本記事では、茨城県教員採用試験の内容を徹底解説します。
今回は、茨城県の公立学校で先生になりたい方に向けて「受験ガイド」を作る気持ちで書きました。最後まで読めば、茨城県教員採用試験の概要から合格に向けた準備まで網羅的に理解できますよ!
敵を知らずして対策を始めてしまうのは、時間の無駄になりかねません。本記事を参考に茨城県教員採用試験の合格に向けて着実に対策を始めていきましょう。
茨城県教員採用試験の内容は?
茨城県教員採用試験は一次試験と二次試験の2段階選考となっています。
一次試験では、教職専門、専門教科・科目が、二次試験では、個人面接と模擬授業、実技試験、集団活動がそれぞれ行われます。
一次試験 | 教職教養 | 教職員として必要な基礎学力(教職教養)に関する筆記試験。(択一式:20問 / 30分) |
---|---|---|
専門教養 | 指導教科に関する専門知識や教育方法論を問う筆記試験。(択一式:90分) | |
二次試験 | 個人面接 | 教育現場での対応力や人柄、コミュニケーション能力などに関する面接試験。過去の経験や指導教科について質問されます。(1人25分程度) |
模擬授業 | 教師としての指導技術や専門性を評価する人物試験(1人10分) | |
実技試験 | 音楽や美術、体育など特定の教科の指導能力を見るための人物試験。 | |
集団活動 | テーマに沿って意見交換をしたり、発表したりする人物試験 |
茨城県教員採用試験の内容|教職専門
教員採用試験の教職専門(教養)は、教職員として必要な基礎能力や専門性がどれくらい備わっているかを測る筆記試験です。
校種・教科に関わらず、同じ問題を解きます。
教職専門の概要
試験時間 | 30分 |
---|---|
問題数 | 20問(必答) |
出題形式 | 正誤問題、穴埋め問題 |
解答方法 | 択一式(マークシート) |
配点 | 100点満点(1問5点) |
問題数20問に対して、試験時間は30分しかありません。1問あたり1分程度で解かないと時間に間に合わないので、各問題にかける時間をしっかりと配分することが重要です。
教職専門の出題科目(範囲)
出題科目は、教育に関する基礎的な知識を問う教職科目とローカル科目で構成されており、一般教養科目(人文・社会・自然科学)の出題はありません。
採用年度 | 2022 | 2023 | 2024 |
---|---|---|---|
教育原理 | 8 | 8 | 6 |
教育法規 | 10 | 10 | 10 |
ローカル | 2 | 2 | 4 |
- 各数字は科目ごとの出題数です。
- 上記は僕自身の解釈であり、公式発表されたものではありません。
科目数は少ないため負担は軽いです。しかし、全ての受験者がその科目に集中することになり、競争は激しくなりやすい点には注意が必要。
教職専門対策のポイント
どの科目から手をつけるのか、どの分野は捨てていいのかなど、出題傾向(範囲)を理解し、効率よく勉強することが重要です。
たとえば、2024(令和6)年度本試験では、教育法規の出題数(配点)は10問(50点)ですが、教育原理は6問(30点)ほど。どちらの科目に時間を使うかは明白ですよね。
まずは、出題数の多い科目(教育法規)から着手することが重要です。
科目・範囲が膨大だからこそ、どの科目から手をつけるのか、どの分野は捨てていいのかなど、出題傾向を理解し、効率よく勉強しましょう。
より詳しい出題傾向はこちらで解説しています。
茨城県教員採用試験の内容|専門教科・科目
教員採用試験の専門教科・科目は、志望する校種・教科に関する専門的知識を測る筆記試験です。
指導教科の専門性を問われるので問題レベルが高く、教職専門に比べて配点が高いという特徴があります。
専門教科・科目の概要
試験時間 | 90分 |
---|---|
問題数 | 教科・科目による |
出題形式 | 択一式(マークシート方式) |
配点 | 300点満点 |
専門教科・科目の出題科目(範囲)
専門教科・科目の出題科目(範囲)は教科・科目によって異なります。
たとえば、小学校なら国語、算数、社会、理科、外国語などが出題されます。社会科なら日本史、世界史、地理、政治、経済、倫理が出題範囲という具合です。
また、教科・科目に関する知識以外にも、学習指導要領や指導方法・指導案に関する問題が出題されることもあります。
専門教科・科目対策のポイント
専門教科・科目は、受験者ごとに学力レベルや知識の差が大きく出やすいので、自分の学力に合った方法での対策が必須です。
たとえば、数学教員を目指す人の中には微分積分を自由に扱える人から、中学数学ですら苦手な人までおり、同じテキストで勉強しても効果がありません。
まずは過去問を自力で解き、現在の実力に合わせて、次のような勉強計画を考えてみましょう。
- 5割以下:基礎がないので中学受験レベルから勉強しなおす
- 7割以下:高校~大学受験レベルで力をつける
- 7割以上:全国の過去問を解いて知識の定着や弱点克服
専門教科・科目を得意とする受験者は多いので、ライバルたちに差をつけられないように、手厚く勉強することが大事です。
より詳しい出題傾向はこちらで解説しています。
茨城県教員採用試験の内容|個人面接
茨城県教員採用試験の個人面接は、自己PRや志望動機から教職員としての適性や素質、人間性などを評価・判断する人物試験です。
ここ近年の教員採用試験では面接試験が重視されているので、早い時期から面接対策を見据えていきたいところ。
個人面接の概要
試験時間 | 25分 |
---|---|
面接官 | 3人 |
配点 | 240点満点 |
評価基準 | ・使命感 ・堅実性 ・判断力 ・表現力 ・態度 ・内容 |
集団面接とは違い、受験者は自分一人だけなので緊張しやすい形式ですが、他の受験者がいないことから集中でき、自分をアピールしやすいという利点があります。
個人面接の対策方法
頻出の質問に対する回答をある程度準備した後は、予備校等を利用して面接練習を行い、姿勢や話し方などを最適化していきましょう。
1人で練習しているだけでは気付けない点がたくさんあるからです。
たとえば、自分では自然だと思っている仕草が他人には落ち着きがないと映ることがあります。また、話す速度が速すぎたり、声のトーンが単調すぎたりすることに気づかないことも多いです。
こうした点を他人からフィードバックを受けることで、より効果的なコミュニケーションができるようになります。
なんとなく面接練習しているだけでは、自分のどこが良くてどこが悪いのかがわからないことが多いので注意してください。
より詳しい内容や過去の質問例は下記記事でまとめています。
茨城県教員採用試験の内容|模擬授業
模擬授業は、教師としての指導技術や専門性を評価する人物試験です。
実際の授業のように、一定の時間内で指定されたテーマや教科について教えることが求められます。
模擬授業の概要
試験時間 | 10分 |
---|---|
テーマ | 事前にHPで公開 |
配点 | 240点 |
指定されたテーマに沿って、導入から展開にかけての最初の10分間を模擬授業として行います。
その後、模擬授業の内容に関する質疑応答あり。
模擬授業のテーマ
小学校 | 主体的・対話的で深い学びの実現へ向けて、単元等の導入場面において、児童が学習の見通しを立てられるように工夫された授業 |
---|---|
中学校 | 主体的・対話的で深い学びの実現へ向けて、単元等の導入場面において、生徒が学習の見通しを立てられるように工夫された授業 |
高等学校 | 主体的・対話的で深い学びの実現へ向けて、単元等の導入場面において、生徒が学習の見通しを立てられるように工夫された授業 |
養護教諭 | 心身ともに健康で安全な生活態度や習慣の形成に向けて、学級活動やホームルーム活動の導入場面において、児童生徒の健康・安全に関する興味・関心を高めるなど指導の効果を高めるために工夫された授業 |
栄養教諭 | 食育の観点を踏まえた学校給食と望ましい食習慣の形成に向けて、学級活動の導入場面において、児童生徒の食に関する興味・関心を高めるなど指導の効果を高めるために工夫された授業 |
- 単元等の指定はありません。
- 模擬授業に持ち込み可能なものは、「模擬授業メモ(A4用紙1枚)」のみで、スマートフォンやタブレット等の電子機器、掲示物等の持ち込みは不可です。
- 模擬授業メモを見ながら、模擬授業を行っても構いません。模擬授業メモの用紙はA4サイズに限ります。内容は、指導案や板書計画、教材等のコピーなど自由です。
模擬授業対策のポイント
模擬授業では、正確な知識を与える授業を行うことは重要ですが、それよりもどのように子供の興味・関心を高めることができるか、という部分が大事です。
塾や予備校のようなやや強引な展開で授業を進める人もいますが、学校での授業では、子供とのやり取り・掛け合いが非常に重要。発問や質問を重ねて、クラス全体で授業を「つくっていく」ことを意識して準備しましょう。
茨城県教員採用試験の内容|集団活動
集団活動は、テーマに沿って意見交換をしたり、発表したりする人物試験です。
集団行動を通して、コミュニケーション能力やチーム内での役割の果たし方などを総合的に評価します。
集団活動の概要
試験時間 | |
---|---|
人数 | 1グループ8人 |
配点 | 240点 |
集団活動対策のポイント
集団活動では、説得力のある発言を心がけることです。
具体的には、自分の意見を言うときは、「こう思う」というだけでなく、「こういう理由だから、こう思う」と自分の経験や事例を交えて話す練習をしてください。
根拠のない発言を繰り返しても、討論になりませんし、適当なことを言っていると評価を下げかねません。
また、他の人が何を言っているか聞くのも重要。前の人が言ったことをきちんと受け止めながら、自分の意見を話せるように準備しましょう。
茨城県教員採用試験の内容|実技試験
茨城県教員採用試験の実技試験は、専門的技能や実践的能力があるかどうかを評価・判断する人物試験です。
専門知識の有無だけでなく、児童生徒に知識を伝えるための教育的なアプローチや方法論も重要視されます。
実技試験の概要
中学校、高校のうち、以下の教科の受験者が対象です。
- 音楽
- 美術
- 書道
- 保健体育
- 技術
- 家庭
- 英語
実技試験のテーマ
中学校 | 音楽 | ・新曲視唱 ・簡易伴奏づけ ・ピアノによる弾き歌い(歌唱共通教材) |
---|---|---|
美術 | デッサン | |
技術 | 製作(LEDライト)とはんだ付け | |
家庭 | ・製作(ファイルカバー) ・調理(酢のもの) | |
保健体育 | ・陸上(ハードル) ・球技(バレーボール又はバスケットボール) ・武道(柔道又は剣道) ・ダンス | |
高校 | 音楽 | ・新曲視唱 ・リズム視奏(リズム打ち) ・ピアノによる弾き歌い(高等学校教科書掲載の楽曲程度) |
美術 | 鉛筆デッサン | |
書道 | 臨書と創作(半切を含む) | |
保健体育 | ・陸上(ハードル) ・球技(バレーボール又はバスケットボール) ・武道(柔道又は剣道) ・ダンス | |
家庭 | ・被服(ショートパンツとポケットの標本作成) ・調理(ポテトサラダ) |
実技試験対策のポイント
何ができて、できていないのかを早めに把握するようにしましょう。そのうえで出来るように少しずつ技能を磨いていくことが最適解です。
また、自己評価だけでなく、指導者や同僚からフィードバックをもらうことで、自分では気づかない改善点を発見することができます。
なお、課題に沿って完璧にできることにくわえて、熱意や意欲、態度なども評価対象です。そのため、実際の試験では面接と同じように楽しくできるように練習してください。
茨城県教員採用試験はいつ実施される?
茨城県教員採用試験は5月〜7月にかけて実施されます。
2025年度(2024年実施)茨城県教員採用試験の流れは次のとおり。
- 一般選考の流れを掲載しています。特別選考は区分によって異なるのでご注意ください。
2025年度茨城県教員採用試験の日程
募集要項の公示
例年、3月中旬に募集要項が発表されます。
2025(令和7)年度の募集要項は、2024年3月1日(金)に公示されました。
試験内容や実施状況などをはじめとする詳細な情報が掲載されています。
出願申込みの受付
受付期間:2024年3月1日(金)〜3月29日(金)
申込手続は、インターネット出願となります。登録するメールアドレスは出願後も使用するので取扱いには注意しましょう。
受験票のダウンロード
一次試験日の約10日前に、電子申請用サイト(茨城県教育委員会ホームページ)から受験票がダウンロードできるようになります。
受験票には受験番号や試験会場などの情報が記載されているため、ダウンロードしたらすぐに確認してください。希望した受験会場とは異なる受験会場が指定されている可能性もあるため、注意が必要です。
第一次試験
第一次試験の合格発表
試験日からおおむね1ヶ月後の2024年6月10日(月)に、茨城県教育委員会のホームページおよび郵送で結果通知がなされます。
結果通知には、二次試験の案内(試験日や持ち物等)が記載されているため、すぐに確認しましょう。
第二次試験
第二次試験の合格発表
試験日からおおむ30日後の2024年8月9日(金)に、茨城県教育委員会のホームページおよび郵送で結果通知がなされます。
最終合格
第二次試験に合格すると、採用候補者名簿に登録されます。
その後、意向聴取、受験資格の確認等を行い、学校現場の欠員状況等を考慮した上で採用者を内定。原則として2025年4月1日付けで採用されます。
他自治体の日程や試験日の前倒しは下記記事をご覧ください。
茨城県教員採用試験の倍率は?
茨城県教員採用試験の倍率は、2.8倍(2020年度)→3.0倍(2024年度)で推移しています。
過去5年間の実施状況(受験者数・合格者数・倍率)は次のとおり。
茨城県教員採用試験の実施状況
採用年度 | 受験者数 | 合格者数 | 倍率 |
---|---|---|---|
2024 | 3,369 | 1,123 | 3.0 |
2023 | 3,549 | 989 | 3.6 |
2022 | 3,215 | 1,114 | 2.9 |
2021 | 2,654 | 1,030 | 2.6 |
2020 | 2,797 | 1,015 | 2.8 |
教科別の実施状況(倍率)は下記記事でまとめています。
茨城県教員採用試験に関するFAQ
最後に、茨城県教員採用試験に関するFAQ(よくある質問)をまとめています。
茨城県の求める教師像(人物像)は?
茨城県の求める教師像(人物像)は「教育者としての資質能力に優れた、人間性豊かな教師」、「使命感に燃え、やる気と情熱をもって教育にあたることができる活力に満ちた教師」など5つを掲げています。
- 教育者としての資質能力に優れた、人間性豊かな教師
- 使命感に燃え、やる気と情熱をもって教育にあたることができる活力に満ちた教師
- 広い教養を身に付け、子どもとともに積極的に教育活動のできる指導力のある教師
- 子どもが好きで、子どもとともに考え、子どもの気持ちを理解できる教師
- 心身ともに健康で、明るく積極的な教師
茨城県教員採用試験の受験資格(年齢制限)は?
昭和40年(1965年)4月2日以降に生まれた人が対象です。
- 2025年度採用(一般選考)の場合。
茨城県教員採用試験の過去問はどこで入手できますか?
茨城県教員採用試験の過去問は、「茨城県行政情報センター」で閲覧・コピー(有料)できます。
その他、協同出版の過去問シリーズがオススメです。最新年度を含む数年分の問題と解答、解説が収録されています。
2025年度茨城県教員採用試験の採用予定人数は?
2025年度茨城県教員採用試験では、965人の採用を予定しています。2024年度に比べて21人増える見込みです。
まとめ|茨城県教員採用試験は難しいのか?
茨城県教員採用試験に合格することはそんなに難しくはありません。試験問題は高校までに学習した内容ですし、倍率も3倍程度だからです。
しかし、単純に筆記試験の点数を取れば合格できるものではなく、面接試験による人間性も重視されるため、努力がそのまま結果に結びつかない難しさがあります。
一次試験は突破できても、二次試験で落ち続けている人は一定数いますからね…。
解説したとおり、茨城県教員採用試験の内容は幅広いため、適当に勉強を進めるのではなく、傾向ををきちん理解してから効率よく行うことが大切です。
本サイトでは、茨城県教員採用試験の合格に必要な情報を多く配信しています。
ぜひ、参考にして対策を始めてくださいね。
コメント