本記事は、北海道内の公立学校で先生になりたい方に向けて「受験ガイド」を作る気持ちで書きました。
最後まで読めば、北海道教員採用試験の内容から対策のヒントまで網羅的に理解できます!
敵を知らずして対策を始めてしまうのは、時間の無駄になりかねません。北海道教員採用試験の合格に向けて、着実に対策を始めていきましょう。

北海道教員採用試験の主な変更点
2026年度(2025年実施)北海道教員採用試験の主な変更点を紹介します。
- 地域枠の拡大
- アスリート特別選考の実施
- ALT特別選考の実施
地域枠の拡大
一般選考(地域枠)について、従来の日高、宗谷、根室、オホーツクに加え、「留萌」を対象地域とします。
アスリート特別選考の実施
オリンピック等への出場経験等の実績のあるアスリート人材を対象とした特別選考を新設します。
対象者:中学校教諭(保健体育)、高等学校教諭(保健体育)の受検を希望する者で、オリンピック・パラリンピック・デフリンピックに日本代表選手として出場経験のある者。
ALT特別選考の実施
道内公立高等学校等における一定期間以上の勤務経験のあるALT(外国語指導助手)を対象とした特別選考を新設します。
北海道教員採用試験の内容
北海道教員採用試験の内容を第1次試験と第2次試験ごとに詳しく解説します。
第1次試験
北海道教員採用試験の一次試験は、「教養検査(教職・一般教養)」と「専門検査(専門教養)」の2科目が行われます。
教養検査(教職・一般教養)
教育に関する基礎的な知識を問う「教職教養科目」と、高校までに習った基礎学力を測る「一般教養科目」から出題されます。
試験時間 | 60分 |
---|---|
出題数 | 20題 |
問題数 | 40問 |
出題分野 | 教職教養分野:大問10題(20問) 一般教養分野:大問10題(20問) |
出題形式 | 穴埋め・正誤の組合せ |
解答方式 | 択一式(マークシート) |
配点 | 40点満点 |
教養検査の出題範囲は非常に広く、全ての科目・分野を均等にカバーするのは現実的ではありません。
以下の出題傾向を参考にして、出題数の多い科目や出題頻度の高い分野から勉強していくと効率的です。
科目別出題数
試験科目 | 2023 | 2024 | 2025 |
---|---|---|---|
教育原理 | 16 | 16 | 8 |
教育法規 | 2 | 2 | 4 |
教育心理 | 2 | 2 | 4 |
教育史 | 0 | 0 | 4 |
国語 | 2 | 2 | 3 |
倫理 | 0 | 0 | 0 |
英語 | 2 | 2 | 3 |
音楽 | 0 | 2 | 1 |
美術 | 2 | 0 | 1 |
保健体育 | 0 | 2 | 0 |
世界史 | 2 | 0 | 0 |
日本史 | 0 | 2 | 0 |
地理 | 0 | 0 | 1 |
政治 | 2 | 0 | 1 |
経済 | 0 | 2 | 1 |
国際関係 | 0 | 0 | 0 |
環境 | 0 | 0 | 0 |
数学 | 2 | 2 | 4 |
物理 | 0 | 2 | 1 |
化学 | 2 | 0 | 1 |
生物 | 2 | 0 | 1 |
地学 | 0 | 2 | 0 |
情報 | 0 | 0 | 0 |
その他 | 4 | 2 | 2 |
- 各数字は科目ごとの出題数です。
- 上記は僕自身の解釈であり、公式発表されたものではありません。

出題数が多く、理解に時間がかかる教育原理や教育法規、数学から勉強を始めることが重要です。
分野別出題範囲
教養検査の出題範囲は膨大ですが、全範囲から出題されているわけではありません。
たとえば、数学の出題範囲を分析すると「図形」の分野が高頻度で出ています(下図参照)。


使える時間が限られている中で、試験に出ない可能性の高い分野にまで労力を費やすのは明らかに効率的ではありません。
頻出度の高い分野をしっかりと抑えた後、その他の分野を補完的に学習することがとても大事です。
最初から最後までコツコツ勉強するのもいいですが無駄が多いです。傾向分析をしてから効率よく対策しましょう。



過去10年間の出題範囲を下記の記事で詳しくまとめています。ぜひ参考にしてください!


専門検査
志望校種・教科に関する専門的知識を測る筆記試験です。出題科目(範囲)は教科・科目によって異なります。
試験時間 | 60分 |
---|---|
問題数 | 20問 |
出題形式 | 択一式 |
配点 | 100点満点 |
問題レベルは、大学入試共通テスト(旧センター試験)から国公立大二次試験で問われるレベルの問題が6割程度を占めています。



専門検査の配点は教養検査の2倍!専門検査で高得点を取ることが重要です。
専門検査は、受験者ごとに学力レベルや知識の差が大きく出やすいので、自分の学力に合った方法での対策が必須です。
たとえば、英語教員を目指す人の中には英検1級レベルの人から3級すら危うい人までおり、同じテキストや手順で勉強しても効率がよくありません。
まずは過去問を自力で解き、自分の実力を正確に把握することが大事です。
過去問を解いてみて…、
- 5割以下:基礎がないので中学受験レベルから勉強しなおす。基本的な概念や知識をしっかり固めることが大切です。
- 7割以下:高校~大学受験レベルで力をつける。より高度な問題に挑戦し、理解を深めることを目指しましょう。
- 7割以上:全国の過去問を解いて知識の定着や弱点克服。さらに実践的な問題に取り組むことで、試験本番に備えます。
このように捉えて勉強を始めるといいでしょう。
教科検査の勉強方法は、下記の記事でも解説しています。あわせて確認してみてください!


第2次試験
北海道教員採用試験の二次試験は、「面接検査」と「教科等指導法検査」、「実技検査」、「適性検査」の4科目が行われます。
面接検査
北海道が求める教員としてふさわしい人物であるか、人柄・意欲・対人関係能力等を評価・判断する試験です。
実施回数 | 1人2回 |
---|---|
試験時間 | 各20分 |
面接官 | 3人 |
評価基準 | ・態度 ・表現力 ・判断力 ・意欲・情熱 ・指導力 |
配点 | 7段階 |
- 緊張していますか?
- 健康状態は良好ですか?
- 北海道を志望した理由は何ですか?
- 教員を志望する理由は何ですか?
- 受験校種・教科を志望する理由は何ですか?
- 受験教科でどのようにICTをとり入れますか?
- 教員同士の連携についてどうすればうまくいくと思いますか?
- 教師の不祥事についてなぜ起こると思いますか。またどうすれば防ぐことができると思いますか?
- ストレスを感じたことはありますか。どのようなことにストレスを感じますか?
- 部活動で辛かった経験はありますか。また、それをどうやって乗り越えましたか?
教員採用試験の面接試験は、一つの回答に対しより掘り下げて受験者の行動特性を把握する「コンピテンシー評価型面接」で行われています。
たとえば、「長所は何ですか?」→「長所が活躍したエピソードはありますか?」→「その長所を教員としてどのように活かしますか?」といったように追加質問をしてきます。
しっかり自己分析ができていないと、深掘り質問に対応できません。過去に聞かれた質問に根拠を踏まえて回答できるよう、早め早めに準備を始めましょう。



過去の質問例や対策方法などは、下記の記事で詳しく解説しています!


教科等指導法検査
教科等指導法検査は、志望校種・教科に関する「学習指導要領の理解度」、「具体的な指導方法」、「教育現場での対応策」を論じる記述式の筆記試験です。
試験時間 | 60分 |
---|---|
出題数 | 大問2題 |
問題数 | 小問4~6問 |
出題形式 | 記述式 |
配点 | A~Eの5段階評価 |
評価方法は、設問ごとに設定された評価観点にそって5段階(A~E)で評価します。
基準となる用語や説明が入っていれば、C評価以上はつきますが、白紙で提出したり、キーワードが入っていなかったりすると減点になるので注意が必要です。



字をきれい・丁寧に書くことも忘れないようにしてください。
教科等指導法検査の過去問
第1問 小学校学習指導要領解説(平成29年7月)「国語編」に示されている内容を踏まえて、次の問1、問2に答えなさい。
問1 A小学校では、国語科において、語彙指導の充実を図る場面を具体化して指導計画に位置付けることとしました。第1学年及び第2学年の指導に当たり、どのような場面を設定すると指導の効果が高まるか、書きなさい。
第2問 下の【 】は、小学校第5学年算数科「四角形と三角形の面積」の学習指導案の一部です。
問1 次の【評価する際の留意点】を踏まえ、下線アの場面における「主体的に学習に取り組む態度」の評価基準を満たしている児童の姿を具体的に2つ書きなさい。



教科・科目の専門知識だけでなく、学習指導要領の知識や指導力などが求められます。
教科等指導法検査の対策は次の3ステップに沿って行いましょう。
まずはどのような内容(教科指導 or 場面・事例指導)なのか、数年分の問題を見て傾向をつかむことが大切です。
5年分ぐらい見ておくといいでしょう。
傾向を把握したら単元指導計画や評価表を書く練習が必要です。
「具体的に記入するように」と留意点があるので、時間配分や流れをしっかり書くクセをつけてください。
最後は書いた単元指導計画などを教職経験のある先輩などに見せて評価をもらいましょう。
論文や面接と同じで一人では、ちゃんと書けているのかどうかや誤字脱字などに気づけませんよね。なので、最終的には評価をもらうことで上達できます。
実技検査
実技検査は、専門的技能や実践的能力があるかどうかを評価・判断する人物試験です。
中学校、高校のうち、以下の教科の受験者が対象です。
- 音楽
- 英語
- 保健体育



専門知識の有無だけでなく、児童生徒に知識を伝えるための教育的なアプローチや方法論も重要視されます。
実技検査のテーマ
中高:保健体育 | ・マット運動(倒立、前転、後転、伸膝後転、側方倒立回転) ・バスケットボール(ドリブル、シュート) ・バレーボール(オーバーとアンダーによる連続直上トス) ・柔道(支え釣り込み足、大腰の打ち込みと投げ及び技に応じた受身) |
---|---|
中高・音楽 | ・【ピアノ演奏】中学校歌唱 共通教材 のうち 、 当日指定された1曲を、簡単な伴奏を付けて、原調で演奏するとともに、検査時に示された調に移調して演奏する。 ※楽譜の持参可。ただし、コピーしたもので、著作権を侵害するものは不可。 ・【視唱】コールユーブンゲン(第1巻)No1~No41(原書番号)のうち、当日指定された1曲を歌う。 |
中高・英語 | 日常的なことの自由会話と英文を読んで内容について答える。 |
何ができて、できていないのかを早めに把握するようにしましょう。そのうえで出来るように少しずつ技能を磨いていくことが最適解です。
また、自己評価だけでなく、指導者や同僚からフィードバックをもらうことで、自分では気づかない改善点を発見することができます。
なお、課題に沿って完璧にできることにくわえて、熱意や意欲、態度なども評価対象です。



実際の試験では面接と同じように楽しくできるように練習してください。
北海道教員採用試験に関するFAQ
北海道教員採用試験に関するFAQ(受験者から頻繁に寄せられる質問とその回答)をまとめています。
試験概要編
Q-1 北海道の求める教師像は?
A-1 北海道の求める教師像は次の3つを掲げています。
- 教育者として、強い使命感・倫理観と子どもへの深い教育的愛情を、常に持ち続ける教員
- 教員の専門家として、実践的指導力や専門性の向上に、主体的に取り組む教員
- 学校づくりを担う一員として、地域等とも連携・協働しながら、課題解決に取り組む教員
Q-2 北海道教員採用試験の受験資格(年齢制限)は?
A-2 2026年度(2025年実施)の場合、昭和39年4月2日以降に生まれた人が対象です。
Q-3 北海道教員採用試験の採用予定人数は?
A-3 2026年度(2025年実施)北海道教員採用試験では以下の採用を予定しています。
小学校 | 350人(400) |
---|---|
中学校 | 国語40人(40)|社会35人(35)|数学40人(40)|理科40人(40)|音楽20人(20)|美術15人(15)|保健体育35人(35)|技術20人(20)|家庭15人(15)|英語40人(40) |
高校 | 国語30人(25)|地理歴史10人(10)|公民10人(10)|数学30人(25)|理科25人(15)|保健体育20人(15)|音楽2人(3)|英語45人(35)|家庭10人(5)|情報10人(5)|農業10人(10)|工業20人(15)|商業10人(5)|水産5人(2)|看護5人(5)|福祉1人(2) |
特別支援学校 | 小学部40人(40)|中学部40人(40)|高等部40人(40)|自律活動2人(2) |
養護教諭 | 40人(80) |
栄養教諭 | 10人(15) |
- ( )の数字は2025年度の予定数。
Q-4 北海道教員採用試験の受験倍率は?
A-4 北海道教員採用試験の受験倍率は3.0倍程度で推移しています。
採用年度 | 受験者数 | 合格者数 | 倍率 |
---|---|---|---|
2024 | 2,839 | 1,182 | 2.4 |
2023 | 2,708 | 1,300 | 2.1 |
2022 | 2,778 | 1,032 | 2.7 |
2021 | 3,089 | 1,075 | 3.0 |
2020 | 3,218 | 1,267 | 2.5 |



教科別の倍率は下記の記事で詳しくまとめています!


試験日程編
Q-5 北海道教員採用試験の募集要項はいつ発表されますか?
A-5 3月下旬に募集要項が発表されます。
2026(令和8)年度の募集要項は2025年3月28日(金)に公示されました。
募集要項には、試験内容や実施状況などの詳細な情報が掲載されていますので、必ず確認してください。
Q-6 北海道教員採用試験の出願期間は?
A-6 4月上旬から5月上旬にかけて受付を行います。
2026(令和8)年度の出願期間は、2025年4月7日(月)~5月1日(木)までです。
Q-7 北海道教員採用試験の試験日は?
A-7 第1次試験は6月、第2次試験は8月に実施されます。
2026(令和8)年度の試験日は以下のとおり。
第1次試験 | 2025年6月15日(日) |
---|---|
第2次試験 | 2025年8月1日(金)~3日(日) |



他自治体の試験日は、下記の記事でまとめています!


Q-8 北海道教員採用試験の合格発表日は?
A-8 第1次試験の合格発表は7月、第2次試験は9月に行われます。
2026(令和8)年度の合格発表日は以下のとおり。
第1次試験 | 2025年7月18日(金) |
---|---|
第2次試験 | 2025年9月26日(金) |
第2次試験に合格すると、採用候補者名簿に登録されます。その後、意向聴取、受験資格の確認等を行い、学校現場の欠員状況等を考慮した上で採用者を内定。



原則として2026年4月1日付けで採用されます。
試験対策編
Q-9 北海道教員採用試験の過去問はどこで入手できますか?
北海道教員採用試験の過去問は、北海道総務部行政局文書課行政情報センターで閲覧・コピー(有料)できます。
過去の問題と解答が入手できるので、出題内容や形式、問題レベルを測るのに活用できます。


Q-10 北海道教員採用試験の対策でオススメの参考書や問題集は?
A-10 北海道教員採用試験の問題集や参考書でオススメなのは「教員採用試験「過去問」シリーズ(協同出版)」です。
数年分の過去問が掲載されています。勉強を始める前に難易度や傾向を把握でき、無駄のない勉強ができて効果的です。



オススメの問題集・参考書は下記の記事で解説しています。


本記事はここまでです。
本サイトでは、北海道教員採用試験の合格に必要な情報を多く配信しています。ぜひ、参考にして対策を始めてくださいね。



北海道教員採用試験に関する質問・相談は、専用フォームまたはコメント欄へお願いします!




コメント