東京都教員採用試験の一次試験では、試験時間70分で1000程度を書く小論文が実施されます。
試験時間や文字数、評価基準を知らずに対策を始めてしまうと、的外れな準備になる恐れがあります。
この記事では、小論文対策を始める前に押さえておきたい以下の情報をまとめました。
- 試験時間・文字数
- 配点・評価基準
- 過去の出題テーマ
試験の全体像を正しく理解し、合格に向けた方向性を整理するための資料としてご活用ください。
東京都教員採用試験の小論文
東京都教員採用試験の小論文は、一次試験で実施される筆記試験です。
試験時間・文字数
試験時間は70分、910字から1050字で執筆します。
| 試験時間 | 70分 |
|---|---|
| 文字数 | 910~1050字 |
| 問題数 | 1題 |
評価基準・配点
以下の基準に沿って評価します。
| 課題把握力 | ・設問の趣旨や条件を正確に読み取り、何が問われているのかを的確に捉えているかを評価する。 ・テーマを自己流に解釈せず、問題の本質に沿って論を展開できているかを見る。 |
|---|---|
| 実践的指導力 | ・教育現場を想定し、教師として具体的・現実的な対応や指導の在り方を示せているかを評価する。 ・理念や理想論にとどまらず、実行可能な行動として表現できているかを見る。 |
| 論理的表現力 | ・自分の考えを根拠や理由と結び付け、筋道立てて説明できているかを評価する。 ・主張と説明の関係が明確で、一貫した論理構成になっているかを見る。 |
| 文章構成力 | ・序論・本論・結論の流れが整理され、全体として読みやすい構成になっているかを評価する。 ・段落ごとの役割が明確で、内容の重複や飛躍がないかを見る。 |
| 国語力 | ・誤字脱字や文法上の誤りがなく、正確で適切な日本語が使用されているかを評価する。 ・教師として文書を書くうえで必要な基礎的な文章力が備わっているかを見る。 |
最終的に100点満点で採点します。
過去問(テーマ)
ここでは、過去5年分のテーマをまとめています。
- 出典:東京都教育委員会「過去の選考問題」
- 令和6年度から全校種共通のテーマになりました。
令和8年度(2025年実施)
次の問題について、(1)と(2)を合計して30行(1‚050字)以内で論述しなさい。ただし、26行(910字)を超えること。
各学校では、児童・生徒が互いのよさを見付け、多様な考えを尊重し合うことができるよう、教育の充実を図っています。
(1) 児童・生徒が互いのよさを見付け、多様な考えを尊重し合うことについて、あなたの考えを、理由を明確にして述べなさい。
(2) (1)の考えを踏まえ、あなたは教師としてどのように取り組んでいくか、志望する校種と教科等に即して述べなさい。
令和7年度(2024年実施)
次の問題について、(1)と(2)を合計して30行(1,050字)以内で論述しなさい。ただし、26行(910字)を超えること。
各学校では、児童・生徒に他者への共感や思いやりの心を育てる教育を目指しています。
(1) 児童・生徒に他者への共感や思いやりの心を育てることについて、あなたの考えを述べなさい。
(2) (1)の考えを踏まえ、あなたは教師としてどのように取り組んでいくか、志望する校種と教科等に即して述べなさい。
令和6年度(2023年実施)
各学校では、児童・生徒一人一人のよい点や可能性を引き出し伸ばす教育が求められています。このことについて、あなたの考えを述べた上で、その考えに立ち、教師としてどのように取り組んでいくか、志望する校種と教科等に即して、26行(910 字)を超え、30行(1050字)以内で述べなさい。
令和5年度(2022年実施)
- 校種によってテーマが異なります。
小学校
あなたは、第5学年の学級担任である。年度初めの学年会における話合いの中で、学年主任から、「授業には真面目に取り組みますが、自ら進んで、学習する意欲に課題が見られます。」と報告があった。また、他の教員からは、「自分から興味・関心をもって学習し、疑問を調べて解決することに消極的ですね。」や「当番や係などの活動でも、もっと自分なりに工夫して積極的に取り組ませたいですね。」という意見もあった。
まとめに、学年主任から今年度の学年経営の方針の一つとして、「自主的、自発的に学習したり活動したりする力を育む」が示された。学年会終了後、学年主任からあなたに、「先ほどの学年経営の方針に基づいて、学級経営の重点をどこに置き、どのように取り組んでいくか、具体的に考える必要がありますね。」と話があった。
問題 この事例の学校において、あなたは学級担任としてどのように学級経営を行っていくか、課題を明確にした上で、具体的な方策を二つ挙げ、それぞれ 10行(350字)程度で述べなさい。また、まとめを含め、全体で30行(1,050字)以内で論述しなさい。ただし、26行(910 字)を超えること。
その他校種
次のA、Bのうちから1題を選択して、論述しなさい。
【テーマA】
年度初めの職員会議で、教務主任から、「昨年度に実施した生徒アンケートで、進度が自分に合っていないと回答した生徒が少なくありませんでした。」と報告があった。また、複数の教科主任からは、「自分に合った勉強方法を見付けられていない生徒が多いですね。」や「生徒の特性を十分理解した指導を行う必要がありますね。」という意見もあった。
最後に、教務主任から、今年度の各教科等の指導における重点事項の一つとして、「個に応じた指導の充実を図る」が示された。職員会議終了後、教務主任からあなたに、「先ほどの重点事項に基づいて、どのように学習指導に取り組んでいくか、具体的に考える必要がありますね。」と話があった。
<問題>
この事例の学校において、あなたはどのように学習指導に取り組んでいくか、志望する校種と教科等に即して、課題を明確にした上で、具体的な方策を二つ挙げ、それぞれ10行(350字)程度で述べなさい。また、まとめを含め、全体で30行(1,050字)以内で論述しなさい。ただし、26行(910字)を超えること。
【テーマB】
あなたは、生活指導・保健指導部に所属している。年度初めの生活指導・保健指導部会で、生活指導主任から、「昨年度に実施した生徒アンケートで、話合いで自分なりの意見を言うことが苦手な生徒が多いことが分かりました。」と報告があった。また、各学年の生活指導担当の教員からは、「話合いがまとまらないことがよくあります。」や「自分の考えと異なる様々な意見を比較しながら、新たなものを協力して生み出していくことも大切ですね。」という意見もあった。
最後に、生活指導主任から、今年度の生活指導・保健指導部の重点事項の一つとして、「多様な考えを認め合い、合意を目指して話し合う態度の育成を図る」が示された。 部会終了後、生活指導主任からあなたに、「先ほどの重点事項に基づいて、どのように指導に取り組んでいくか、具体的に考える必要がありますね。」と話があった。
<問題>
この事例の学校において、あなたはどのように指導に取り組んでいくか、志望する校種に即して、課題を明確にした上で、具体的な方策を二つ挙げ、それぞれ10行(350字)程度で述べなさい。また、まとめを含め、全体で30行(1,050字)以内で論述しなさい。ただし、26行(910字)を超えること。
令和4年度(2021年実施)
- 校種によってテーマが異なります。
小学校
あなたは、第5学年の学級担任である。年度初めの学年会で、昨年度の児童の課題に関する引継事項として、学年主任から、「学習面では、授業のめあてを達成できない児童がいる一方で、めあてに到達すると、それ以上は、取り組まない児童がいます。また、生活面では、相手の身になって考えることが苦手な児童が多く見られます。」と報告があった。この引継事項を踏まえ、話合いを行った結果、学年主任から、「今年度の学年経営の方針を、『教師と児童との信頼関係を築き、児童相互のよりよい人間関係を育てる』とします。」と示された。
学年会終了後、学年主任からあなたに、「先ほどの学年経営の方針に基づいて、主に集団の場面で、必要な指導や援助を具体的にどのように行えば学級経営の充実が図れるか、一緒に考えてみませんか。」と話があった。
問題 学年主任の発言を受けて、あなたなら学級担任としてどのように学級経営を行っていくか、学習面と生活面について具体的な方策を一つずつ挙げ、それぞれ 10行(350字)程度で述べなさい。また、まとめを含め、全体で30行(1,050字)以内で論述しなさい。ただし、26行(910 字)を超えること。
その他校種
次のA、Bのうちから1題を選択して、論述しなさい。
【テーマA】
年度初めの職員会議で、教務主任から、昨年度末に実施した生徒アンケートでは、「自分の考えや質問を述べて、積極的に授業に参加している」や「根拠や理由を明確にして自分の考えを述べることができる」に肯定的な回答をした生徒が少なかったこと、また、教科主任会では、複数の教科主任から、「授業で学んだ内容を自分なりに解釈したり、これまで学習した知識と結び付けて自分の考えを形成したりすることができていない」ことが課題として挙げられたとの報告があった。
その上で、教務主任から、「今年度、各教科等の指導において、『言語活動の充実を図り、言語能力の向上を目指す』を重点事項にしたいと思います。」と示された。
職員会議終了後、教務主任からあなたに、「先ほどの重点事項に基づいて、どのように学習指導に取り組んでいくか、具体的に考える必要がありますね。」と話があった
<問題>
教務主任の発言を受けて、あなたならどのように学習指導に取り組んでいくか、志望する校種と教科等に即して、具体的な方策を二つ挙げ、それぞれ10行(350字)程度で述べなさい。また、まとめを含め、全体で30行(1,050字)以内で論述しなさい。ただし、26行(910字)を超えること。
【テーマB】
あなたは、生活指導・保健指導部に所属している。年度初めの生活指導・保健指導部会で、生活指導主任から、全校生徒を対象に行った学校生活アンケートでは、「自分には、良いところがある」に否定的な回答が多く見られたこと、また、各学年の生活指導担当の教員からは、「苦手なことは、挑戦せずに避けようとする生徒が多く見られる」や「学校生活の様々な場面で、自分にはできないとあきらめる生徒が多い」ことが課題として挙げられたとの報告があった。
その上で、生活指導主任から、「今年度、生活指導・保健指導部として、『生徒の自己肯定感を高められるよう、生活指導の充実を図る』を重点事項にしたいと思います。」と示された。
部会終了後、生活指導主任からあなたに、「先ほどの重点事項に基づいて、生活指導・保健指導部の一員として、どのように指導に取り組んでいくか、具体的に考える必要がありますね。」と話があった。
<問題>
生活指導主任の発言を受けて、あなたならどのように児童・生徒の指導に取り組んでいくか、志望する校種に即して、具体的な方策を二つ挙げ、それぞれ10行(350字)程度で述べなさい。また、その方策を考える上での問題意識を明確にし、全体で30行(1,050字)以内で論述しなさい。ただし、26行(910字)を超えること。
まずは、これらのテーマを使い、時間を測って書いてみましょう。そして、添削を受けることで、現在の実力(文章構成が苦手、書けるけど知識不足など)がわかります。
あとは、その弱点を伸ばすようにすれば小論文の点数は安定してきますよ。
過去問の解説や模範解答例はこちらの記事でまとています。
小論文対策に関するFAQ
東京都教員採用試験の小論文で、受験生が抱く共通の疑問にお答えしていきます。
小論文は何文字書けばいいですか?
9割以上を書くことを推奨します。
文字数が極端に少ないと、内容以前に「意欲不足」「論理展開が弱い」と判断されやすくなります。一方で、上限ギリギリまで無理に埋める必要はありません。
序論→本論①→本論②→(本論③)→結論が過不足なく収まる文字数を意識しましょう。
小論文の対策はいつから始めればいいですか?
できるだけ早く、遅くとも一次試験の勉強と同時に始めるべきです。
小論文は暗記で対応できる試験ではなく、
- 教育観や価値観の整理
- 論理的な構成力
- 書いて→添削して→直す反復
が必要なため、短期間では仕上がりません。
特に東京都のように一次試験で小論文の比重が高い(全体の約3割)自治体では、一次試験の直前から対策を始めると、準備不足のまま本番を迎える受験生が多くなります。
そのため、筆記対策と並行して、前年の秋〜冬頃からテーマ理解や構成練習に着手するのが理想です。
小論文の対策方法(書き方)はこちらの記事で詳しく解説しています。
模範解答はありますか?
公式の模範解答はありません。
教員採用試験の小論文では、自治体が正解となる答案を公表することはほとんどありません。
ただし、評価の観点や「評価されやすい書き方」は明確に存在します。
以下の記事では、採点基準や合格者答案を分析したうえで、学習用の模範答案を作成しています。参考にしてください。
まとめ|次にやるべきこと
東京都教員採用試験の小論文は、やるべきことが想像しているよりも多いです。
過去問を眺めるだけでは、小論文を攻略することはできません。過去問を使って答案を作成し、その上で添削を受けることで徐々に上達します。
小論文で落ちる人ほど、書いたら書きっぱなしってことが多いです。答案を書いて誰にも見せないというのは、問題を解いても答え合わせをしないのと同じなので注意しましょう。
で、ここからどうするか。
過去7年分の全文解答と、回数無制限の個別添削が受けられるnoteを用意しました。「これで合ってる?」が全部クリアになります。
文字数配分、構成の作り方、評価される表現。合格答案を書くための技術を解説した記事から始めましょう。
倍率や試験日程、面接などの記事もあります。気になるところから読んでみてください。

