去問で対策しましょう。
試験年度より前に出ている答申や資料(旧教育時事)は、どこかしらの自治体で問題として出題されています。たとえば、令和6年度のトレンド「改訂版生徒指導提要」や「次期教育振興基本計画」は、全国の過去問を使えば対応できます。
ローカル問題は、まずは過去問で出そうな資料を教育委員会のHPで探して読みこみましょう。そのうえで、1日完結の予備校講座を活用するなどして対策できます。
なお、試験年度内に出た教育時事は問題がありません。そこは、一人でたくさんの資料を読み漁るより試験直前期に予備校を活用した方が効率的です。
教育時事(旧) | 全国の過去問で対策 |
---|---|
教育時事(新) | 予備校を活用する |
ローカル | 志望先の過去問、教育委員会のHP、予備校 |
教育時事やローカル問題は深入り厳禁です。資料の冒頭のみ読んでおくといった対策でもいいと思います。
教職教養や一般教養の過去問はどこで入手できますか?
教職教養や一般教養の過去問は、各都道府県の情報センター等で入手(閲覧・コピーが)可能です。
また、東京都や大阪府など、一部の自治体は教育委員会のホームページに問題を公開しています。それをダウンロードして活用するのも良いでしょう。
教職教養や一般教養でおすすめの参考書や問題集は?
教職教養や一般教養でおすすめの参考書や問題集は以下の3冊から1冊選べばOKです。
個人的なオススメはオープンセサミシリーズです。
参考書・問題集には、書き込み式、赤シートで隠しながら読み進めるなど、いくつか形態があるので、自分に合ったテキストを使ってください。
【教員採用試験】教職教養・一般教養の内容と勉強法まとめ
今回は、教員採用試験の教職教養と一般教養の内容と勉強法を詳しく解説しました。
まとめると、以下のようになります。
教養試験は科目も範囲も膨大ですが、傾向をきちんと理解して勉強すれば十分に対応できるので、やみくもに手をだすのではなく、計画を立てて勉強してくださいね。
この記事が少しでもお役に立てたら幸いです。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました!
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