本記事は、東京都の公立学校で先生になりたい方に向けて「受験ガイド」を作る気持ちで書きました。
最後まで読めば、東京都教員採用試験の内容から対策のヒントまで網羅的に理解できます!
敵を知らずして対策を始めてしまうのは、時間の無駄になりかねません。東京都教員採用試験の合格に向けて、着実に対策を始めていきましょう。

東京都教員採用試験の主な変更点
2026年度(2025年実施)東京都教員採用試験の主な変更点をまとめています。
- 適性検査(SPI3)の導入
- 大学推薦で受験可能な校種等・教科(科目等)の拡大
- 受験可能年齢の引き上げ
適性検査(SPI3)の導入
社会人経験者や民間企業を併願する方も受験しやすくなるよう第一次選考において、「教職教養」に替えて「適性検査(SPI3)」での受験も可能とします。
対象校種・教科 | 中高共通:英語 中学校:技術 |
---|---|
変更前の試験内容 | 〇教職教養 〇専門教養 〇論文 |
変更後の試験内容 | 〇教職教養または適性検査 〇専門教養 〇論文 |
大学推薦で受験可能な校種等・教科(科目等)の拡大
全ての大学等から全ての校種等・教科(科目等)で受験できるように見直します。
受験可能年齢の引き上げ
特例選考において受験可能な上限年齢を「60歳まで」から「61歳まで」に変更しました。
東京都教員採用試験の内容
東京都教員採用試験の内容を第1次試験と第2次試験ごとに詳しく解説します。
第1次試験
東京都教員採用試験における第1次試験の内容は、「教職教養」、「専門教養」、「小論文」の3科目です。
教職教養
教育の基本的な理論や規則を問う筆記試験です。
試験時間 | 60分 |
---|---|
問題数 | 25問(必答) |
出題形式 | 正誤問題、穴埋め問題 |
解答方法 | 択一式(マークシート) |
配点 | 100点満点(1問4点) |
出題分野 | 〇教育原理(教育時事含む) 〇教育法規 〇教育心理 〇教育史 〇東京都教育施策 |
教職教養の出題範囲は非常に広く、全ての科目・分野を均等にカバーするのは現実的ではありません。
以下の出題傾向を参考にして、出題数の多い科目や出題頻度の高い分野から勉強していくと効率的です。
科目別出題数
採用年度 | 2023 | 2024 | 2025 |
---|---|---|---|
教育原理 | 10 | 8 | 7 |
教育法規 | 9 | 9 | 8 |
教育心理 | 4 | 4 | 6 |
教育史 | 1 | 2 | 2 |
ローカル | 1 | 2 | 2 |
- 各数字は科目ごとの出題数です。
- 上記は僕自身の解釈であり、公式発表されたものではありません。
配点の高い科目に集中することで、短期間で得点を伸ばすことができます。また、重要な科目で高得点を取ることで、全体の合格ラインを上げることができます。
主要科目(出題数の多い科目)にある程度の自信がついたら、次に他の科目の勉強を本格的に進めるのが効果的な方法です。
分野別出題範囲
教職教養の出題範囲は膨大ですが、全範囲から出題されているわけではありません。
たとえば、日本教育史は近世と近代を押さえておけばOKです。古代〜中世は基本的に出題されていませんからね(下図参照)。

使える時間が限られている中で、試験に出ない可能性の高い分野にまで労力を費やすのは明らかに効率的ではありません。
頻出度の高い分野をしっかりと抑えた後、その他の分野を補完的に学習することがとても大事です。
最初から最後までコツコツ勉強するのもいいですが無駄が多いので、傾向分析をしてから効率よく対策しましょう。

過去10年間の出題範囲を下記の記事で詳しくまとめています。ぜひ参考にしてください!


専門教養
志望校種・教科に関する専門的知識を測る筆記試験です。出題科目(範囲)は教科・科目によって異なります。
試験時間 | 60分 |
---|---|
問題数 | 教科・科目による |
出題形式 | 択一式(マークシート方式) |
配点 | 100点満点 |
一部の教科には、分野別最低基準点があります。総合点が合格ラインに達していても、一つの分野が基準点を下回っていれば足切りになります。
分野別最低基準点を設ける校種等・教科(科目等)は下表のとおりです。


問題レベルは、大学入試共通テスト(旧センター試験)から国公立大二次試験で問われるレベルの問題が6割程度を占めています。
教科教養は、受験者ごとに学力レベルや知識の差が大きく出やすいので、自分の学力に合った方法での対策が必須です。
たとえば、英語教員を目指す人の中には英検1級レベルの人から3級すら危うい人までおり、同じテキストや手順で勉強しても効率がよくありません。
まずは過去問を自力で解き、自分の実力を正確に把握することが大事です。
過去問を解いてみて…、
- 5割以下:基礎がないので中学受験レベルから勉強しなおす。基本的な概念や知識をしっかり固めることが大切です。
- 7割以下:高校~大学受験レベルで力をつける。より高度な問題に挑戦し、理解を深めることを目指しましょう。
- 7割以上:全国の過去問を解いて知識の定着や弱点克服。さらに実践的な問題に取り組むことで、試験本番に備えます。
このように捉えて勉強を始めるといいでしょう。



専門教養の勉強方法は、下記の記事でも解説しています。あわせて確認してみてください!


小論文
自分の考えや主張を論理的に説明する文章形式の試験です。
筆記試験では判断できない、論理的思考力や読解力、教師としての適性などを総合的に評価します。
試験時間 | 70分 |
---|---|
文字数 | 910字~1050字 |
問題数 | 1題 |
評価基準 | 〇課題把握力 〇教師としての実践的指導力 〇論理的表現力 〇文章構成力 〇国語力 |
配点 | 100点満点 |
小論文は、自分では文章が書けると思っていても、意外に書けなかったり、書けた(気になった)としても課題に対してまったく十分な解答にはならないことはよくあります。
毎年、小論文で評価がもらえずに不合格となる受験者は多いので早めに準備をしてください。



小論文の詳しい傾向や過去問などは下記の記事でまとめています!


第2次試験
東京都教員採用試験における第2次試験の内容は、「面接試験(個人面接)」、「実技試験」の2科目です。
面接試験(個人面接)
東京都が求める教員としてふさわしい人物であるか、人柄・意欲・対人関係能力等を評価・判断する試験です。
試験時間 | 30分 |
---|---|
面接官 | 3人 |
面接カード | あり(二次試験日に面接票を提出) |
評価基準 | 〇教職への理解 〇教科等の指導力 〇対応力 〇将来性 〇心身の健康と人間的な魅力 |
- 東京都の志望理由は何ですか?
- 東京都の魅力は何ですか?
- 教育実習では何を学びましたか?
- 東京都の教育施策「誰一人取り残さない」実現のためにはどうしますか?
- これまでに成し遂げた経験はありますか。また、それをどう活かしますか?
- 授業中に騒ぐ生徒に指導したところ奇声を上げてしまいました。どうように対応しますか?
- 顔にあざのようなものができた生徒がいます。どのように対応しますか?
- 生徒からLINEの交換をしてほしいと言われたらどう対応しますか?
- あなたが担当している部活動がうるさいと地域住民からクレームがあったらどう対応しますか?
- あなたの隣のクラスがとても汚れています。どう対応しますか?
教員採用試験の面接試験は、一つの回答に対しより掘り下げて受験者の行動特性を把握する「コンピテンシー評価型面接」で行われています。
たとえば、「長所は何ですか?」→「長所が活躍したエピソードはありますか?」→「その長所を教員としてどのように活かしますか?」といったように追加質問をしてきます。
しっかり自己分析ができていないと、深掘り質問に対応できません。過去に聞かれた質問に根拠を踏まえて回答できるよう、早め早めに準備を始めましょう。



過去の質問例や対策方法などは、下記の記事で詳しく解説しています!


実技試験
専門的技能や実践的能力があるかどうかを評価・判断する人物試験です。
対象教科 | 「中・高共通」、「小・中共通」、「小・中・高共通」、「特別支援学校」のうち、以下の教科及び小学校全科(英語コース)の受験者。 〇音楽 〇美術 〇保健体育 〇英語 |
---|---|
評価基準 | 曲想にふさわしい表現の工夫及び基礎的な表現の技能等を評価する。 美術 正確な描写、鉛筆を生かした表現の技能等を評価する。 保健体育 体育実技を指導する上で必要かつ十分な技能の状況等を評価する 英語 英語によるコミュニケーション能力を評価する。 | 音楽
2026(令和8)年度


2025(令和7)年度


2024(令和6)年度


何ができて、できていないのかを早めに把握するようにしましょう。そのうえで出来るように少しずつ技能を磨いていくことが最適解です。
また、自己評価だけでなく、指導者や同僚からフィードバックをもらうことで、自分では気づかない改善点を発見することができます。
なお、課題に沿って完璧にできることにくわえて、熱意や意欲、態度なども評価対象です。
東京都教員採用試験に関するFAQ
東京都教員採用試験に関するFAQ(受験者から頻繁に寄せられる質問とその回答)をまとめています。
試験概要編
Q-1 東京都の求める教師像は?
A-1 東京都の求める教師像は次の4つを掲げています。
- 教育に対する熱意と使命感を持つ教師
-
- 子供に対する深い愛情
- 教育者としての責任感と誇り
- 高い倫理観と多様性に配慮した人権意識
- 豊かな人間性と思いやりのある教師
-
- 温かい心、柔軟な発想や思考、創造性
- 幅広いコミュニケーション能力
- 子供のよさや可能性を引き出し伸ばすことができる教師
-
- 常に学び続ける意欲
- 一人一人のよさや可能性を見抜く力
- 教科等に関する高い指導力
- 組織人として積極的に協働し互いに高め合う教師
-
- 経営参画への意欲、協働性
- 高い志とチャレンジ精神
- 自他の安全を守る危機管理力
Q-2 東京都教員採用試験の受験資格(年齢制限)は?
A-2 2026年度(2025年実施)の場合、昭和61年4月2日以降に生まれた人が対象です。



特例選考の場合は昭和39年4月2日以降が対象です!
Q-3 東京都教員採用試験の採用予定人数は?
A-3 2026年度(2025年実施)東京都教員採用試験では3500人程度の採用を予定しています。
募集校種 | 2026 | 2025 | 2024 |
---|---|---|---|
小学校 | 1400人 | 1740人 | 1440人 |
中学校 | 30人 | 30人 | 30人 |
中高共通 | 1140人 | 980人 | 1020人 |
小中共通 | 100人 | 150人 | 150人 |
小中高共通 | 260人 | 290人 | 250人 |
高等学校 | 60人 | 90人 | 50人 |
特別支援 | 420人 | 580人 | 360人 |
養護教諭 | 90人 | 80人 | 90人 |
合計 | 3500人 | 3940人 | 3390人 |
Q-4 東京都教員採用試験の受験倍率は?
A-4 東京都教員採用試験の受験倍率は1.7倍〜3.2倍で推移しています。
採用年度 | 受験者数 | 合格者数 | 倍率 |
---|---|---|---|
2025 | 8,570 | 4,999 | 1.7 |
2024 | 7,948 | 4,926 | 1.6 |
2023 | 7,911 | 3,841 | 2.1 |
2022 | 8,607 | 2,650 | 3.2 |
2021 | 9,265 | 3,402 | 2.7 |



教科別の倍率は下記の記事で詳しくまとめています!


試験日程編
Q-5 東京都教員採用試験の募集要項はいつ発表されますか?
A-5 3月上旬に募集要項が発表されます。
2026(令和8)年度の募集要項は2025年3月21日(金)に公示されました。
募集要項には、試験内容や実施状況などの詳細な情報が掲載されていますので、必ず確認してください。
Q-6 東京都教員採用試験の出願期間は?
A-6 4月上旬から5月上旬にかけて受付を行います。
2026(令和8)年度の出願期間は、2025年4月1日(火)~5月8日(木)までです。
Q-7 東京都教員採用試験の試験日は?
A-7 第1次試験は7月、第2次試験は8月に実施されます。
2026(令和8)年度の試験日は以下のとおり。
第1次試験 | 2025年7月6日(日) |
---|---|
第2次試験 | 面接:2025年8月16日(土)、17日(日)、18日(月)のいずれか1日 実技:2025年8月24日(日) |



他自治体の試験日は、下記の記事でまとめています!


Q-8 東京都教員採用試験の合格発表日は?
A-8 第1次試験の合格発表は8月、第2次試験は9月に行われます。
2026(令和8)年度の合格発表日は以下のとおり。
第1次試験 | 2025年8月5日(火) |
---|---|
第2次試験 | 2025年9月30日(火) |
第2次試験に合格すると、採用候補者名簿に登録されます。その後、意向聴取、受験資格の確認等を行い、学校現場の欠員状況等を考慮した上で採用者を内定。



原則として2026年4月1日付けで採用されます。
試験対策編
Q-9 東京都教員採用試験の過去問はどこで入手できますか?
A-9 東京都教員採用試験の過去問は、「東京都公立学校教員採用ポータルサイト」からダウンロード可能です。
また、「都民情報ルーム(東京都庁第一本庁舎3階)」でも閲覧・コピーすることができます。
過去問を活用することで、試験対策が効果的に進められますよ。



下記記事でも問題・解答をまとめています。


Q-10 東京都教員採用試験の対策でオススメの参考書や問題集は?
A-10 東京都教員採用試験の問題集や参考書でオススメなのは「教員採用試験「過去問」シリーズ」です。
数年分の過去問が掲載されています。勉強を始める前に難易度や傾向を把握でき、無駄のない勉強ができて効果的です。



オススメの問題集・参考書は下記の記事で解説しています。


本記事はここまでです。
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