福岡県の教員を目指して、採用試験の対策を始めようとしているあなたへ。
- 「試験の内容って具体的に何があるんだろう?」
- 「筆記だけじゃなく、面接や模擬授業もあるみたいだけど、どう対策すれば…?」
そんな疑問や不安で、何から手をつければいいか迷っていませんか?
大丈夫です。
この記事を読めば、福岡県教員採用試験の全体像から、一次・二次試験の具体的な内容、そして最新の変更点まで、合格に必要な情報がすべてわかります。
試験の全体像をしっかり掴むことが、合格への第一歩です。さあ、一緒に合格への最短ルートを走り出しましょう!
【令和8年度】福岡県教員採用試験の概要
これから福岡県教員採用試験の合格に向けて準備を始めるわけですが、何から手をつければいいか迷うかもしれません。
まずは敵を知ることから始めましょう。
ここでは、現時点で最新の「令和8年度(2025年実施)採用」の受験案内をもとに、福岡県教員採用試験の全体像を分かりやすく解説していきます。
試験の全体像をしっかり掴んで、合格までの最短ルートを走り出しましょう!
受験資格
「そもそも自分は受験できるのかな?」
最初に確認すべき大切なポイントですね。福岡県の教員採用試験では、主に以下の3つの要件を満たす必要があります。
- ①欠格事項に該当しないこと
-
地方公務員法第16条や学校教育法第9条で定められている、教員になれない条件に当てはまらないことが大前提です。
- ②年齢要件
-
「昭和41年4月2日以降に出生していること」、と定められていますね。
幅広い年齢層の方がチャレンジできるのが特徴です。
- ③免許状の要件
-
受験する校種・教科の普通免許状を持っているか、令和8年(2026年)3月31日までに取得する見込みがあることが必要です。
「取得見込み」で受験する学生さんがほとんどだと思いますので、安心してくださいね。
福永上記は一般選考の主な要件です。特別選考や、一部の教科では追加の要件があるため、詳細は必ず公式の受験案内で確認しましょう。
募集教科
福岡県がどのような先生をどれくらい求めているのか、具体的な数字で見ていきましょう。
以下の表は「令和8年度採用」の募集内容です。ご自身の受験する校種・教科の採用規模感を掴んでおきましょう。
| 校種 | 教科(科目) | 採用数 |
|---|---|---|
| 小学校 | 一般、英語有資格者 | 550 |
| 中学校 | 国語、社会、数学、理科、音楽、美術、保健体育、技術、家庭、英語 | 340 |
| 高等学校 | 国語、地理歴史(歴史、地理)、公民、数学、理科(物理、化学、生物)、保健体育、音楽、美術、書道、家庭、農業、工業、商業、情報、英語 | 179 |
| 特別支援 | 小学部 中学部[国語、社会、数学、理科、音楽、美術、保健体育、技術、家庭、英語] 高等部[国語、地理歴史(歴史、地理)、公民、数学、理科(物理、化学、生物)、 保健体育、音楽、美術、家庭、情報、英語] | 120 |
| 養護教諭 | ー | 14 |
| 栄養教諭 | ー | 1 |
教科ごとの採用があるかどうかは、年度によって変動します。特に、高校の先生を目指す方は、自分の専門教科の募集があるかどうかが死活問題になりますね。



採用見込数の詳細は、例年4月頃に福岡県教育委員会のウェブサイトで発表される「実施要項」で必ず確認してください。
試験日程(選考スケジュール)
試験対策は、スケジュール管理が命です。令和8年度採用試験の大きな流れを把握し、いつまでに何をすべきか計画を立てましょう。
| スケジュール | 日程 |
|---|---|
| 出願受付期間 | 令和7年3月26日(水)~4月30日(水) |
| 第1次試験 | 令和7年6月15日(日) |
| 1次結果発表 | 令和7年7月9日(水) |
| 第2次試験 | 令和7年度8月上旬〜中旬 |
| 最終結果発表 | 令和7年9月10日(水) |
| 配置校の連絡 | 令和8年3月上旬〜中旬 |
この流れを見ると、出願から一次試験まで約2ヶ月、一次試験から二次試験までも約1ヶ月と、意外と時間がないことが分かります。
▼なお、併願等を考えている方は以下の記事も参考にしてください。全自治体の試験日程を一覧でまとめています。
試験科目(種目)
福岡県教員採用試験は、第1次選考と第2次選考の2段階選抜方式です。
まず第1次選考で受験者を採用予定の2〜2.5倍まで絞り込み、その後、通過者を対象に第2次選考を行って採用候補者を決定します。
▼第1次選考の試験科目(種目)
▼第2次選考の試験科目(種目)



総合評価なので、バランスよく対策することが大事です!
主な変更点
2026年度(2025年実施)福岡県教員採用試験の主な変更点を紹介します。
- 教職等経験者特例の拡充
- 元正規教員特別選考の拡充
- 小学校教員の第二次試験における試験項目の変更
教職等経験者特例の拡充
教職等経験者特例のうち、正規教員・講師等経験者特例において、対象となる学校種に、国公立・私立を問わないこととし、本県以外の学校における正規教諭、常勤講師、非常勤講師等の勤務経験を加えるとともに、必要勤務年数を12 月以上に見直します。
元正規教員特別選考の拡充
対象となる学校種に、国公立・私立を問わないこととし、本県以外の学校における正規教員の勤務経験を加えるとともに、必要勤務年数を3年以上に見直します。
小学校教員の第二次試験における試験項目の変更
試験区分が小学校教員(一般)の第二次試験における試験項目のうち、英会話実技については廃止します。
第1次選考の傾向と対策
福岡県教員採用試験 第1次選考の最初の関門が筆記試験(教養試験と専門試験)です。
教員として必要な基礎知識と専門性がバランスよく問われるため、しっかり対策していきましょう。
教養試験
まずは、試験の基本的な情報を整理して、全体像を掴むことが大切です。
教養試験の概要
| 試験時間 | 50分間 |
|---|---|
| 出題数 | 25問 |
| 出題形式 | 択一式 |
| 試験方式 | マークシート |
| 配点 | 50点満点 |
50分で25問を解くので、1問あたりにかけられる時間は2分です。時間配分を意識して過去問演習に取り組むことが、本番での得点力アップに繋がります。
教養試験の傾向
教養試験は、大きく分けて「教師としての専門知識を問う『教職に関する科目』」と、「高校までの基礎学力を問う『一般教養に関する科目』」の2分野から出題されます。
それぞれの分野でどんな科目から何問くらい出題されているのか、過去3年間のデータを見てみましょう。
▼教職に関する科目(計15問程度)
| 科目 | 2025 | 2024 | 2023 |
|---|---|---|---|
| 教育原理 | 13 | 12 | 12 |
| 教育法規 | 2 | 4 | 2 |
| 教育心理 | 1 | 1 | 1 |
| 教育史 | 0 | 0 | 0 |
▼一般教養に関する科目(計10問程度)
| 科目 | 2025 | 2024 | 2023 |
|---|---|---|---|
| 国語 | 2 | 2 | 2 |
| 倫理 | 0 | 0 | 0 |
| 英語 | 1 | 1 | 1 |
| 音楽 | 0 | 0 | 0 |
| 美術 | 0 | 0 | 0 |
| 保健体育 | 0 | 0 | 0 |
| 世界史 | 0 | 0 | 0 |
| 日本史 | 0 | 0 | 0 |
| 地理 | 0 | 0 | 0 |
| 政治 | 2 | 1 | 1 |
| 経済 | 1 | 1 | 1 |
| 国際関係 | 0 | 0 | 1 |
| 環境 | 1 | 1 | 1 |
| 数学 | 1 | 1 | 1 |
| 物理 | 0 | 0 | 0 |
| 化学 | 0 | 0 | 0 |
| 生物 | 1 | 0 | 0 |
| 地学 | 0 | 0 | 1 |
| 情報 | 0 | 0 | 0 |
| その他 | 0 | 1 | 1 |
このデータを見ると、学習の優先順位が明確になりますね。
- 「教育原理」と「教育法規」の2科目だけで、毎年15問前後(全体の約6割)を占めています。
- 一方で、一般教養に関する科目は毎年1〜2問と少ないです。
つまり、出題範囲の広い教養試験を効率的に攻略するには、まず「教育原理」と「教育法規」を得点源にすることが何よりも重要だということです。
ここから優先的に学習を始めるのが、合格への最短ルートになります。
教養試験の対策方法
試験の範囲は膨大ですが、心配はいりません。 やみくもに手をつけるのではなく、正しい手順で効率よく勉強を進めれば、合格に必要な力は必ず身につきます。
ここでは、多くの合格者が実践してきた王道の5ステップ勉強法をご紹介しますね。
STEP1:まずは過去問で「現在地」を知る
何事も、まずは計画からですが、その前にやるべきことがあります。それは、まず1年分の過去問を時間を計って解いてみることです。
本格的な勉強を始める前に一度解いてみることで、「今の自分の実力(現在地)」と「合格までの距離」が明確になり、学習計画が格段に立てやすくなります。
点数が低くても全く気にする必要はありません。目的は、敵を知り、己を知ることです。



過去問の入手方法は後述しています!
STEP2:出題数の多い科目から始める
学習を始めるにあたって、最も優先すべきは出題数の多い科目から手をつけること。
具体的には、前のセクションで紹介した「教育原理」と「教育法規」の2つです。この2科目だけで全体の約6割を占めるため、ここを得点源にできるかどうかが合否を大きく左右します。
STEP3:アウトプット→インプットを繰り返す
多くの受験生が「まずは参考書をじっくり読んでから…」と考えがちですが、それは合格への遠回りです。
最短ルートは、まず「問題(アウトプット)」から始めること。この方法こそ、試験で点が取れる知識だけを効率的に吸収する最強の戦略です。
具体的な手順は、次の3つです。
最初に、いきなり問題集を開いて解いてみましょう。もちろん、最初は解けない問題ばかりで構いません。
ここでの目的は、点数を取ることではなく、「何が、どのような形で問われるのか」という出題パターンを知ることです。敵の姿を知ることで、何を覚えれば点数になるのかが明確になります。
次に、問題集で間違えた箇所や、理解が曖昧だった部分だけを調べるために参考書を開きます。参考書を通読するのではなく、「調べるための辞書」として使うのです。
この方法なら、分厚い参考書の中から試験に出るポイントだけをピンポイントで学ぶことができ、学習時間を大幅に短縮できます。
問題集と参考書の往復で知識が整理できたら、総仕上げとして全国の過去問に挑戦します。
過去問は、本番の出題形式やレベルに最も近い最高の実践演習です。ここで時間配分の感覚も養い、合格を盤石なものにしましょう。
▼全国の過去問は以下の記事でまとめています。
STEP4:出題頻度の高い分野に絞り効率よく対策する
科目数が多く、範囲が広すぎる「教養試験」は、“すべてを完璧にやろうとしない”ことが何よりも重要です。
ここでの鉄則は、「福岡県で出題頻度の高い分野に絞り、そこだけは確実に得点する」という戦略です。
たとえば、教職に関する科目の教育法規で「教職員の法規」に関する分野。どの参考書でも重要度Aとされており、多くの受験生がこの分野に重点的に取り組んでいます。


ところが、福岡県の過去10年分の出題を徹底分析したところ、なんとこの『教職員の法規』はほとんど出題されていなかったのです。


このように市販の参考書の重要度ランクだけを信じて学習を進めるのは非常に危険です。過去の傾向から「出る」可能性が高い分野を見極め、そこに学習時間を集中させることが、賢い対策のコツといえるでしょう。
▼科目別の出題範囲をまとめた資料を以下の記事で公開しています。あわせて活用してください。
STEP5:過去問演習で時間配分を体に染み込ませる
試験直前期になったら、本番と同じ「50分で25問」という条件で、時間を計って過去問を解くトレーニングを積みましょう。
この実践演習の目的は、以下の3つです。
- 時間配分の習得:1問あたり約2分というペースを体に染み込ませる。
- 本番のシミュレーション:試験の緊張感に慣れ、解く順番などを確立する。
- 弱点の最終確認:最後まで得点できない分野を洗い出し、最後の追い込みをかける。
特に、時間内に全ての問題を解ききることは困難です。
「少し考えても解法が思い浮かばない問題は、潔く飛ばして次に進む」という判断力も、この段階で養っておきましょう。
このように、教養試験はやり方さえ間違わなければ合格点は十分に取れる試験です。
▼「何から手をつければ…」ともし迷っているなら、まずは以下の記事で解説している学習の羅針盤となる出題範囲の理解から始めてみてください。ライバルたちが分厚い参考書と格闘している間に、あなたは最短ルートでゴールを目指しましょう!
専門試験
教養試験と並ぶ、もう一つの大きな柱が「専門試験」です。 ご自身の専門教科に関する深い知識と指導力が問われる、非常に重要な試験ですね。
専門試験の概要
| 試験時間 | 60分 |
|---|---|
| 問題数 | 教科・科目によって異なる |
| 出題形式 | 択一式と記述式 |
| 配点 | 50点満点 |
専門試験は50点満点です。 そして、一番のポイントは表にもある通り、問題数や出題内容が、受験する校種・教科によって大きく異なるという点です。
例えば、中学校の英語を受験する方と、小学校全科を受験する方とでは、当然問われる内容も対策も変わってきます。
専門試験の出題レベルと学習の軸
出題レベル
その教科を指導する上で土台となる基礎的・基本的な知識が問われます。単なる暗記だけでなく、「なぜそうなるのか」という背景や理論まで含めた、指導者としての深い理解度が試される問題が多いのが特徴です。
学習の軸
対策の大きな軸となるのが「学習指導要領」です。出題範囲が広い教科はもちろん、専門的な教科においても、指導要領に示されている目標や内容を深く理解しておくことが不可欠です。
専門試験の対策方法
自分の受験教科に合わせた対策はもちろん重要ですが、その土台となる合格へ近づくステップが3つあります。
STEP1:過去問を分析する
まずは過去問に目を通し、自分の受験する教科で「どのような形式で」「どの分野が」「どのくらいの難易度で」出題されるのかを肌で感じましょう。
STEP2:基礎を固める
次に、出題範囲の基本的な知識を総復習します。
- 普通教科(国語・数学・英語など)の場合:高校時代の教科書や参考書が、知識を体系的に見直す上で最も役立ちます。
- 専門教科(保健体育・養護・栄養など)の場合:大学で使った専門書や、各専門分野の教本・ガイドラインなどを中心に、基礎となる理論や知識を固めましょう。
STEP3:問題演習を繰り返す
基礎が固まったら、問題集や過去問を使い、ひたすらアウトプットを繰り返して知識を定着させます。
この王道のステップを、ご自身の専門分野に合わせて実践していくことが合格への最短ルートです。
▼具体的な勉強法や、各教科ごとの出題傾向、おすすめの参考書については、こちらの記事で詳しく解説しています。
第2次選考の傾向と対策
福岡県教員採用試験の第2次選考の内容と対策ポイントを解説します。
面接試験
福岡県が求める教員としてふさわしい人物であるか、人柄・意欲・対人関係能力等を評価・判断する試験です。
面接試験の概要
| 試験時間 | 20分 |
|---|---|
| 面接官 | 3人 |
| 評価基準 | 態度 表現力 コミュニケーション能力 積極性 社会性 |
| 配点 | A~Eの5段階 |
面接試験の傾向
福岡県教員採用試験の面接試験は、一つの回答に対しより掘り下げて受験者の行動特性を把握する「コンピテンシー評価型面接」で行われています。
たとえば、「長所は何ですか?」→「長所が活躍したエピソードはありますか?」→「その長所を教員としてどのように活かしますか?」といったように追加質問をしてきます。
しっかり自己分析ができていないと、深掘り質問に対応できません。過去に聞かれた質問に根拠を踏まえて回答できるよう、早め早めに準備を始めましょう。
面接試験の対策方法
では、具体的にどう対策すればいいのでしょうか。 その答えは、以下の3つのステップを順番に踏んでいくことにあります。
STEP1:自己分析で「自分の軸」を固める
まず最初に行うべきは、「なぜ自分は教師になりたいのか」「どんな教師になりたいのか」という、あなた自身の「軸」を深く掘り下げることです。
- これまでの人生で、やりがいを感じた経験は?
- 子どもと関わる中で、嬉しかったエピソードは?
- なぜ、他の自治体ではなく「福岡県」の教員なのか?
こうした問いに答える中で見えてくる「自分物語(経験)」が、面接で語る全ての土台となります。
STEP2:「求める教師像」と自分を繋げる
次に、STEP1で見つけた「自分物語」と、福岡県が公表している「3つの求める教師像」を結びつける作業を行います。
- 子どもが憧れる人間的魅力
- 子どもに対する広く深い愛情
- 教師としての強い使命感
「私は、〇〇という経験を通して、福岡県が求める△△(3つの力)を身につけてきました」
この「型」に沿って、あなたの経験が「福岡県の求める教師像」に合致していることを、具体的なエピソードで証明する準備をしましょう。
STEP3:声に出して「模擬面接」を繰り返す
最後に、そして最も重要なのが、声に出して話す練習です。 頭の中で回答を準備するのと、実際に声に出して話すのとでは、全く感覚が違います。
大学のキャリアセンターや先生、友人にお願いして、必ず第三者を相手にした模擬面接を繰り返してください。
自分では気づけない表情のクセや、話すスピード、論理の矛盾などを客観的に指摘してもらうことで、あなたの受け答えは飛躍的に洗練されます。
▼より詳しい面接の過去問や、評価をグッと高める回答の作り方については、こちらの記事で徹底的に解説しています。
模擬授業
模擬授業は単に教科の知識を披露する場ではありません。教員として必要な指導技術や、子どもたちを惹きつける人間性まで、総合的に評価される人物試験です。
志望教科の専門性はもちろん、「この先生の授業は面白そう!」「分かりやすい!」と面接官に感じさせられるかどうかが、評価の分かれ目となります。
模擬授業の概要
| 試験時間 | 7〜10分 |
|---|---|
| 面接官 | 3人 |
| 評価基準 | 話し方 指導力 説得力 |
| 配点 | A~Dの4段階 |
わずか7〜10分という短い時間ですが、4段階点評価(D以下不合格)と非常に厳しく設定されています。この短い時間で、いかに自分の指導力や魅力をアピールできるかが勝負です。
▼模擬授業の流れ
当日の流れをステップごとにしっかりイメージしておきましょう。事前に流れを知っておくだけで、本番の緊張は大きく和らぎます。
当日、模擬授業のテーマが発表されます。
テーマについて内容を考える時間が与えられます。時間は15分。
入室後、「試験区分、受験番号、氏名」を言ってから模擬授業を行ないます。試験時間は7分間(高校は10分)
模擬授業が終わると、そのまま個人面接が始まります。



特に重要なのは「入室後に試験区分、受験番号、氏名を言ってから始める」という点です。ここでコケるとそのイメージが最後まで付き纏いますよ…。
模擬授業の傾向
過去の出題テーマを見ると、福岡県教員採用試験の模擬授業には明確な3つの傾向があります。
ただやみくもに練習するのではなく、まずはこの傾向をしっかりと掴むことが合格への第一歩です。
- ①教科指導ではなく「生徒指導・学級活動」がテーマ
-
過去のテーマを振り返ると、算数や英語といった特定の「教科」の授業を求められることはありません。
その代わり、「生活リズムの乱れ」や「男女間の協力」「公共の場の使い方」といった、学級担任として直面するリアルな課題がテーマとなります。
つまり、教科の専門知識ではなく、児童生徒をまとめ、導くための「生徒指導力」や「学級経営力」が問われています。
- ②具体的でリアルな場面設定
-
「あなたは〇年生の担任です」「学級でこんな問題が起きています」というように、非常に具体的で、学校現場で起こりうるリアルな場面が設定されています。
そのため、理想論やきれいごとを話すだけでは評価されません。
目の前にその子たちがいることを想定し、当事者意識を持って語りかける姿勢が重要です。
- ③「導入」や「動機づけ」の場面が多い
-
与えられるテーマの多くが、話し合い活動の「導入」や、行事の前の「事前指導」といった場面です。
7〜10分という短い時間からもわかるように、これは子どもたちのやる気を引き出し、活動の目的を理解させる「動機づけ」の力が特に見られていることを意味します。
「なぜこの活動が大切なのか」を、児童生徒の発達段階に合わせて分かりやすく伝え、主体的な参加を促す力が求められます。
模擬授業の対策方法
では、これらの傾向を踏まえ、具体的にどのような対策をすればよいのでしょうか。
合格を掴むための4つのステップを紹介します。
STEP1:過去問を分析し、「指導の引き出し」を作る
まずは、過去問のテーマを徹底的に分析しましょう。
そして、
- 「安全指導系」
- 「人間関係づくり系」
- 「行事指導系」
- 「生活習慣系」
のように、自分なりにテーマを分類してみてください。
分類したら、それぞれの系統ごとに「自分ならどう話すか」という指導の骨子(指導案のメモ)を複数作成します。これが、あなたの「指導の引き出し」になります。
多くの引き出しを持っておくことで、本番でどんなテーマが出ても「あのパターンでいこう」と落ち着いて対応できます。
▼模擬授業の過去問(テーマ)は以下の記事でまとめています。
STEP2:模擬授業の「型」を身につける
模擬授業には、高評価を得やすい基本的な「型」があります。以下の流れを意識して、指導案のメモを組み立ててみましょう。
子どもたちへの問いかけや、身近な具体例を挙げて関心を引く。「みんな、昨日の給食で美味しかったものは何かな?」など。
今回のテーマについて、なぜ今これが大切なのかを分かりやすく説明する。「実は今、クラスで少し困ったことが起きています」など。
一方的に話すだけでなく、子どもたちに問いかけ、考えさせる時間を作る。「どうして朝ごはんを食べた方がいいんだと思う?」など。
今日の話の要点をまとめ、次の活動への見通しを持たせる。「だから、みんなで協力することって、すごく大切なんだ。今日はその方法を話し合おう」など。
STEP3:声に出して練習し、時間を計る
指導案が固まったら、必ず声に出して、時間を計りながら練習しましょう。頭の中で考えているだけでは、言葉に詰まったり、時間が足りなくなったりします。
練習する際は、以下の点を意識してください。
- ■ 対象学年を意識する:小学生に話すなら易しい言葉で、高校生に話すなら少し考えさせる言葉で。
- ■ 表情や視線:明るく、自信のある表情で。目の前に子どもたちがいるように、視線を左右に配る。
- ■ 声のトーン:一本調子ではなく、大切なところは少しゆっくり、はっきりと話す。
STEP4:「録画と実践」を繰り返し、完成度を高める
最後は、練習量です。必ずストップウォッチで4分30秒を計り、何度も練習を繰り返しましょう。
その際、スマートフォンで自分の授業を録画するのが最も効果的です。客観的に自分の姿を見ることで、表情の硬さや声の小ささ、話すスピードなど、自分では気づけない多くの改善点が見つかります。
可能であれば大学の先生や友人にも見てもらい、フィードバックをもらいましょう。
実技試験
最後は、特定の教科・科目を受験する方が対象となる「実技試験」です。
これは、筆記試験や面接だけでは測れない、教師として不可欠な技能や表現力を評価するための試験です。
実技試験の概要
| 対象教科 | 音楽、美術、保健体育、家庭、書道、工業、英語 |
|---|---|
| 評価基準 | A~D |
| 評価の観点 | 教科等を指導する上で必要な技能等を理解し、身に付けているか。 |
| 内容 (過去問) | 音楽 弾き歌い「花の街」 美術 写生「瓶ジュース、軍手、プラスチック容器」 保健体育 ①水泳(50m) ②柔道、剣道、ダンス、マット運動から1種目選択 ③バレーボール、バスケットボール、ハンドボール、ソフトボールから1種目選択 家庭 ①被服「じんべいの筒そで製作」 ②調理「けんちん汁」 養護教諭 あなたは、中学校の養護教諭とします。社会的背景も踏まえ、喫煙の害とその防止について、第1学年の学年集会において指導を行なってください。あなたの前に生徒がいると家庭します。(時間は4分30秒間) |
実技試験の対策ポイント
これらの試験で最も重要な対策は、「求められる課題を、制限時間内に、正確に実演する練習」に尽きます。
ただ得意なだけでなく、初見の課題にも対応できる応用力や、時間内に完成させる手際の良さが評価のポイントになります。学生時代の経験だけに頼らず、必ず試験を想定した練習を繰り返しましょう。
大学の先生や部活動の顧問の先生など、専門家に見てもらい、客観的なフィードバックをもらうことも極めて有効です。万全の準備で、自信を持ってあなたの技能をアピールしてくださいね。
福岡県教員採用試験に関するFAQ
ここでは、受験生からよく寄せられる質問にお答えしていきます。
Q1. 合格最低点は公表されていますか?
とはいえ、過去のデータから4〜6割が一つの目安となります。
もちろん、年度や採用人数によって変動しますし、筆記試験の点数だけでなく論文の評価も加わる点も知っておきましょう。
▼合格最低点については、以下の記事も参考にしてみてください。
Q2. オススメの参考書や問題集はありますか?
例えば、教職教養では「オープンセサミシリーズ(東京アカデミー)」や「要点整理シリーズ(時事通信社)」、専門教科では「専門教養Build Upシリーズ(時事通信社)」などが多くの受験生に利用されています。
参考書選びは学習効率を大きく左右する重要なポイントです。
どの参考書・問題集を使うかによって学習効率を大きく変わるので、じっくり見て選んでください。
▼自分に合った一冊を見つけるための詳しい選び方や、科目ごとのおすすめ参考書は、こちらの記事で徹底比較しています。
Q3. 過去問はどこで手に入りますか?
過去の問題と解答を入手できるため、出題内容や形式、問題レベルを把握するのに活用しましょう。
過去問を活用することで、試験対策が効果的に進められますよ。
▼以下の記事でも過去問の入手方法と、手に入れた後の具体的な活用法を詳しく解説しています。
Q4.倍率はどれくらいですか?
令和8年度(2025年実施)は、全体で2.6倍という結果でした。
詳細は以下のとおりです。
| 校種 | 受験者数 | 合格者数 | 倍率 |
|---|---|---|---|
| 小学校 | 733 | 558 | 1.3 |
| 中学校 | 781 | 335 | 2.3 |
| 高等学校 | 1107 | 179 | 6.2 |
| 特別支援 | 152 | 106 | 1.4 |
| 県立学校 | 314 | 17 | 18.5 |
| 栄養教諭 | 57 | 2 | 28.5 |
▼教科別の倍率や過去の推移を知りたい方は以下の記事をご覧ください。



その他、福岡県教員採用試験に関する質問はこちらからどうぞ!
まとめ:福岡県教員採用試験は難しいのか
結論を言うと、「正しい戦略を知らない人にとっては難しく、知っている人にとっては着実に合格が目指せる試験」です。
なぜなら、福岡県の教員採用試験は単なる暗記力だけでなく、出題傾向を分析する情報収集力、そして面接や模擬授業で自分を表現する力が総合的に求められるからです。
しかし、それは裏を返せば、ポイントを押さえて正しく対策すれば、誰にでも合格のチャンスがあるということ。
この記事で解説した、合格へのロードマップの重要ポイントをもう一度振り返りましょう。
「人物重視の選考方針」ということを念頭に人物試験対策を早めにやっておくことが大切です。
模擬授業では「生徒との対話」を意識し、一方的な知識伝達ではない双方向の授業づくりを目指します。個人面接では、自己分析を深め、自身の経験と求める教師像を結びつけて語れるように準備します。
試験の全体像と、これからあなたがやるべきことが明確になったのではないでしょうか。
「どうせ無理かも…」と感じる瞬間があっても大丈夫。正しい努力は、必ず報われます。この記事が、あなたの“合格までの道しるべ”になれば幸いです。
本記事はここまでです。
本サイトでは、福岡県教員採用試験の合格に必要な情報を多く配信しています。これから本格的に対策を始めたい方は、ぜひ他の記事も参考にして、自分に合った準備を進めていきましょう。



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