あなた「教員採用試験の教職教養って、どんな試験なの?」
一言で言うと、「教師に必要な知識・理論を問う筆記試験」です。
教職教養は出題範囲が広く、自治体によって出題傾向も大きく異なります。そのため、まずは「どんな科目なのか」「何が出題されるのか」といった全体像を把握することが大切です。
この記事では、教職教養の出題内容や一般教養との違い、頻出科目をわかりやすく解説します。
まずは教職教養の基本を確認していきましょう。
教員採用試験|教職教養とは
教職教養とは、教員採用試験で実施される筆記試験のひとつです。
教員として必要な教育に関する知識や理解を問う科目であり、多くの自治体で最重要科目として扱われています。
一般教養との違い
一般教養は、社会人として必要な基礎学力を測る科目です。
一般教養では、
- 国語
- 数学
- 英語
- 理科
- 社会
など、中学校〜高校レベルの内容が出題されます。
対して教職教養では、
- 学習指導要領
- 教育基本法
- 生徒指導
- 学級経営
- いじめ防止対策推進法
など、教育現場に直結した内容が中心です。
多くの自治体では、一般教養よりも教職教養のほうが出題数は多くなっています。
たとえば東京都や広島県では、教職教養のみが出題され、一般教養は実施されません。
そのため、総合点を伸ばすには、まず教職教養を優先して対策することが重要です。
一般教養の内容については、以下の記事で解説しています。


教員採用試験|教職教養の試験内容
教職教養の出題内容は幅広いですが、整理すると5つの領域に分類できます。
- 教育原理
- 教育法規
- 教育心理
- 教育史
- 教育時事
それぞれの特徴と、試験での頻出度を確認しましょう。
教育原理
教育原理は、教職教養の中でも特に出題数が多い分野です。
学校教育の目的や役割、学習指導、生徒指導など、教員として必要な基礎知識が幅広く出題されます。
主な出題内容は次のとおり。
| 分野 | 主な内容 |
|---|---|
| 学習指導要領 | 教育目標、授業改善、主体的・対話的で深い学び |
| 生徒指導 | いじめ、不登校、問題行動への対応 |
| 学級経営 | 学級づくり、集団形成、教師の役割 |
| 特別支援教育 | 合理的配慮、インクルーシブ教育 |
| 人権教育 | 多様性理解、共生社会 |
| 教育課程 | カリキュラム・マネジメント |
単なる暗記ではなく、「教師としてどう対応するべきか」という視点で問われる問題も増えています。
そのため、用語だけを覚えるのではなく、教育現場と結びつけながら理解することが重要です。
教育法規
教育法規は、教育に関する法律や制度について理解しているかを問う分野です。
教員は公務員として法律に基づいて働くため、教育法規は多くの自治体で頻出となっています。
教育法規の主な出題内容は次のとおり。
| 分野 | 主な内容 |
|---|---|
| 教育基本法 | 教育の目的、教育理念、保護者の責任 |
| 学校教育法 | 学校制度、義務教育、教職員 |
| 日本国憲法 | 教育を受ける権利、基本的人権 |
| 地方公務員法 | 教員の服務、信用失墜行為、守秘義務 |
| いじめ防止関連 | 学校の対応義務、組織対応 |
| 子どもの安全 | 児童虐待、防災、安全管理 |
最近は、こども基本法やいじめ防止対策推進法など、子どもの権利や安全に関する法律もよく出題されています。
教育法規は暗記科目と思われがちですが、単純な条文暗記だけでは対応できません。
「どの場面で、どの法律が関係するのか」を理解しながら学習することが重要です。
教育心理
教育心理は、生徒の発達や学習の仕組み、人間関係などについて理解しているかを問う分野です。
教員は、子どもの発達段階や心理状態を踏まえて指導する必要があります。そのため、教育心理は「子ども理解」に直結する重要科目として出題されています。
教育心理の主な出題内容は次のとおり。
| 分野 | 主な内容 |
|---|---|
| 発達理論 | ピアジェ、エリクソン、ヴィゴツキー |
| 学習理論 | 条件づけ、観察学習、発見学習 |
| 動機づけ | 内発的動機づけ、外発的動機づけ |
| 知能・性格 | IQ、パーソナリティ理論 |
| 人間関係 | 集団心理、教師と生徒の関係 |
| 評価 | 絶対評価、形成的評価 |
教育心理は暗記だけでなく、「この理論は教育現場でどう活用されるのか」をイメージしながら理解することが重要です。
「誰が、どの理論を提唱したのか」を整理しながら学習しましょう。
教育史
教育史は、日本や世界の教育の歴史、教育思想の流れについて理解しているかを問う分野です。
教育制度がどのように作られてきたのか、どのような教育思想が現在の学校教育に影響を与えているのかを学びます。教職教養の中では暗記色が強い分野ですが、出題範囲が広いため、苦手とする受験者も少なくありません。
教育史の主な出題内容は次のとおり。
| 分野 | 主な内容 |
|---|---|
| 日本教育史 | 学制、教育令、学校制度の変化 |
| 戦後教育改革 | 6・3・3制、教育基本法、学習指導要領 |
| 西洋教育史 | 近代教育思想、学校教育の発展 |
| 教育思想家 | ペスタロッチ、デューイ、コメニウスなど |
| 新教育運動 | 児童中心主義、経験主義教育 |
「誰が、どの教育思想を提唱したのか」をセットで覚えることが重要です。
また最近では、単純な人物暗記だけでなく、「現在の教育にどのような影響を与えているか」まで問われる問題も増えています。
そのため、思想の背景や特徴も理解しながら学習しましょう。
教育時事
教育時事は、最新の教育政策や学校現場の課題について理解しているかを問う分野です。
文部科学省の通知や中央教育審議会(中教審)の答申、最新の教育改革などから出題されます。
教育時事の主な出題内容は次のとおり。
| テーマ | 主な内容 |
|---|---|
| 令和の日本型学校教育 | 個別最適な学び、協働的な学び、教師の役割 |
| 第4期教育振興基本計画 | 持続可能な社会、ウェルビーイング、教育DX |
| 改訂生徒指導提要 | 生徒理解、チーム学校、生徒主体の支援 |
| こども基本法 | こどもの権利保障、意見表明権 |
| こども大綱 | 少子化対策、こども政策の基本方針 |
単なる知識暗記ではなく、「学校現場でどう対応するか」という実践的な視点で問われる問題も多くなっています。
今後は、次期学習指導要領やAI活用なども重要テーマになる可能性があります。
普段の生活から最新情報を押さえておくことが重要です。
教員採用試験|教職教養の科目別出題数一覧
教職教養の出題数は自治体ごとに異なります。
たとえば、岩手県は48問、宮崎県は44問と出題数が非常に多い一方、兵庫県や鳥取県のように比較的少ない自治体もあります。
まずは受験先の出題数を確認し、優先順位を決めて対策を始めましょう。
| 自治体 | 原理 | 心理 | 法規 | 史 | 時事 |
|---|---|---|---|---|---|
| 北海道 | 5 | 2 | 2 | ー | 11 |
| 札幌市 | 5 | 2 | 2 | ー | 11 |
| 青森県 | 15 | 2 | 10 | 3 | ー |
| 岩手県 | 3 | 12 | 15 | 5 | 13 |
| 宮城県 | 3 | ー | 3 | 1 | 10 |
| 仙台市 | 3 | ー | 3 | 1 | 10 |
| 秋田県 | 4 | 3 | 10 | 1 | 8 |
| 山形県 | 7 | 3 | 5 | ー | 2 |
| 福島県 | 18 | ー | 12 | ー | ー |
| 茨城県 | ー | ー | ー | ー | ー |
| 栃木県 | 1 | 3 | 7 | 2 | 2 |
| 群馬県 | 2 | ー | 2 | ー | 6 |
| 埼玉県 | 4 | 1 | 6 | 1 | 6 |
| さいたま市 | 4 | 1 | 6 | 1 | 6 |
| 千葉県 | 6 | 1 | 5 | 1 | 1 |
| 東京都 | 4 | 5 | 9 | 1 | 5 |
| 神奈川県 | 4 | 5 | 5 | ー | 1 |
| 横浜市 | 4 | 5 | 5 | ー | 1 |
| 川崎市 | 4 | 5 | 5 | ー | 1 |
| 相模原市 | 4 | 5 | 5 | ー | 1 |
| 新潟県 | ー | 1 | 7 | ー | 4 |
| 新潟市 | ー | ー | 3 | ー | 3 |
| 富山県 | 2 | 2 | 8 | ー | 2 |
| 石川県 | ー | 1 | 6 | 1 | 2 |
| 福井県 | 6 | 2 | 4 | 1 | 3 |
| 山梨県 | 9 | 3 | 9 | 3 | 6 |
| 長野県 | 1 | 3 | 3 | 3 | 5 |
| 岐阜県 | 1 | 3 | 4 | ー | 2 |
| 静岡県 | 13 | 3 | 8 | 2 | 9 |
| 静岡市 | 13 | 3 | 8 | 2 | 9 |
| 浜松市 | 13 | 3 | 8 | 2 | 9 |
| 愛知県 | 6 | 1 | 4 | 1 | 1 |
| 名古屋市 | ー | ー | 10 | ー | 6 |
| 三重県 | 5 | ー | 3 | 1 | 1 |
| 滋賀県 | 1 | 2 | 3 | ー | ー |
| 京都府 | 4 | 2 | 3 | ー | 8 |
| 京都市 | 1 | 2 | 3 | ー | 5 |
| 大阪府 | 2 | 1 | 4 | 1 | 7 |
| 大阪市 | 2 | 1 | 4 | 1 | 7 |
| 堺市 | 2 | 1 | 4 | 1 | 7 |
| 豊能地区 | 2 | 1 | 4 | 1 | 7 |
| 兵庫県 | ー | ー | 1 | ー | 5 |
| 神戸市 | ー | 1 | 6 | 2 | 6 |
| 奈良県 | 5 | 4 | 5 | 1 | 14 |
| 和歌山県 | 2 | 2 | 2 | 1 | 3 |
| 鳥取県 | 3 | ー | 1 | ー | ー |
| 島根県 | 3 | 2 | 4 | 1 | 5 |
| 岡山県 | 4 | 3 | 3 | 1 | 8 |
| 岡山市 | 2 | ー | 3 | ー | 3 |
| 広島県 | 8 | 1 | 11 | ー | 1 |
| 山口県 | 4 | 4 | 8 | 2 | 12 |
| 徳島県 | 2 | 3 | 6 | 4 | 2 |
| 香川県 | 2 | 2 | 6 | ー | ー |
| 愛媛県 | 10 | ー | 10 | 5 | 10 |
| 高知県 | 7 | 2 | 7 | 3 | 10 |
| 福岡県 | 5 | 1 | 5 | ー | 7 |
| 福岡市 | 5 | 1 | 5 | ー | 7 |
| 北九州市 | 5 | 1 | 5 | ー | 7 |
| 佐賀県 | 3 | 5 | 14 | 5 | 5 |
| 長崎県 | 8 | 6 | 8 | 4 | 9 |
| 熊本県 | 2 | 1 | 14 | ー | 6 |
| 熊本市 | 7 | 2 | 13 | ー | 2 |
| 大分県 | 2 | 5 | 11 | 3 | 14 |
| 宮崎県 | 14 | 4 | 13 | 4 | 9 |
| 鹿児島県 | 9 | 1 | 8 | 1 | 7 |
| 沖縄県 | 7 | 2 | 5 | 3 | 8 |
表を見ると、自治体によって出題数だけでなく、分野ごとの比重にも差があることがわかります。
教育法規・教育原理に多くの問題を割く自治体がある一方、教育心理や教育史はほとんど出題しない自治体も存在します。
つまり、教職教養は5分野すべてが均等に出題されるわけではありません。受験先の傾向を把握したうえで、何をどこまで学ぶかを判断することが重要です。
教職教養の勉強方法については、以下の記事で解説しています。


教員採用試験|教職教養の優先順位は高い
教職教養は、教員採用試験の中でも特に重要です。
出題範囲は広いですが、すべてを完璧に覚えようとする必要はありません。
優先して勉強するのは次の3科目です。
- 教育原理
- 教育法規
- 教育時事
自治体によって出題数や傾向は大きく異なるため、自分の受験先で「何が・どのくらい出るのか」を早めに確認しておきましょう。
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