本記事では、東京都教員採用試験の内容と対策のポイントを徹底解説します。
一次・二次試験の概要から合格に向けた具体的な準備方法まで、網羅的に理解できる内容となっています。
敵を知らずして対策を始めてしまうのは、時間の無駄になりかねません。本記事を参考に東京都教員採用試験の合格に向けて着実に対策を始めましょう。
東京都教員採用試験|一次試験の内容
東京都教員採用試験の一次試験は、「教養試験」と「専門教養」、「小論文」の3科目で構成されています。
それぞれの試験内容と対策のポイントを詳しく解説します。
東京都教員採用試験|教職教養の内容
教員採用試験の教職教養は、教職員として必要な基礎能力や専門性がどれくらい備わっているかを測る筆記試験です。
ここでは、教職教養の概要と出題範囲、対策方法をまとめています。
教職教養の概要
試験時間 | 60分 |
---|---|
問題数 | 25問(必答) |
出題形式 | 正誤問題、穴埋め問題 |
解答方法 | 択一式(マークシート) |
配点 | 100点満点(1問4点) |
60分で25問を解くためには、時間配分が非常に重要です。事前に時間を計って過去問を解く練習をしましょう。
教職教養の出題科目(範囲)
教育に関する基礎的な知識を問う教職科目とローカル科目で構成されており、一般教養科目(人文・社会・自然科学)の出題はありません。
教 職 科 目 | 教育原理 | 教育の基本的な理念や原則、教育の目的や目標、教育制度の基本構造についての知識を問う科目 |
---|---|---|
教育法規 | 教育に関する法律や規則、教育行政の仕組み、学校運営に関する法的知識を問う科目 | |
教育心理 | 学習者の心理的発達、学習理論、教育と心理の関係などの知識を問う科目 | |
教育史 | 教育の歴史的な発展、主要な教育思想家や教育運動、各時代の教育制度や教育政策の変遷などに関する知識を問う科目 | |
ローカル | 東京都の教育施策や方針に関する科目 |
出題範囲は広いので、過去問の分析を徹底し、必要な科目とそうでない科目を見極め効率よく勉強しましょう。
教養試験の対策方法
教職教養を効率よく勉強するには、次の2つを意識しましょう。
出題数の多い科目から勉強する
Point①:たとえば、科目ごとの出題数は以下のようになっています。
採用年度 | 2022 | 2023 | 2024 |
---|---|---|---|
教育原理 | 9 | 10 | 8 |
教育法規 | 9 | 9 | 9 |
教育心理 | 4 | 4 | 4 |
教育史 | 1 | 1 | 2 |
ローカル | 2 | 1 | 2 |
- 各数字は科目ごとの出題数です。
- 上記は僕自身の解釈であり、公式発表されたものではありません。
まずは、出題数が多く、理解に時間がかかる教育原理や教育法規から勉強を始めることが重要です。
出題数の多い科目に集中することで、短期間で得点を伸ばすことができます。また、重要な科目で高得点を取ることで、全体の合格ラインを上げることができます。
主要科目(出題数の多い科目)にある程度の自信がついたら、次に他の科目の勉強を本格的に進めるのが効果的な方法です。
頻出度の高い分野から覚える
Point②:たとえば、教育心理の出題範囲は次のようになっています。
- 各数字は分野ごとの出題数です。
- 上記は僕自身の解釈であり、公式発表されたものではありません。
まずは、出題頻度の高い「発達の理論」や「学習の理論」から重点的に覚えるのが効果的です。出題頻度の低い、「教育心理学の歴史」の勉強に時間を割く必要はありません。
頻出度の高い分野をしっかりと抑えた後、その他の分野を補完的に学習することで、全体的な理解を深め、試験に万全の態勢で臨むことができます。
頻出度の高い分野を優先的に覚えることで、時間を効率よく使うことが可能です!
出題傾向や勉強方法は、下記の記事も参考にしてください。
東京都教員採用試験|専門教養の内容
専門教養は、志望する校種・教科に関する専門的知識を測る筆記試験です。
ここでは、専門教養の概要と出題範囲、対策方法をまとめています。
専門教養の概要
試験時間 | 60分 |
---|---|
問題数 | 教科・科目による |
出題形式 | 択一式(マークシート方式) |
配点 | 100点満点 |
専門試験の出題範囲
専門教養の出題科目(範囲)は教科・科目によって異なります。
たとえば、小学校なら国語、算数、社会、理科、外国語などが出題されます。社会科なら日本史、世界史、地理、政治、経済、倫理が出題範囲という具合です。
また、教科・科目に関する知識以外にも、学習指導要領や指導方法・指導案に関する問題が出題されることもあります。
各科目の基本的な知識を確実に身につけるとともに、学習指導要領についても把握しておくことが重要です。
一部の教科には、分野別最低基準点があります。総合点が合格ラインに達していても、一つの分野が基準点を下回っていれば足切りになります。
分野別最低基準点を設ける校種等・教科(科目等)は下表のとおりです。
専門教養の対策方法
専門教養は、受験者ごとに学力レベルや知識の差が大きく出やすいため、自分の学力に合った対策が必要不可欠です。
たとえば、国語教員を目指す人の中には難関大学の入試問題を解ける人もいれば、高校の基礎問題に苦戦する人もいます。同じテキストで勉強しても、自分の実力に合っていなければ効果が薄いです。
まずは過去問を自力で解き、自分の実力を正確に把握することから始めてみてください。
過去問を解くことで、どの分野が得意でどの分野が苦手かが明確になります。この自己評価をもとに、次のような勉強計画を立ててみましょう。
- 5割以下:基礎がないので中学受験レベルから勉強しなおす。基本的な概念や知識をしっかり固めることが大切です。
- 7割以下:高校~大学受験レベルで力をつける。より高度な問題に挑戦し、理解を深めることを目指しましょう。
- 7割以上:全国の過去問を解いて知識の定着や弱点克服。さらに実践的な問題に取り組むことで、試験本番に備えます。
専門教養では、基礎学力をしっかり固めることが大事です。
基礎知識がしっかりしていれば、応用問題にも対応できるようになりますし、試験本番での安定したパフォーマンスにつながります。
まずは基本を徹底し、そこから応用力を磨いていきましょう。
専門教養の勉強方法は、下記の記事も参考にしてください。
東京都教員採用試験|小論文の内容
東京都教員採用試験の小論文は、自分の考えや主張を論理的に説明する文章形式の試験です。
ここでは、小論文の概要や過去問、対策方法を解説します。
小論文の概要
試験時間 | 70分 |
---|---|
文字数 | 910字~1050字 |
問題数 | 1題 |
評価基準 | ・課題把握力 ・教師としての実践的指導力 ・論理的表現力 ・文章構成力 ・国語力 |
配点 | 100点満点 |
筆記試験では判断できない、論理的思考力や読解力、教師としての適性などを総合的に評価します。
小論文の過去問(テーマ)
各学校では、児童・生徒一人一人のよい点や可能性を引き出し伸ばす教育が求められています。このことについて、あなたの考えを述べた上で、その考えに立ち、教師としてどのように取り組んでいくか、志望する校種と教科等に即して、26行(910 字)を超え、30行(1050字)以内で述べなさい。
2024(令和6)年度のテーマです。
小論文の対策方法
まずは出題テーマを分析し、小論文を書くために必要な知識を把握しましょう。
次に、過去問を使って具体的なテーマの傾向を把握することが大事です。過去問を通じて傾向を知れば、どのような切り口で論じるべきかが見えてきます。
傾向を掴んだら、過去問を使って答案を作成し、繰り返し添削を受けることが重要です。小論文で落ちる人ほど、書いた後にそれを放置してしまうことが多いので注意しましょう。
詳しい傾向や過去問は、下記の記事も参考にしてください。
東京都教員採用試験|二次試験の内容
東京都教員採用試験の二次試験は、「面接試験」と「実技試験」の2科目で構成されています。
それぞれの試験内容と対策のポイントを詳しく解説します。
東京都教員採用試験の内容|面接試験
東京都教員採用試験の面接は、自己PRや志望動機から教職員としての適性や素質、人間性などを評価・判断する人物試験です。
ここでは、面接試験の概要と過去問、対策方法をまとめています。
面接試験の概要
試験時間 | 40分 |
---|---|
面接官 | 3人 |
面接カード | あり(二次試験日に面接票を提出) |
評価基準 | ・教職への理解 ・教科等の指導力 ・対応力 ・将来性 ・心身の健康と人間的な魅力 |
ここ近年の教員採用試験では面接試験が重視されているので、早い時期から面接対策を見据えていきたいところです。
個人面接の過去問(質問)
- 東京都の志望理由は何ですか?
- 東京都の魅力は何ですか?
- 教育実習では何を学びましたか?
- 東京都の教育施策「誰一人取り残さない」実現のためにはどうしますか?
- これまでに成し遂げた経験はありますか。また、それをどう活かしますか?
- 授業中に騒ぐ生徒に指導したところ奇声を上げてしまいました。どうように対応しますか?
- 顔にあざのようなものができた生徒がいます。どのように対応しますか?
- 生徒からLINEの交換をしてほしいと言われたらどう対応しますか?
- あなたが担当している部活動がうるさいと地域住民からクレームがあったらどう対応しますか?
- あなたの隣のクラスがとても汚れています。どう対応しますか?
質問や回答例は、下記の記事も参考にしてください。
このほかの面接試験の対策方法
頻出の質問に対する回答をある程度準備した後は、予備校等を利用して面接練習を行い、姿勢や話し方などを最適化していきましょう。
1人で練習しているだけでは気付けない点がたくさんあるからです。
たとえば、自分では自然だと思っている仕草が他人には落ち着きがないと映ることがあります。また、話す速度が速すぎたり、声のトーンが単調すぎたりすることに気づかないことも多いです。
こうした点を他人からフィードバックを受けることで、より効果的なコミュニケーションができるようになります。
人の視点からのフィードバックを積極的に取り入れて、全体的な印象を良くする努力をしましょう。
なんとなく面接練習しているだけでは、自分のどこが良くてどこが悪いのかがわからないことが多いので注意してください。
面接対策は下記の記事も参考にしてください。
東京都教員採用試験の内容|実技試験
東京都教員採用試験の実技試験は、専門的技能や実践的能力があるかどうかを評価・判断する人物試験です。
ここでは、実技試験の概要やテーマ、対策方法を解説します。
実技試験の概要
中・高共通、小・中共通、小・中・高共通、特別支援学校のうち、以下の教科及び小学校全科(英語コース)の受
験者が対象です。
- 音楽
- 美術
- 保健体育
- 英語
実技試験のテーマ
実技試験の対策方法
何ができて、できていないのかを早めに把握するようにしましょう。そのうえで出来るように少しずつ技能を磨いていくことが最適解です。
また、自己評価だけでなく、指導者や同僚からフィードバックをもらうことで、自分では気づかない改善点を発見することができます。
なお、課題に沿って完璧にできることにくわえて、熱意や意欲、態度なども評価対象です。
実際の試験では面接と同じように楽しくできるように練習してください。
東京都教員採用試験に関するFAQ
東京都教員採用試験に関するFAQ(よくある質問)をまとめています。
東京都の求める教師像(人物像)は?
東京都の求める教師像(人物像)は「教育に対する熱意と使命感をもつ教師」、「豊かな人間性と思いやりのある教師」、「子供の良さや可能性を引き出し伸ばすことができる教師」、「組織人としての責任感、協調性を有し、互いに高め合う教師」の4つを掲げています。
東京都教員採用試験の受験資格(年齢制限)は?
昭和60年(1985年)4月2日以降に生まれた人が対象です。
- 2025年度採用(一般選考)の場合。
東京都教員採用試験の募集要項はいつ発表されますか?
例年、3月中旬に募集要項が発表されます。
2025(令和7)年度の募集要項は、2024年3月22日(金)に公示されました。
試験内容や実施状況などをはじめとする詳細な情報が掲載されています。
東京都教員採用試験はいつあるの?
東京都教員採用試験は7月〜8月にかけて実施されます。
2025(令和7)年度の試験日は次のとおりです。
出願期間 | 2024年4月1日(月)〜5月8日(水) |
---|---|
一次試験 | 2024年7月7日(日) |
二次試験 | 2024年8月17日(土)〜19日(月)と8月25日(月) |
- 合格発表日は2024年8月5日(一次試験)と2024年9月30日(月)に予定しています。
教員採用試験の日程は、下記の記事も参考にしてください。
東京都教員採用試験の倍率は?
東京都教員採用試験の倍率は1.7倍〜3.2倍で推移しています。
採用年度 | 受験者数 | 合格者数 | 倍率 |
---|---|---|---|
2024 | 7,948 | 4,926 | 1.6 |
2023 | 7,911 | 3,841 | 2.1 |
2022 | 8,607 | 2,650 | 3.2 |
2021 | 9,265 | 3,402 | 2.7 |
2020 | 10,378 | 3,418 | 3.0 |
教科別の倍率は、下記の記事でまとめています。
東京都教員採用試験の採用予定人数(2025年度)は?
2025年度東京都教員採用試験では、3940人の採用を予定しています。
2024年度に比べて550人増える見込みです。
募集校種 | 2025年度 | 2024年度 |
---|---|---|
小学校 | 1740人 | 1440人 |
中学校 | 30人 | 30人 |
中高共通 | 980人 | 1020人 |
小中共通 | 150人 | 150人 |
小中高共通 | 290人 | 250人 |
高等学校 | 90人 | 50人 |
特別支援 | 580人 | 360人 |
養護教諭 | 80人 | 90人 |
合計 | 3940人 | 3390人 |
- 上記は2024年5月7日現在の予定です。
東京都教員採用試験の過去問はどこで入手できますか?
東京都教員採用試験の過去問は、「東京都公立学校教員採用ポータルサイト」からダウンロード可能です。
また、「都民情報ルーム(東京都庁第一本庁舎3階)」でも閲覧・コピーすることができます。
下記記事で5年分の問題・解答をまとめています。
まとめ|東京都教員採用試験は難しいのか?
今回は、東京都教員採用試験の内容と対策のポイントについて、一次試験・二次試験ごとに詳しく解説しました。
再度、試験内容をまとめます。
一次試験 | 教職教養 | 教職員として必要な基礎学力(教職教養)に関する筆記試験。(択一式:25問 / 60分) |
---|---|---|
専門教養 | 指導教科に関する専門知識や教育方法論を問う筆記試験。(択一式:60分) | |
小論文 | 生徒指導に関するテーマに基づき、自分の考えを論理的に展開し記述する試験。教育現場で直面する課題への対応策や教育哲学など、深い思考と表現力が求められます。(910~1050字 / 70分) | |
二次試験 | 面接試験 | 教育現場での対応力や人柄、コミュニケーション能力などに関する面接試験。過去の経験や指導教科について質問されます。(1人25分程度) |
実技試験 | 音楽や美術、体育など特定の教科の指導能力を見るための人物試験。 |
- 試験内容の説明は2024年度のデータを記入しています。
東京都教員採用試験の難易度は決して高くありませんが、最終合格するにはしっかりとした準備が求められる試験です。
あなたの努力が実を結び、試験に合格することを心から応援しています。今すぐ行動を始め、夢に向かって一歩踏み出しましょう!
コメント