本記事では、熊本市教員採用試験の内容と対策のポイントを徹底解説します。
熊本市教員採用試験の一次・二次試験の概要から合格に向けた具体的な準備方法まで、網羅的に理解できる内容となっています。
敵を知らずして対策を始めてしまうのは、時間の無駄になりかねません。
本記事を参考に熊本市教員採用試験の合格に向けて着実に対策を始めましょう。
主に一般選考(2024年実施試験)を対象としています!
熊本市教員採用試験の一次試験内容
熊本市教員採用試験の一次試験は、「教職教養」と「専門教科」で構成されています。
それぞれの試験内容と対策のポイントを詳しく解説します。
- 教職教養
- 専門教科
教職教養
教職教養は、教育原理や教育法規で構成される筆記試験です。
校種・教科に関わらず、すべての受験者が同じ問題を解きます。
教職教養の概要
試験時間 | 40分 |
---|---|
問題数 | 31問 |
出題形式 | 択一式 |
配点 | 40点満点 |
上記の表からわかるように、問題数31問に対して、試験時間は40分しかありません。
このため、1問に1分以上かけてしまうと、すべての問題を解き終えることができない可能性がでてきます。
効率的に問題を解くためには、各問題にかける時間をしっかりと確認し、迅速な判断が求められます。
問題演習を重ね、時間内に全部解き終われるように準備しましょう。
教職教養の出題範囲
教育に関する基礎的な知識を問う「教職教養科目」のみで、高校までに習った基礎学力を測る「一般教養科目(人文・社会・自然科学)」からは出題されません。
教職教養 | 教育原理、教育法規、教育心理、教育史 |
---|---|
教職教養の対策方法
頻出度の高い分野をしっかりと抑えた後、その他の分野を補完的に学習することで、全体的な理解を深め、試験に万全の態勢で臨むことができます。
教職教養の勉強方法は、下記記事も参考にしてください。
より詳しい専門教科
専門教科は、志望する校種・教科に関する専門的知識を測る筆記試験です。
専門教科の概要
試験時間 | 60分 *一部の教科は80分 |
---|---|
問題数 | 教科・科目による |
出題形式 | 択一式 |
配点 | 100点満点 |
問題レベルは、大学入試共通テスト(旧センター試験)から国公立大二次試験で問われるレベルの問題が6割程度を占めています。
専門教科の出題範囲
専門教科の出題範囲は、受験する教科や科目によって異なります。
たとえば、小学校なら国語、算数、社会、理科、外国語、音楽、図工、体育、家庭などが出題されます。理科の場合、物理、化学、生物、地学などが出題範囲です。
また、教科・科目に関する知識だけでなく、学習指導要領や指導方法・指導案に関する問題が出題されることがあります。
各科目の基本的な知識を確実に身につけるとともに、学習指導要領についても把握しておくことが重要です。
専門教科の対策方法
専門教科は、受験者ごとに学力レベルや知識の差が大きく出やすいため、自分の学力に合った対策が必要不可欠です。
たとえば小学校の算数を勉強する場合、複雑な割合や比の問題をすらすらと解ける人もいれば、基本的な四則計算や図形の問題でつまずく人もいます。
このようなレベル差があるのに、同じ教材で学習しても、自分の実力に合っていなければ、学習効果は期待できません。
まずは過去問を自力で解き、自分の実力を正確に把握することから始めてみてください。
過去問を解くことで、どの分野が得意でどの分野が苦手かが明確になります。この自己評価をもとに、次のような勉強計画を立ててみましょう。
- 5割以下:基礎がないので中学受験レベルから勉強しなおす。基本的な概念や知識をしっかり固めることが大切です。
- 7割以下:高校~大学受験レベルで力をつける。より高度な問題に挑戦し、理解を深めることを目指しましょう。
- 7割以上:全国の過去問を解いて知識の定着や弱点克服。さらに実践的な問題に取り組むことで、試験本番に備えます。
専門教科では、基礎学力をしっかり固めることが大事です。
基礎知識がしっかりしていれば、応用問題にも対応できるようになりますし、試験本番での安定したパフォーマンスにつながります。
専門教科の勉強方法は、下記の記事も参考にしてください。
熊本市教員採用試験の二次試験内容
熊本市教員採用試験の二次試験は、「論文」、「実技試験」、「模擬授業」、「個人面接」が行われます。
それぞれの特徴や対策のポイントを解説します。
- 論文
- 実技
- 模擬授業
- 個人面接
論文
熊本市教員採用試験の論文は、自分の考えや主張を論理的に説明する文章形式の試験です。
筆記試験では判断できない、論理的思考力や読解力、教師としての適性などを総合的に評価します。
論文の概要
試験時間 | 60分 |
---|---|
文字数 | 800字 |
配点 | 40点 |
問題例 | 近年、特別な支援を要する児童生徒は増加しており、特別支援教育に対する児童生徒や保護者のニーズも年々高まり、多様化しています。あなたは赴任した学校で、教諭として特別支援教育にどのように取り組んでいきますか。あなたの考えを述べなさい。 |
論文は、自分では文章が書けると思っていても、意外に書けなかったり、書けた(気になった)としても課題に対してまったく十分な解答にはならないことはよくあります。
毎年、小論文で評価がもらえずに不合格となる受験者は多いので早めに準備をしてください。
詳しいテーマや傾向は、下記の記事をご覧ください。
実技
熊本市教員採用試験の実技試験は、専門的技能や実践的能力があるかどうかを評価・判断する人物試験です。
専門知識の有無だけでなく、児童生徒に知識を伝えるための教育的なアプローチや方法論も重要視されます。
実技試験の概要
中学校、高校の以下の教科および幼稚園教諭が対象です。
- 音楽
- 美術
- 保健体育
実技試験の内容
幼稚園 | ①弾き歌い(ドレミの歌) ②絵本の読み聞かせ |
---|---|
音楽 | ①ピアノ:ソナタを1曲演奏(暗譜) ②弾き歌い:「赤とんぼ」「荒城の月」「春早賊」「夏の思い出」「花」「花の街(2024年度指定)」から当日された1曲 ③新曲視唱 |
美術 | ①水彩絵具を用いた作品制作 ②鑑賞に関する課題 |
保体 | ①水泳 ②陸上 ③機械運動 ④柔道、剣道、ダンスから1種目選択 ⑤バスケットボール、ソフトボールから1種目選択 |
実技試験の対策方法
何ができて、できていないのかを早めに把握するようにしましょう。そのうえで出来るように少しずつ技能を磨いていくことが最適解です。
また、自己評価だけでなく、指導者や同僚からフィードバックをもらうことで、自分では気づかない改善点を発見することができます。
なお、課題に沿って完璧にできることにくわえて、熱意や意欲、態度なども評価対象です。
模擬授業
熊本市教員採用試験の模擬授業は、教師としての指導技術や専門性を評価する人物試験です。
実際の授業のように、一定の時間内で指定されたテーマや教科について教えることが求められます。
模擬授業の概要
試験時間 | 20分 |
---|---|
面接官 | 2人 |
内容 | 模擬授業+口頭試問 |
配点 | 60点 |
模擬授業の流れ
一次試験の合格発表と同時に模擬授業のテーマが発表されます。
最初に選択した教科、学年、内容を発表します。
その後、6~9分間で模擬授業を行います。
模擬授業が終わると、内容等に関して10分程度の口頭試問(問答)を実施。
模擬授業の過去問
幼稚園教諭
想定 | 15〜20人程度の幼児がいる保育室 |
---|---|
内容 | 幼稚園教育要領の内容から各自選択 |
方法 | ① 模擬保育開始前に模擬保育の対象幼児(年少・年中・年長)、具体的な場面や内容等を述べる。 ② 幼児の反応や行動等を想定した模擬保育を6分間で行う。 |
小学校教諭
想定 | 20人~30人程度の児童がいる教室 |
---|---|
内容 | 小学校学習指導要領の内容から各自選択 |
方法 | ①模擬授業開始前に選択した教科等、学年、内容等を述べる。 ②児童の反応等を取り入れた模擬授業を9分間で行う。 |
中学校教諭
想定 | 20人~30人程度の生徒がいる教室 |
---|---|
内容 | 志望校種・教科の学習指導要領の内容から各自選択 |
方法 | ①模擬授業開始前に選択した教科等、学年、内容等を述べる。 ②生徒の反応等を取り入れた模擬授業を9分間で行う。 |
養護教諭
想定 | 20人~30人程度の児童・生徒がいる教室 |
---|---|
内容 | 小学校学習指導要領の体育「G保健」の内容又は中学校学習指導要領の保健体育「保健分野」の内容 |
方法 | ①模擬授業開始前に選択した校種、学年、内容等を述べる。 ②児童・生徒の反応等を取り入れた模擬授業を9分間で行う。 |
栄養教諭
想定 | 20人~30人程度の児童・生徒がいる教室 |
---|---|
内容 | 給食の時間における食に関する内容又は給食を教材とした教科等における食に 関する内容 |
方法 | ①模擬指導開始前に選択した校種、学年、具体的な場面や内容等を述べる。 ②児童・生徒の反応等を取り入れた模擬授業を9分間で行う。 |
口頭試問(共通)
- 模擬授業の出来はどうでしたか。
- 今の内容を10点満点で自己評価してください。
- →満点にするには何が必要ですか。
- 授業についてこれていない子供への対応はどうしますか。
- なぜ、この単元(内容)を選んだのですか。
- 今後の展開を教えてください。
- 授業でICTをどのように活用しますか。
模擬授業の対策方法
模擬授業の対策で意識するポイントは次の3つです。
- 児童・生徒の視点を大切にする
- 愛想よく振る舞う
- 客観的な姿を見て練習
これを一つずつ深掘りします。
- 児童・生徒の視点を大切にする
-
模擬授業では、ただ授業ができればいいわけではなく、「どれだけ子どもたちの興味・関心を惹けるか」が重要です。
授業方法や専門知識の量、講師経験の有無など受験者によって違うので、模擬授業をするときには、「どんな先生が子どもたちに人気があるのか」を意識して演じる必要があります。
- 愛想よく振る舞う
-
専門知識や授業構成力などの内容も重要ですが、あくまでも試験なので「印象」が超大事です!
たとえば「教科書の7ページを開いてください」という動作。「声に出すだけ」なのと「体全体を使って表現」するのとでは、まったく印象は違いますよね。
とくに小学生の低学年を対象にするのであれば、動作を大きくして授業したほうが子どもたちからすれば楽しいはず。
もちろん、本当の授業ではする必要はありませんが、あくまでも試験なのでそれくらいしたほうが評価はよくなります。
- 客観的な姿を見て練習
-
模擬授業は自己満足では意味がありません。
声の大きさや表情、板書のわかりやすさなどは第三者の意見がすべてだからです。
一番は勤務先の先生や大学の教職課に見てもらうことが一番ですが、一人でも授業を録画するなどして対策はできます。
大切なのは印象ですから繰り返し練習することが大切です。
志望教科の専門性や指導力だけでなく、どのように(な)授業をしているのか、児童生徒の興味・関心を惹きだす内容か、などを総合的に評価されます。
塾や予備校のようなやや強引な展開で授業を進める人もいますが、学校での授業では、子供とのやり取り・掛け合いが非常に重要。
発問や質問を重ねて、クラス全体で授業を「つくっていく」ことを意識して準備しましょう。
個人面接
熊本市教員採用試験の個人面接は、自己PRや志望動機から教職員としての適性や素質、人間性などを評価・判断する人物試験です。
一人2回の個人面接が行われます。
個人面接の概要
試験時間 | 20分 |
---|---|
面接官 | 3名 |
配点 | 150点満点 |
評価基準 | 教員としての適性、専門的知識・技能、授業構成力、指導方法・手立ての工夫等 |
質問例 | ・隣のクラスの先生から「あなたのクラスはいつもうるさい」と注意されました。クラス担任として,どのように対応しますか。 →なぜあなたのクラスはうるさいと思いますか。 →後日、隣のクラスの先生には何と伝えますか。 ・熊本市を志望した理由は何ですか。 ・熊本県でなく、熊本市の理由はありますか。 |
頻出の質問に対する回答を準備した後は、予備校などで面接練習を行いましょう。1人で練習しているだけでは気付けない点がたくさんあるからです。
たとえば、自分では自然だと思っている話し方が他人には緊張しているように見えることがあります。また、手の動きが多すぎたり、声のトーンが一定で単調に聞こえたりすることも多いです。
こうした点を他人からフィードバックを受けることで、より効果的なコミュニケーションができるようになります。
面接は、見た目や態度、話し方といった非言語的な要素も評価の対象となります。
他人の視点からのフィードバックを積極的に取り入れて、全体的な印象を良くする努力をしましょう。
下記の記事でも詳しく解説しています。
熊本市教員採用試験に関するFAQ
熊本市教員採用試験に関するFAQ(受験者から頻繁に寄せられる質問とその回答)をまとめています。
試験概要
試験日程
試験対策
まとめ|熊本市教員採用試験は難しいのか?
この記事では、熊本市教員採用試験の内容と対策のポイントについて、一次試験・二次試験に分けて詳しく解説しました。
再度、試験内容をまとめます。
- 一次試験
-
教職専門、専門教科等
- 二次試験
-
論文、実技、模擬授業、個人面接
熊本市教員採用試験の難易度は、他の自治体と比較して決して高くはありません。しかし、最終合格するためには計画的な準備と十分な対策が不可欠です。
あなたの努力が実を結び、試験に合格することを心から応援しています。今すぐ行動を始め、夢に向かって一歩踏み出しましょう!
熊本市以外の試験内容は、下記の記事で詳しくまとめています。
コメント