- 教員採用試験の教職教養・一般教養ってどんな内容なの?
- 教員採用試験の教職教養・一般教養の出題傾向や勉強方法は?
- 教員採用試験の教職教養・一般教養がない自治体(県)はあるの?
このような悩みを解決できる記事を書きました。
本記事では、教員採用試験の教職教養と一般教養の内容から具体的な勉強方法まで徹底解説しています。すぐに勉強できるように、自治体ごとの出題傾向もまとめています。ぜひ、活用してください。
これから受験対策を始める方はもちろん、勉強方法で悩んでいる方は必見です。
▼専門教養の勉強法は以下の記事で解説しています。

【教員採用試験】教職教養と一般教養とは?
教員採用試験の内容は幅広く、教職教養と一般教養は筆記試験の一つとして出題されます。
ここでは、教職教養と一般教養それぞれの内容や特徴を解説します。
教職教養
教員採用試験の教職教養は、教員として必要な「教育に関する知識や理解を問う分野」です。
内容の多くは大学の教職課程で学ぶものです。ただし、教職課程よりもさらに深く、幅広い知識が求められます。そのため、別物だと考えて対策を立てる必要があります。
教職教養の出題科目
教職教養は以下の4科目で構成されます。
| 出題科目 | 内容 |
|---|---|
| 教育原理 | 学習指導要領や生徒指導、学級経営など、教員に必要な教育の考え方や指導方法に関する分野。 |
| 教育法規 | 教育基本法や学校教育、子どもや教職員に関する条文に関する分野。 |
| 教育心理 | 学習理論、生徒の発達段階、動機づけや認知のプロセスに関する分野。 |
| 教育史 | 日本や世界の教育の変遷、重要な教育改革や教育思想の流れに関する分野。 |
このほか、教育時事(文部科学省や中教審の答申・通知)やローカル(教育委員会の施策)に関する出題もあります。
また、教職教養は、一般教養よりも出題数が多いのが特徴です。多くの自治体で教職教養の出題数が50%〜80%を占めています。
たとえば、東京都や岐阜県の出題数比率は「教職教養:一般教養=10:0」です。同じように、千葉県は「9:1」、静岡県は「7:3」となっています。
| 自治体 | 教職教養 | 一般教養 |
|---|---|---|
| 東京都 | 100% | 0% |
| 千葉県 | 90% | 10% |
| 静岡県 | 70% | 30% |
| 広島県 | 100% | 0% |
| 福岡県 | 70% | 30% |
総合点を上げるには、教職教養の攻略が必要不可欠です。優先して勉強しましょう。
一般教養科目
教員採用試験の一般教養は、社会人として必要な基礎学力を測る分野です。その多くが中学校から高校までに勉強した内容です。
しかし、科目数が多いので、対策に頭を悩ます受験者が多く見られます。
一般教養の出題科目
教員採用試験の一般教養は以下の3領域で構成されます。
| 出題科目 | 内容 |
|---|---|
| 人文科学 | 国語、英語、音楽、美術、保健体育、技術・家庭 |
| 社会科学 | 世界史、日本史、地理、政治、経済、倫理 |
| 自然科学 | 数学、物理、化学、生物、地学、情報 |
このほか、社会的な関心事(国内外の動向やオリンピックなど)や志望先の歴史・郷土人物に関する出題もあります。
また、一般教養は、教職教養に比べて試験科目が多く、出題範囲も広いのが特徴です。
たとえば、日本史や世界史をイメージするとわかります。大学受験のとき1科目だけでもキツかったのに、両方を勉強しなくてはいけません。出題範囲の広さがわかるはずです。
福永中学から高校までの6年間で勉強した範囲を1年程度でやり直す必要があります。勉強に苦労している人は多いんですよね…。
とはいえ、どの科目も全範囲から出題されているわけではありません。志望自治体の出題傾向を理解して勉強することが大事です。
教職教養と一般教養の試験名(呼称)は自治体によって異なります。
- 教養検査(北海道)
- 教職教養(東京都)
- 一般教養・教職専門(神奈川県)
- 総合教養(名古屋市)
- 一般教養(兵庫県)
- 教養試験(福岡県)
なので、試験名だけで何がでるのか決めつけないことが大事です。



たとえば、兵庫県の試験名は「一般教養」ですが出題内容は「教職教養+一般教養」なんですよね…。
【教員採用試験】教職教養・一般教養の出題傾向(全国一覧)
教員採用試験の教職教養と一般教養は、自治体によって出題傾向が大きく異なります。
以下の表では、全国の自治体別に科目ごとの出題数をまとめています。自治体名をクリックすると、より詳しい試験情報を確認できます(随時更新中)。
▼科目別の出題数一覧(令和8年度データ)
| 自治体 | 教職 | 人文 | 社会 | 自然 | その他 |
|---|---|---|---|---|---|
| 北海道 | 20 | 6 | 4 | 6 | 4 |
| 札幌市 | 20 | 6 | 4 | 6 | 4 |
| 青森県 | 30 | 12 | 4 | 8 | – |
| 岩手県 | 48 | – | – | – | 2 |
| 宮城県 | 17 | 3 | 2 | 3 | – |
| 仙台市 | 17 | 3 | 2 | 3 | – |
| 秋田県 | 24 | – | – | – | 12 |
| 山形県 | 17 | 16 | 7 | 12 | 2 |
| 福島県 | 30 | – | – | – | – |
| 茨城県 | – | – | – | – | – |
| 栃木県 | 15 | 14 | 7 | 14 | – |
| 群馬県 | 10 | 12 | 5 | 10 | – |
| 埼玉県 | 18 | 12 | 6 | 8 | – |
| さいたま市 | 18 | 12 | 6 | 8 | – |
| 千葉県 | 14 | – | – | – | 6 |
| 東京都 | 24 | – | – | – | 1 |
| 神奈川県 | 15 | 8 | 8 | 8 | – |
| 横浜市 | 15 | 8 | 8 | 8 | – |
| 川崎市 | 15 | 8 | 8 | 8 | – |
| 相模原市 | 15 | 8 | 8 | 8 | – |
| 新潟県 | 12 | 4 | 9 | 5 | – |
| 新潟市 | 6 | 4 | 6 | 4 | 1 |
| 富山県 | 14 | 18 | 10 | 18 | – |
| 石川県 | 10 | 16 | – | 7 | 6 |
| 福井県 | 16 | 3 | – | 3 | 3 |
| 山梨県 | 30 | 14 | 9 | 15 | – |
| 長野県 | 15 | – | – | – | – |
| 岐阜県 | 10 | – | – | – | – |
| 静岡県 | 35 | 7 | 3 | 3 | 2 |
| 静岡市 | 35 | 7 | 3 | 3 | 2 |
| 浜松市 | 35 | 7 | 3 | 3 | 2 |
| 愛知県 | 13 | 5 | 4 | 5 | 3 |
| 名古屋市 | 16 | 8 | 9 | 4 | 3 |
| 三重県 | 10 | 4 | 3 | 2 | 4 |
| 滋賀県 | 10 | 6 | 2 | 4 | – |
| 京都府 | 17 | – | – | – | 3 |
| 京都市 | 11 | 7 | 6 | 6 | – |
| 大阪府 | 15 | – | – | – | 15 |
| 大阪市 | 15 | – | – | – | 15 |
| 堺市 | 15 | – | – | – | 15 |
| 豊能地区 | 15 | – | – | – | 15 |
| 兵庫県 | 6 | 19 | 8 | 14 | 3 |
| 神戸市 | 15 | 17 | 5 | 12 | 1 |
| 奈良県 | 29 | – | – | – | 1 |
| 和歌山県 | 10 | 8 | 4 | 8 | – |
| 鳥取県 | 4 | – | – | – | 1 |
| 島根県 | 15 | – | – | – | – |
| 岡山県 | 19 | – | – | – | 1 |
| 岡山市 | 7 | – | – | – | 3 |
| 広島県 | 21 | – | – | – | – |
| 山口県 | 30 | – | 1 | 3 | 8 |
| 徳島県 | 17 | – | – | – | – |
| 香川県 | 15 | 15 | 6 | 9 | 5 |
| 愛媛県 | 35 | – | – | – | – |
| 高知県 | 29 | – | – | – | 11 |
| 福岡県 | 18 | 3 | 1 | 2 | 1 |
| 福岡市 | 18 | 3 | 1 | 2 | 1 |
| 北九州市 | 18 | 3 | 1 | 2 | 1 |
| 佐賀県 | 32 | 6 | 2 | 4 | 6 |
| 長崎県 | 35 | – | – | – | – |
| 熊本県 | 23 | – | – | – | 2 |
| 熊本市 | 24 | – | – | – | 3 |
| 大分県 | 35 | 5 | 5 | 5 | – |
| 宮崎県 | 44 | – | – | – | 6 |
| 鹿児島県 | 26 | 9 | 5 | 7 | 2 |
| 沖縄県 | 25 | 4 | 4 | 5 | 7 |
▼各科目でどのような分野が出題されているかは、以下の記事で詳しく解説しています。


【教員採用試験】教職教養・一般教養の勉強方法
教員採用試験の教職教養と一般教養を勉強する具体的な手順を解説します。
STEP①:出題傾向の把握
まずは、受験先の出題傾向を把握しましょう。
なぜなら、自治体によって試験科目や頻出分野が異なるからです。
たとえば、岩手県や徳島県は一般教養からの出題がありません。兵庫県や愛知県は、副科目(音楽や美術など)からも出題があります。
| 自治体 | 主な出題傾向 |
|---|---|
| 岩手県 | 教職教養のみ、一般教養からの出題はなし |
| 徳島県 | 教職教養のみ、一般教養からの出題はなし |
| 兵庫県 | 教職教養と一般教養から出題。一般教養の出題が8割を占める。 |
| 愛知県 | 教職教養と一般教養から出題。バランスよく出題。 |
| 大阪府 | 教職教養と思考力・判断力を問う科目から出題。 |
また、科目ごとの出題数も自治体によって違います。闇雲に手を出すのではなく、出題数の多い科目や頻出分野から着手することが大切です。
無駄な時間や労力を使わないためにも、出題傾向を把握してから勉強を始めましょう。
STEP②:参考書・問題集を揃える
出題傾向を把握したら、自分に合う参考書や問題集を1冊購入し、何度も繰り返し覚えましょう。
おすすめの参考書・問題集
- オープンセサミシリーズ←僕のオススメ!
- らくらくマスターシリーズ
- TwinBooks完成シリーズ
どのシリーズを使っても大きな差はありません。ただし、必ず参考書と問題集はセット(同じシリーズ)で揃えましょう。
参考書と問題集が相互にリンクしているので、勉強効率が段違いに上がります。
参考書・問題集の使い方
結論、問題集→参考書の順で使いましょう。
❌ 間違った使い方
- 参考書を最初から最後まで覚える
- 実力確認のため問題集を解く
- 繰り返す
この使い方では、試験までに必要科目の勉強が終わりません。また、活字だけの参考書では、どこがどのような形式で問われるのか判断できません。
そのため、無駄な部分まで覚える必要が出てきます。
⭕ 正しい使い方
- 頻出分野から問題を解く(いきなり解答を見てもOK)
- 解答を見る(覚える)
- 再度、問題を自力で解く
- 解けたら参考書で周辺知識も覚える
問題形式なら、必要な知識を実践的な形でインプットできるので記憶にも残りやすいです。
参考書は問題集の解答を読むときの参考として使いましょう。「正解にたどり着くために必要な知識やその周辺部分を読む」という使い方がおすすめです。
STEP③:優先順位をつけて勉強する
限られた時間の中で最大のパフォーマンスを発揮するには、出題数の多い科目や頻出度の高い分野から勉強するのがセオリーです。
たとえば、次のような出題傾向があるとしたら、どの科目から勉強するといいでしょうか?
- 教育原理:9問
- 教育法規:4問
- 教育心理:1問
- 教育史:1問
どんなに教育史が苦手でも、出題数の多い教育原理から勉強した方が効率的です。
すべてを勉強して中途半端になるよりも、まずは出題数が多い(配点が高い)科目に重点を置き、知識をインプットしていきましょう。
- 出題数の多い科目
- ❶の中で頻出度の高い分野
- 出題率の高い科目
- ❸の中で頻出度の高い分野
- 自分の得意とする科目・分野



全体の7〜8割を勉強する気持ちで臨みましょう!
STEP④:全国過去問集でアウトプット
必要な知識を覚えたら、知識の定着と補強のために志望自治体以外の過去問も使いましょう。
今までの知識がしっかり身についているかの確認に加えて、初見問題への対応や教育時事の知識をインプットできるからです。
オススメの過去問題集は次の2冊。
- Hyper実戦シリーズ(自治体別に問題を集約)
- 「全国版」過去問シリーズ(分野別に問題を集約)
繰り返しになりますが、志望自治体の過去問を何回やっても同じ問題は出ないので意味がありません。でも、他自治体で出ていた問題(範囲)はバンバン出てきますよ。
- 時間を測って真剣に解く
- すぐに答え合わせをする。
- 不正解問題と自信がなかった問題の解説を読む
- 再度、それらの問題を自力で解く



現在の実力確認も踏まえているので本試験だと思って解いてください!
STEP⑤:反復練習(復習)を意識する
勉強において重要なのは、どんどん先に進むことよりも、どれだけ復習をしたかです。どれだけ勉強量を増やしても、復習に時間をかけていないと知識は定着しません。
効果的な復習のタイミング
復習のタイミングは一概には言えませんが、おすすめは「勉強した箇所を3日連続で見る」という方法です。
その日に解いた問題を短いスパンで3回繰り返すイメージです。
- 1日目:1~10ページをやる
- 2日目:1~10ページを見直して、11~20ページをやる
- 3日目:1~20ページを見直して、21~30ページをやる
とくに重要なのが翌日の復習です。これをしないだけで、知識の定着が一気に悪くなります。
記憶の法則で有名なエビングハウスの忘却曲線でも、人間の記憶力は翌日にガタ落ちすることが証明されていますからね。最初のうちはけっこう大変ですが、1カ月ほど続ければ結果が見えてきますよ。
復習メインを意識して勉強していきましょう。勉強時間の7割程度を復習に充てるのが理想的です。
【教員採用試験】教職教養・一般教養に関するFAQ
教員採用試験の教職教養・一般教養でよく相談される質問(FAQ)をまとめています。
教職教養のみ(一般教養なし)の自治体はありますか?
教職教養のみ(一般教養なし)の自治体はあります。
令和年度(2025年実施)試験での、教職教養のみの自治体は次のとおり。
- 岩手県
- 秋田県
- 福島県
- 東京都
- 長野県
- 岐阜県
- 京都府
- 奈良県
- 島根県
- 岡山県
- 広島県
- 徳島県
- 愛媛県
- 福岡県(小学校のみ)
- 熊本県
- 熊本市
- 宮崎県
この他にも、一般教養の出題は国語や時事のみといったライトな自治体(千葉県や山口県など)もあります。
なお、これらの自治体は対策がしやすい一方で、合格ラインが高くなったり、専門科目の重要度が高かったりする傾向があるため注意が必要です。
教職教養・一般教養は差がつきやすいって本当?
教職教養・一般教養は差がつきやすいです。
教員採用試験の筆記試験では、専門教養のウエイトが大きく、二次試験でも評価基準になるなど、教職・一般教養よりも重要度が高い傾向にあります。
そのため、教職教養・一般教養を軽視する受験者は少なくありません。しかし、他のライバルたちも同じく専門教養の対策に力を入れるので、結果として「専門はできて当たり前、むしろ差がつくのは教養」という状態になります。
教職教養・一般教養は科目・範囲が膨大のため、受験者の中でも確実に差がでてしまうのです。
教育時事やローカル問題はどう勉強すればいいですか?
教育時事やローカル問題は過去問で対策しましょう。
試験年度より前に出ている答申や資料(旧教育時事)は、どこかしらの自治体で問題として出題されています。たとえば、令和6年度のトレンド「改訂版生徒指導提要」や「次期教育振興基本計画」は、全国の過去問を使えば対応できます。
ローカル問題は、まずは過去問で出そうな資料を教育委員会のHPで探して読みこみましょう。そのうえで、1日完結の予備校講座を活用するなどして対策できます。
なお、試験年度内に出た教育時事は問題がありません。そこは、一人でたくさんの資料を読み漁るより試験直前期に予備校を活用した方が効率的です。
| 教育時事(旧) | 全国の過去問で対策 |
|---|---|
| 教育時事(新) | 予備校を活用する |
| ローカル | 志望先の過去問、教育委員会のHP、予備校 |



教育時事やローカル問題は深入り厳禁です。資料の冒頭のみ読んでおくといった対策でもいいと思います。
教職教養や一般教養の過去問はどこで入手できますか?
教職教養や一般教養の過去問は、各都道府県の情報センター等で入手(閲覧・コピーが)可能です。
また、東京都や大阪府など、一部の自治体は教育委員会のホームページに問題を公開しています。それをダウンロードして活用するのも良いでしょう。
教職教養や一般教養でおすすめの参考書や問題集は?
教職教養や一般教養でおすすめの参考書や問題集は以下の3冊から1冊選べばOKです。
個人的なオススメはオープンセサミシリーズです。
参考書・問題集には、書き込み式、赤シートで隠しながら読み進めるなど、いくつか形態があるので、自分に合ったテキストを使ってください。
【教員採用試験】教職教養・一般教養の内容と勉強法まとめ
今回は、教員採用試験の教職教養と一般教養の内容と勉強法を詳しく解説しました。
まとめると、以下のようになります。
教養試験は科目も範囲も膨大ですが、傾向をきちんと理解して勉強すれば十分に対応できるので、やみくもに手をだすのではなく、計画を立てて勉強してくださいね。
この記事が少しでもお役に立てたら幸いです。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました!
▼各科目でどのような分野が出題されているかは、以下の記事で詳しく解説しています。


▼その他、勉強に関する記事もチェックしておきましょう!
