本記事は、愛知県内(名古屋市除く)の公立学校で先生になりたい方に向けて「受験ガイド」を作る気持ちで書きました。
最後まで読めば、愛知県教員採用試験の内容から対策のヒントまで網羅的に理解できます!
敵を知らずして対策を始めてしまうのは、時間の無駄になりかねません。愛知県教員採用試験の合格に向けて、着実に対策を始めていきましょう。

愛知県教員採用試験の内容
愛知県教員採用試験の内容を第1次試験と第2次試験ごとに詳しく解説します。
第1次試験
愛知県教員採用試験の第1次試験は、「教職・一般教養」、「専門教科」、「小論文」の3科目です。
教職・一般教養
教職・一般教養は、教育に関する基礎的な知識を問う「教職教養科目」と、高校までに習得した基礎学力を測る「一般教養科目」から構成される筆記試験です。
まずは、教職・一般教養の概要を確認しましょう。
試験時間 | 60分 |
---|---|
問題数 | 30問(必答) |
出題形式 | 正誤問題、穴埋め問題 |
解答方法 | 択一式(OCR) |
出題範囲 | ○教職教養:12問 ○人文科学:6問 ○社会科学:3問 ○自然科学:6問 ○その他:3問 ※2025(令和7)年度実績 |
配点 | 100点満点 |
このように試験の形式自体はシンプルに見えますが、実際の出題範囲は非常に広範囲にわたります。そのため、やみくもにすべての分野を勉強しようとすると膨大な時間と労力がかかってしまうんですよね…。
そこで、過去のデータをもとに、出題傾向を分析し、効率的に学習を進めるためのポイントを整理しました。
科目別出題数
過去3年分(2023~2025年度)の出題数を科目別にまとめると、以下のようになります。
採用年度 | 2023 | 2024 | 2025 |
---|---|---|---|
教育原理 | 7 | 6 | 6 |
教育法規 | 3 | 3 | 3 |
教育心理 | 1 | 1 | 1 |
教育史 | 2 | 2 | 2 |
ローカル | 1 | 2 | 2 |
国語 | 2 | 2 | 2 |
英語 | 2 | 2 | 2 |
音楽 | 1 | 1 | – |
保健体育 | 1 | 1 | 1 |
美術 | – | 1 | 1 |
世界史 | – | 1 | 1 |
日本史 | 1 | – | – |
地理 | 1 | – | 1 |
政治 | 1 | – | – |
経済 | – | 1 | – |
環境 | – | – | 1 |
数学 | 2 | 2 | 2 |
物理 | – | – | 1 |
化学 | 1 | 1 | – |
生物 | – | – | 2 |
地学 | 1 | 2 | – |
情報 | 1 | 1 | 1 |
一般常識 | 2 | 1 | 1 |
出題数の多い「教育原理」と「教育法規」が、合否に直結する重要科目です。
一方で、自然科学や社会科学、人文科学は1科目あたりの出題数が少なく、範囲の広さに対してリターンが小さいため、後回しにする戦略も有効です。
効果的な学習戦略
教職・一般教養の出題範囲は信じられないほど広いですが、実際に繰り返し出題されるテーマはごく一部に限られています。
たとえば、一般的な参考書で「重要」とされる教育法規の「教職員の法規」も、愛知県では過去10年間でたった1回しか出題されていません。

このように、出題傾向をもとに「出るところ」に絞って学習を進めることが、合格への最短ルートです。
時間は有限です。
すべてを満遍なく勉強するよりも、出題頻度の高い分野から重点的に取り組みましょう。

過去10年間の出題範囲を下記の記事で詳しくまとめています。ぜひ参考にしてください!


専門教科
志望校種・教科に関する専門的知識を測る筆記試験です。出題科目(範囲)は教科・科目によって異なります。
試験時間 | 60分 |
---|---|
問題数 | 教科・科目による |
出題形式 | 択一式 |
配点 | 100点満点 |
問題レベルは、大学入試共通テスト(旧センター試験)から国公立大二次試験で問われるレベルの問題が6割程度を占めています。
専門教科は、受験者ごとに学力レベルや知識の差が大きく出やすいので、自分の学力に合った方法での対策が必須です。
たとえば、英語教員を目指す人の中には英検1級レベルの人から3級すら危うい人までおり、同じテキストや手順で勉強しても効率がよくありません。
まずは過去問を自力で解き、自分の実力を正確に把握することが大事です。
過去問を解いてみて…、
- 5割以下:基礎がないので中学受験レベルから勉強しなおす。基本的な概念や知識をしっかり固めることが大切です。
- 7割以下:高校~大学受験レベルで力をつける。より高度な問題に挑戦し、理解を深めることを目指しましょう。
- 7割以上:全国の過去問を解いて知識の定着や弱点克服。さらに実践的な問題に取り組むことで、試験本番に備えます。
このように捉えて勉強を始めるといいでしょう。



専門試験の勉強方法は、下記の記事でも解説しています。あわせて確認してみてください!


小論文
愛知県教員採用試験の小論文は、自分の考えや主張を論理的に説明する文章形式の試験です。筆記試験では判断できない、論理的思考力や読解力、教師としての適性などを総合的に評価します。
試験時間 | 60分 |
---|---|
文字数 | 900字 |
問題数 | 1題 |
評価基準 | ・教育に対する見識をもち、現実に対する認識は適切であるか。 ・教育に対する意欲は十分であるか。 ・教師として現実に立脚した展望をもっているか。 ・出題の意図を的確にとらえ、論旨が一貫しているか。 ・文章表記は適切であるか。 |
配点 | A~Eの5段階 |
文字数は制限があり、900字以内で書かなければなりません。対する試験時間は60分なので、文字数に対する試験時間が極めて短いのが愛知県の特徴です。
普段から時間配分を意識して書く練習をしてください。
まずは過去問を使って具体的なテーマの傾向を把握することが大事です。過去問を通じて傾向を知れば、どのような切り口で論じるべきかが見えてきます。
傾向を掴んだら、時間を測りながら答案を書き、繰り返し添削を受けることが重要です。
小論文で落ちる人ほど、書いた後にそれを放置してしまうことが多いので注意しましょう。



より詳しい小論文の内容や過去のテーマは、下記の記事も参考にしてください。


第2次試験
愛知県教員採用試験の二次試験内容は次の2科目です。
口述試験
愛知県教員採用試験の口述試験は、自己PRや志望動機から教職員としての適性や素質、人間性などを評価・判断する人物試験です。
実施形式 | 個人面接+場面指導 |
---|---|
実施回数 | 1人2回 |
試験時間 | 各20分 |
面接官 | 3人 |
配点 | 60点満点 |
評価基準 | ・積極性 ・表現力 ・協調性 ・適応性 ・社会性 ・安定性 |
質問例 | ・教員になりたいと思ったきっかけは何ですか。 ・どういう教員になりますか。 ・理想の教員像を教えてください。 ・理想の教員になるために頑張っていることはありますか。 ・目標とされる教員になるために、どんなことに気を付けたいですか。 ・ある一人の子が守らずにマスクを付けていません。それを見た子が不満に思っています。あなたはどのようにクラス全体に指導しますか。 |
頻出の質問に対する回答を準備した後は、予備校などで面接練習を行いましょう。1人で練習しているだけでは気付けない点がたくさんあるからです。
たとえば、自分では自然だと思っている話し方が他人には緊張しているように見えることがあります。また、手の動きが多すぎたり、声のトーンが一定で単調に聞こえたりすることも多いです。
こうした点を他人からフィードバックを受けることで、より効果的なコミュニケーションができるようになります。
面接は、見た目や態度、話し方といった非言語的な要素も評価の対象となります。
他人の視点からのフィードバックを積極的に取り入れて、全体的な印象を良くする努力をしましょう。



より詳しい内容や過去問は下記の記事でまとめています。


実技試験
愛知県教員採用試験の実技試験は、専門的技能や実践的能力があるかどうかを評価・判断する人物試験です。
中学校、高校、特別支援学校のうち、以下の教科の受験者が対象です。
音楽 | 新曲視唱奏「旋律にふさわしい伴奏を付け、母音又は階名のいずれかで歌う。」 |
---|---|
美術 | デッサン「手と輪ゴムを観察し、鉛筆でデッサンする」 |
保健体育 | 〇器械運動(マット運動)「伸膝前転→倒立前転→開脚前転→後転→伸膝後転→側方倒立回転」 〇【選択】陸上競技(ハードル走・水泳(平泳ぎ→クロール) 〇【選択】武道(剣道:切り返し、小手・面→体当たり・引き胴、柔道:前回り受け身、投げ技→打ち込み→投げ)、ダンス(1分間の創作ダンス) 〇【選択】サッカー(トラップ→リフティング→ドリブル→シュート→パスを受けてシュート)、ハンドボール(パス・キャッチ→ドリブル→パス・キャッチ→ストップ・フェイント→ジャンプシュート) 〇【選択】バレーボール(アンダーハンドレシーブ→オーバーハンドトス→スパイク)、バスケットボール(チェストパス→ドリブルシュート→ゴール下ジャンプシュート) |
英語 | 問題カードを読む⇒英語の質問3つに英語で回答する。 |
何ができて、できていないのかを早めに把握するようにしましょう。そのうえで出来るように少しずつ技能を磨いていくことが最適解です。
また、自己評価だけでなく、指導者や同僚からフィードバックをもらうことで、自分では気づかない改善点を発見することができます。
なお、課題に沿って完璧にできることにくわえて、熱意や意欲、態度なども評価対象です。



実際の試験では面接と同じように楽しくできるように練習してください。
愛知県教員採用試験に関するFAQ
愛知県教員採用試験に関するFAQ(受験者から頻繁に寄せられる質問とその回答)をまとめています。
試験概要編
Q-1 愛知県の求める教師像は?
A-1 愛知県の求める教師像は次の6つを掲げています。
- 児童生徒に愛情をもち教育に情熱と使命感をもつ人
- 高い倫理観をもち円満で調和のとれた人
- 実行力に富み粘り強さがある人
- 明るく、心身ともに健康な人
- 組織の一員としての自覚や協調性がある人
- 広い教養と豊富な専門的知識・技能を備えた人
Q-2 愛知県教員採用試験の受験資格(年齢制限)は?
A-2 2026年度(2025年実施)の場合、1966(昭和41)年4月2日以降に生まれた人が対象です。
Q-3 愛知県教員採用試験の採用予定人数は?
A-3 2026年度(2025年実施)愛知県教員採用試験では1635人程度の採用を予定しています。
校種 | 2026 | 2025 | 2024 |
---|---|---|---|
小学校 | 730 | 710 | 800 |
中学校 | 400 | 430 | 370 |
高等学校 | 290 | 350 | 260 |
特別支援 | 150 | 170 | 140 |
養護教諭 | 55 | 80 | 30 |
栄養教諭 | 10 | 10 | 10 |
計 | 1635 | 1750 | 1610 |
Q-4 愛知県教員採用試験の受験倍率は?
A-4 愛知県教員採用試験の受験倍率は3倍程度で推移しています。
採用年度 | 受験者数 | 合格者数 | 倍率 |
---|---|---|---|
2025 | 5,216 | 1750 | 3.0 |
2024 | 5,435 | 1610 | 3.4 |
2023 | 5,709 | 1,710 | 3.3 |
2022 | 6,004 | 1,570 | 3.8 |
2021 | 5,266 | 1,530 | 3.4 |



教科別の倍率は下記の記事で詳しくまとめています!


試験日程編
Q-5 愛知県教員採用試験の募集要項はいつ発表されますか?
A-5 4月下旬に募集要項が発表されます。
2026(令和8)年度の募集要項は2025年4月25日(水)に公示されました。
募集要項には、試験内容や実施状況などの詳細な情報が掲載されていますので、必ず確認してください。
Q-6 愛知県教員採用試験の出願期間は?
A-6 4月下旬から5月上旬にかけて受付を行います。
2026(令和8)年度の出願期間は、2025年4月25日(金)~5月9日(金)までです。
Q-7 愛知県教員採用試験の試験日は?
A-7 第1次試験は6月、第2次試験は7月に実施されます。
2026(令和8)年度の試験日は以下のとおり。
第1次試験 | 2025年6月14日(土) |
---|---|
第2次試験 | 面接:2025年7月19日(土) 実技:2025年7月20日(日) |



他自治体の試験日は、下記の記事でまとめています!


Q-8 愛知県教員採用試験の合格発表日は?
A-8 第1次試験の合格発表は7月、第2次試験は8月に行われます。
2026(令和8)年度の合格発表日は以下のとおり。
第1次試験 | 2025年7月7日(月) |
---|---|
第2次試験 | 2025年8月29日(金) |
第2次試験に合格すると、採用候補者名簿に登録されます。その後、意向聴取、受験資格の確認等を行い、学校現場の欠員状況等を考慮した上で採用者を内定。



配属校の連絡は小中学校3月中旬、県立学校3月上旬です。
試験対策編
Q-9 愛知県教員採用試験の過去問はどこで入手できますか?
A-9 愛知県教員採用試験の過去問は、県民生活課情報コーナーで閲覧・コピー可能です。
過去問を活用することで、試験対策が効果的に進められますよ。
下記記事でも問題・解答をまとめています。


Q-10 愛知県教員採用試験の対策でオススメの参考書や問題集は?
A-10 愛知県教員採用試験の問題集や参考書でオススメなのは「教員採用試験「過去問」シリーズ(協同出版)」です。
数年分の過去問が掲載されています。勉強を始める前に難易度や傾向を把握でき、無駄のない勉強ができて効果的です。



オススメの問題集・参考書は下記の記事で解説しています。


Q-11 愛知県教員採用試験の合格ラインは?
A-11 愛知県教員採用試験の合格ラインは公開されていません。
しかし過去のデータから、教職・一般教養7割、教科専門6〜7割に小論文の評価次第が一つの目安となります。
なお、校種や教科によって差はあるうえ、競争試験なので、年度によって変動する点は注意が必要です。



合格ラインは下記の記事でも解説しています。


本記事はここまでです。
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