本記事では、愛知県教員採用試験の内容を徹底解説します。
今回は、愛知県の公立学校で先生になりたい方に向けて「受験ガイド」を作る気持ちで書きました。
最後まで読めば、愛知県教員採用試験の概要から合格に向けた準備まで網羅的に理解できますよ!
敵を知らずして対策を始めてしまうのは、時間の無駄になりかねません。
本記事を参考に愛知県教員採用試験の合格に向けて着実に対策を始めていきましょう。
愛知県教員採用試験の内容は?
愛知県教員採用試験は一次試験と二次試験の2段階選考となっています。
一次試験では、教職・一般教養と専門教科、小論文が、二次試験では、個人面接と実技試験がそれぞれ行われます。
一次試験 | 教職・一般教養 | 教職員として必要な基礎学力や一般教養に関する筆記試験。(択一式:30問 / 60分) |
---|---|---|
専門教科 | 指導教科に関する専門知識や教育方法論を問う筆記試験。(択一式:60分) | |
小論文 | 教育に関するテーマに基づき、自分の考えを論理的に展開し記述する試験。教育現場で直面する課題への対応策や教育哲学など、深い思考と表現力が求められます。(900字 / 60分) | |
二次試験 | 個人面接 | 教育現場での対応力や人柄、コミュニケーション能力などに関する面接試験。過去の経験や指導教科について質問されます。(1人20分×2回) |
実技試験 | 音楽や美術、体育など特定の教科の指導能力を見るための人物試験。 |
愛知県教員採用試験の内容|教職・一般教養
教員採用試験の教職・一般教養は、教職員として必要な基礎能力や専門性がどれくらい備わっているかを測る筆記試験です。
校種や教科に関係なく、全員が同じ問題に解答します。
教職・一般教養の概要
試験時間 | 60分 |
---|---|
問題数 | 30問(必答) |
出題形式 | 正誤問題、穴埋め問題 |
解答方法 | 択一式(マークシート) |
配点 | 100点満点 |
教職・一般教養は、問題数30問に対して試験時間は60分しかありません。
1問に2分かけていると時間に間に合わないので、各問題にかける時間をしっかりと配分することが重要です。
教職・一般教養の出題科目(範囲)
教職・一般教養の出題科目(範囲)は、教育に関する基礎的な知識を問う「教職教養科目」と、高校までに習った基礎学力を測る「一般教養科目」から出題されます。
採用年度 | 2022 | 2023 | 2024 |
---|---|---|---|
教育原理 | 7 | 7 | 6 |
教育法規 | 2 | 3 | 3 |
教育心理 | 1 | 1 | 1 |
教育史 | 2 | 2 | 2 |
ローカル | 2 | 1 | 2 |
国語 | 2 | 2 | 2 |
英語 | 2 | 2 | 2 |
音楽 | 1 | 1 | 1 |
保健体育 | 1 | 1 | 1 |
美術 | – | – | 1 |
世界史 | – | – | 1 |
日本史 | 1 | 1 | – |
地理 | 1 | 1 | – |
政治 | – | 1 | – |
経済 | – | – | 1 |
環境 | 1 | – | – |
数学 | 2 | 2 | 2 |
物理 | – | – | – |
化学 | 1 | 1 | 1 |
生物 | 1 | – | – |
地学 | – | 1 | 2 |
情報 | 1 | 1 | 1 |
一般常識 | 2 | 2 | 1 |
- 各数字は科目ごとの出題数です。
- 上記は僕自身の解釈であり、公式発表されたものではありません。
「ローカル」とは、あいちの教育ビジョンのような教育施策に関する問題を指します!
教職・一般教養対策のポイント
Point①:科目の優先順位を決定する
どの科目から手をつけるのか、どの分野は捨てていいのかなど、出題傾向(範囲)を理解し、効率よく勉強することが重要です。
たとえば、2024(令和6)年度本試験では、教育原理の出題数(配点)は6問(24点)ですが、教育心理は1問(3点)ほど。
どちらの科目に時間を使うかは明白ですよね。
それを念頭に、まず手をつけるべき主要科目は次の3つです。
- 教育原理
- 教育法規
- 数学
計算を含み、原理を理解するのに時間がかかる、または物理的に量が多いからです。
これらの科目にある程度メドが立たないと、合格は光の彼方なので、勉強当初は、これら主要科目に時間を使ってください。
主要科目の勉強にある程度メドをつけ、その後に他科目の勉強を本格化させるのが必勝パターンといえるでしょう。
Point②:頻出度の高い分野(単元)から覚える
参考書や問題集に取り組む際は、最初から勉強する必要はありません。なぜなら、出題頻度は分野(単元)によって異なるからです。
たとえば教育法規を勉強するなら、日本国憲法と教育基本法に時間をかけると効率的です。
- 各数字は分野ごとの出題数です。
- 上記は僕自身の解釈であり、公式発表されたものではありません。
全範囲を勉強して中途半端になるよりも、まずは出題頻度が高い分野(単元)に重点を置きインプットしましょう。
科目・範囲が膨大だからこそ、どの科目から手をつけるのか、どの分野は捨てていいのかなど、出題傾向を理解し、効率よく勉強しましょう。
より詳しい出題傾向はこちらで解説しています。
愛知県教員採用試験の内容|専門教科
教員採用試験の専門教科は、志望する校種・教科に関する専門的知識を測る筆記試験です。
指導教科の専門性を問われるので問題レベルが高く、多くの勉強時間が必要という特徴があります。
専門教科の概要
試験時間 | 60分 |
---|---|
問題数 | 教科・科目による |
出題形式 | 択一式 |
配点 | 100点満点 |
専門教科の出題科目(範囲)
専門教科の出題科目(範囲)は教科・科目によって異なります。
たとえば、小学校なら国語、算数、社会、理科、外国語などが出題されます。社会科なら日本史、世界史、地理、政治、経済、倫理が出題範囲という具合です。
また、教科・科目に関する知識以外にも、学習指導要領や指導方法・指導案に関する問題が出題されることもあります。
専門教科対策のポイント
専門教養は、受験者ごとに学力レベルや知識の差が大きく出やすいので、自分の学力に合った方法での対策が必須です。
たとえば、英語教員を目指す人の中には英検1級レベルの人から3級すら危うい人までおり、同じテキストで勉強しても意味がありません。
まずは過去問を自力で解き、現在の実力に合わせて、次のような勉強計画を考えてみましょう。
- 5割以下:基礎がないので中学受験レベルから勉強しなおす
- 7割以下:高校~大学受験レベルで力をつける
- 7割以上:全国の過去問を解いて知識の定着や弱点克服
専門教科を得意とする受験者は多いので、ライバルたちに差をつけられないように、手厚く勉強することが大事です。
詳しい出題傾向はこちらで解説しています。
愛知県教員採用試験の内容|小論文
愛知県教員採用試験の小論文は、自分の考えや主張を論理的に説明する文章形式の試験です。
筆記試験では判断できない、論理的思考力や読解力、教師としての適性などを総合的に評価します。
小論文の概要
試験時間 | 60分 |
---|---|
文字数 | 900字 |
問題数 | 1題 |
評価基準 | ・教育に対する見識をもち、現実に対する認識は適切であるか。 ・教育に対する意欲は十分であるか。 ・教師として現実に立脚した展望をもっているか。 ・出題の意図を的確にとらえ、論旨が一貫しているか。 ・文章表記は適切であるか。 |
配点 | A~Eの5段階 |
文字数は制限があり、900字以内で書かなければなりません。対する試験時間は60分なので、文字数に対する試験時間が極めて短いのが愛知県の特徴です。
普段から時間配分を意識して書く練習をしてください。
小論文対策のポイント
まずは出題テーマを分析し、小論文を書き上げるにはどんな知識が必要なのか把握しましょう。
愛知県の論文テーマは、「グラフ・図題」や「文章題」が交互に出題されます。なので、傾向に合わせて対策しないと具体的に論じることができません。
傾向が掴めたら過去問を使って答案を作成し、その上で繰り返し添削を受けてください。
小論文で落ちる人ほど、書いたら書きっぱなしってことが多いので注意しましょう。
過去のテーマはこちらでまとめています。
愛知県教員採用試験の内容|面接試験
愛知県教員採用試験の面接は、自己PRや志望動機から教職員としての適性や素質、人間性などを評価・判断する人物試験です。
ここ近年の教員採用試験では面接試験が重視されているので、早い時期から面接対策を見据えていきたいところ。
面接試験の概要
実施回数 | 1人2回 |
---|---|
試験時間 | 各20分 |
面接官 | 3人 |
配点 | 60点満点 |
評価基準 | ・積極性 ・表現力 ・協調性 ・適応性 ・社会性 ・安定性 |
面接試験の実施形式は個人面接+場面指導です。
集団面接とは違い、受験者は自分一人だけなので緊張しやすい形式ですが、他の受験者がいないことから集中でき、自分をアピールしやすいという利点があります。
面接試験の対策方法
頻出の質問に対する回答をある程度準備した後は、予備校等を利用して面接練習を行い、姿勢や話し方などを最適化していきましょう。
1人で練習しているだけでは気付けない点がたくさんあるからです。
たとえば、自分では自然だと思っている仕草が他人には落ち着きがないと映ることがあります。また、話す速度が速すぎたり、声のトーンが単調すぎたりすることに気づかないことも多いです。
こうした点を他人からフィードバックを受けることで、より効果的なコミュニケーションができるようになります。
なんとなく面接練習しているだけでは、自分のどこが良くてどこが悪いのかがわからないことが多いので注意してください。
過去の質問や対策方法は下記記事で解説します。
愛知県教員採用試験の内容|実技試験
愛知県教員採用試験の実技試験は、専門的技能や実践的能力があるかどうかを評価・判断する人物試験です。
専門知識の有無だけでなく、児童生徒に知識を伝えるための教育的なアプローチや方法論も重要視されます。
実技試験の概要
中学校、高校、特別支援学校のうち、以下の教科の受験者が対象です。
- 音楽
- 美術
- 保健体育
- 英語
配点は50点満点。
実技試験のテーマ
音楽 | 新曲視唱奏「旋律にふさわしい伴奏を付け、母音又は階名のいずれかで歌う。」 |
---|---|
美術 | デッサン「手と輪ゴムを観察し、鉛筆でデッサンする」 |
保健体育 | 〇器械運動(マット運動)「伸膝前転→倒立前転→開脚前転→後転→伸膝後転→側方倒立回転」 〇【選択】陸上競技(ハードル走・水泳(平泳ぎ→クロール) 〇【選択】武道(剣道:切り返し、小手・面→体当たり・引き胴、柔道:前回り受け身、投げ技→打ち込み→投げ)、ダンス(1分間の創作ダンス) 〇【選択】サッカー(トラップ→リフティング→ドリブル→シュート→パスを受けてシュート)、ハンドボール(パス・キャッチ→ドリブル→パス・キャッチ→ストップ・フェイント→ジャンプシュート) 〇【選択】バレーボール(アンダーハンドレシーブ→オーバーハンドトス→スパイク)、バスケットボール(チェストパス→ドリブルシュート→ゴール下ジャンプシュート) |
英語 | 問題カードを読む⇒英語の質問3つに英語で回答する。 |
実技試験の対策方法
何ができて、できていないのかを早めに把握するようにしましょう。そのうえで出来るように少しずつ技能を磨いていくことが最適解です。
また、自己評価だけでなく、指導者や同僚からフィードバックをもらうことで、自分では気づかない改善点を発見することができます。
なお、課題に沿って完璧にできることにくわえて、熱意や意欲、態度なども評価対象です。
そのため、実際の試験では面接と同じように楽しくできるように練習してください。
愛知県教員採用試験はいつ実施される?
愛知県教員採用試験は6月〜7月にかけて実施されます。
2025年度(2024年実施)愛知県教員採用試験の流れは次のとおり。
- 一般選考の流れを掲載しています。特別選考は区分によって異なるのでご注意ください。
2025年度愛知県教員採用試験の日程
募集要項の公示
例年、4月下旬に募集要項が発表されます。
2025(令和7)年度の募集要項は、2024年4月26日(金)に公示されました。
試験内容や実施状況などをはじめとする詳細な情報が掲載されています。
出願申込みの受付
<受付期間>
2024年4月26日(金)〜5月10日(金)
まずは、愛知県の公式Webサイトから「あいち電子申請・届出システム」にアクセスし、利用者登録をしてください。
その後、試験申込画面から必要事項を入力し、データを送信すれば完了です。
申込手続は、「利用者登録」と「試験申込」の2段階になっています。片方だけでは申込完了にならないので注意しましょう。
受験票および自己アピールシートのダウンロード
一次試験日の約10日前(2024年6月3日)に、出願時に登録したメールアドレスへ受験票および自己アピールシートのダウンロード案内が配信されます。
第一次試験日までにダウンロード・印刷して準備しましょう。
受験票には受験番号や試験会場などの情報が記載されているため、ダウンロードしたらすぐに確認してください。
希望した受験会場とは異なる受験会場が指定されている可能性もあるため、注意が必要です。
第一次試験
第一次試験の合格発表
試験日からおおむね2週間後の2024年7月8日(月)に、愛知県教育委員会のホームページおよび郵送で結果が知らされます。
結果通知には、二次試験の案内(試験日や持ち物等)が記載されているため、すぐに確認しましょう。
第二次試験
第二次試験の合格発表
試験日からおおむ1ヵ月後の2024年8月30日(金)に、愛知県教育委員会のホームページおよび郵送で結果が知らされます。
最終合格
第二次試験に合格すると、採用候補者名簿に登録されます。
その後、意向聴取、受験資格の確認等を行い、学校現場の欠員状況等を考慮した上で採用者を内定。
原則として2025年4月1日付けで採用されます。
他自治体の日程は下記記事をご覧ください。
愛知県教員採用試験の倍率は?
愛知県教員採用試験の倍率は4.2倍(2020年度)→3.4倍(2024年度)で推移しています。
過去5年間の実施状況(受験者数・合格者数・倍率)は次のとおり。
愛知県教員採用試験の実施状況
採用年度 | 受験者数 | 合格者数 | 倍率 |
---|---|---|---|
2024 | 5,435 | 1,610 | 3.4 |
2023 | 5,726 | 1,710 | 3.3 |
2022 | 6,017 | 1,570 | 3.8 |
2021 | 6,248 | 1,530 | 4.1 |
2020 | 6,318 | 1,490 | 4.2 |
教科別の実施状況(倍率)は次の記事で確認できます。
愛知県教員採用試験に関するFAQ
最後に、愛知県教員採用試験に関するFAQ(よくある質問)をまとめています。
愛知県の求める教師像(人物像)は?
愛知県の求める教師像(人物像)は、「児童生徒に愛情をもち教育に情熱と使命感をもつ人」や「高い倫理観をもち円満で調和のとれた人」など、以下6つを掲げています。
- 児童生徒に愛情をもち教育に情熱と使命感をもつ人
- 高い倫理観をもち円満で調和のとれた人
- 実行力に富み粘り強さがある人
- 明るく、心身ともに健康な人
- 組織の一員としての自覚や協調性がある人
- 広い教養と豊富な専門的知識・技能を備えた人
愛知県教員採用試験の受験資格(年齢制限)は?
昭和40年4月2日以降に生まれた人が対象です。
- 2025年度採用(一般選考)の場合。
愛知県教員採用試験の過去問はどこで入手できますか?
愛知県教員採用試験の過去問は、県民生活課情報コーナーで閲覧・コピー可能です。
過去の問題と解答が入手できるので、出題内容や形式、問題レベルを測るのに活用できます。
下記記事でも問題・解答をまとめています。
2025年度愛知県教員採用試験の採用予定人数は?
2025年度愛知県教員採用試験では、1750人の採用を予定しています。2024年度に比べて140人増える見込みです。
校種 | 2025 | 2024 | 2023 |
---|---|---|---|
小学校 | 710 | 800 | 900 |
中学校 | 430 | 370 | 400 |
高等学校 | 350 | 260 | 250 |
特別支援 | 170 | 140 | 100 |
養護教諭 | 80 | 30 | 50 |
栄養教諭 | 10 | 10 | 10 |
計 | 1750 | 1610 | 1710 |
- 上記は2024年4月26日現在の予定です。
愛知県教員採用試験の合格ラインは?
愛知県教員採用試験の合格ラインは公開されていません。
しかし過去のデータから、教職・一般教養7割、教科専門6〜7割に小論文の評価次第が一つの目安となります。
なお、校種や教科によって差はあるうえ、競争試験なので、年度によって変動する点は注意が必要です。
下記記事でも詳しく解説しています。
愛知県教員採用試験は難しいのか?
愛知県教員採用試験に合格することはそんなに難しくはありません。試験問題は高校までに学習した内容ですし、筆記試験の点数もそこまで高くないからです。
しかし、単純に筆記試験の点数を取れば合格できるものではなく、面接試験による人間性も重視されるため、努力がそのまま結果に結びつかない難しさがあります。
一次試験は突破できても、二次試験で落ち続けている人は一定数いますからね…。
解説したとおり、愛知県教員採用試験の内容は幅広いため、適当に勉強を進めるのではなく、傾向ををきちん理解してから効率よく行うことが大切です。
本サイトでは、愛知県教員採用試験の合格に必要な情報を多く配信しています。
ぜひ、参考にして対策を始めてくださいね。
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