- 教員採用試験の専門教養はどんな試験内容なの?
- 教員採用試験の専門教養はどうやって勉強すればいいの?
- 教員採用試験の専門教養の過去問はどこで入手できるの?
このような疑問を解決できる記事を書きました。
本記事では、教員採用試験の専門教養について、試験内容や勉強方法を徹底解説します。
専門教養で悩んでいる人やはじめて勉強する人は参考にしてみてください。
【教員採用試験】専門教養とは?
教員採用試験の専門教養(専門科目)は、志望校種・教科ごとの専門知識と学習指導要領・指導法に関する筆記試験の一つです。
専門教養の試験科目
教員には様々な校種や教科(科目)があります。つまり、それぞれの校種・教科に応じた知識が必要であり、その専門性の有無が問われるのです。
たとえば、小学校なら主要5科目や副科目が出題されます。社会科教員なら地理歴史や公民などが出題という具合に、校種・教科ごとに出題科目が異なるのです。
校種教科 | 試験科目 |
---|---|
小学校 | 国語、算数、理科、社会、外国語など |
中高国語 | 現代文、古文、漢文など |
中高社会 | 日本史、世界史、地理、政治、経済 など |
中高保体 | 各スポーツのルールや知識、応急処置など |
養護教諭 | 保健室指導、歯科検診、各種法令など |
専門教養の問題レベル
専門教養の問題は、志望校種よりワンランク高いレベルが想定されています。
たとえば、小学校なら中学校~高校で学んだレベルが、中学校・高校なら高校~大学入試レベルの問題がよく出題されています。
高レベルが求められる科目を隅から隅まで勉強することは難しいと感じるかもしれません。
しかし、実際には出題される分野と傾向はある程度わかっているので、それらを意識し、頻出度の高い科目・分野を解けるようにすることが、合格するコツと言えるでしょう。
養護教諭や特別支援などの専門職における出題は、それぞれの学部で学んだことが大部分です!
専門教養の配点
専門教養は、教職・一般教養よりも配点の高い自治体が多いです。
自治体 | 一般教養 | 専門教養 |
---|---|---|
北海道 | 40点 | 100点 |
福島県 | 30点 | 50点〜120点 |
仙台市 | 100点 | 200点 |
茨城県 | 150点 | 200点〜440点 |
群馬県 | 100点 | 200点 |
岐阜県 | 100点 | 400点 |
三重県 | 50点 | 100点〜150点 |
岡山県 | 60点 | 100点 |
長崎県 | 50点 | 80点 |
少しでも合格点に近づくには、配点の高い専門教養で点を取ることが重要。教職・一般教養の1問に深入りするより、配点が高い教科専門を極めることが大切です。
くれぐれも科目間の重要性と勉強時間の配分を間違えないように注意してください。
【教員採用試験】専門教養の試験内容
教員採用試験の専門教養について、教科ごとに内容や特徴を解説します。
専門教養の試験内容|小学校全科
専門教養「小学校全科」は、小学校で指導する教科を中心に出題されます。
- 主要5教科(国語、算数、理科、社会、外国語)
- 副教科(音楽、図工、体育、家庭)
- 学習指導要領と指導法
全科目からバランスよく出題される自治体もあれば、主要教科に限定して出題するところもあります。
試験科目が多いので、出題数の多い科目や頻出度の高い分野を過去問で把握し、効率よく勉強することがポイントです。
専門教養の試験内容|国語科
専門教養「国語科」は、中学校や高校で指導する科目から出題があります。
- 国語常識
- 現代文
- 古文
- 漢文
- 学習指導要領、指導法
試験レベルは高校入試~高1レベルを中心とし、大学入試共通テストレベルの出題まで幅広いです。
また、出題パターンは以下の3つに分類できます。
- 中学校と高校で異なる出題
- 中学校と高校で同じ出題
- 中学校と高校で一部が同じ出題
とくに、学習指導要領は中学校(高校)だけでいいのか、それとも両方必要なのかは最低限把握しておく必要があります。
最初に過去問を見て、レベルや出題パターンを把握することから始めましょう。
専門教養の試験内容|社会科
専門教養「社会科」は、中学校や高校で指導する科目から出題があります。
- 世界史
- 日本史
- 地理
- 政治経済
- 倫理
- 学習指導要領、指導法
試験レベルは高校入試~高1レベルを中心とし、大学入試共通テストレベルの出題まで幅広いです。
また、基本的に中学校社会は全科目から出題されますが、高校社会は以下の3パターンに分類できます。
- 地理歴史と公民(政治経済倫理)にわけて出題
- 日本史、世界史、地理、政治経済、倫理ごとに出題
- 地理歴史・公民すべてから出題もしくは一部選択
とくに、全科目必要なのか、志望する科目だけでいいのかは最低限把握しておく必要があります。
最初に過去問を見て、レベルや出題パターンを把握することから始めましょう。
専門教養の試験内容|数学科
専門教養「数学科」は、中学校や高校で指導する科目から出題があります。
- 数学Ⅰ
- 数学A
- 数学Ⅱ
- 数学B
- 学習指導要領、指導法
※自治体によっては数学Ⅲ・Cが出る場合もあります。
試験レベルは高1レベルを中心とし、大学入試共通テストレベルの出題まで幅広いです。
また、出題パターンは以下の3つに分類できます。
- 中学校と高校で異なる出題
- 中学校と高校で同じ出題
- 中学校と高校で一部が同じ出題
とくに、学習指導要領は中学校(高校)だけでいいのか、それとも両方必要なのかは最低限把握しておく必要があります。
最初に過去問を見て、レベルや出題パターンを把握することから始めましょう。
専門教養の試験内容|理科
専門教養「理科」は、中学校や高校で指導する科目から出題があります。
- 物理
- 化学
- 生物
- 地学
- 学習指導要領、指導法
試験レベルは高校入試~高1レベルを中心とし、大学入試共通テストレベルの出題まで幅広いです。
また、基本的に中学校理科は全科目から出題されますが、高校理科は以下の3パターンに分類できます。
- 各分野からバランスよく出題
- 物理、化学、生物、地学ごとに出題
- 共通問題と一部選択問題
とくに、全科目から出題されるのか、志望科目だけでいいのかは最低限把握しておく必要があります。
最初に過去問を見て、レベルや出題パターンを把握することから始めましょう。
専門教養の試験内容|音楽科
専門教養「音楽」は、中学校や高校で指導する科目から出題があります。
- 楽典や楽譜
- 楽器
- 民族音楽・童謡
- 音楽の歴史
- 学習指導要領、指導法
試験レベルは高校入試~高1レベルを中心とし、大学での専門課程で学ぶ内容まで幅広いです。
また、出題パターンは以下の3つに分類できます。
- 中学校と高校で異なる出題
- 中学校と高校で同じ出題
- 中学校と高校で一部が同じ出題
とくに、学習指導要領は中学校(高校)だけでいいのか、それとも両方必要なのかは最低限把握しておく必要があります。
最初に過去問を見て、レベルや出題パターンを把握することから始めましょう。
専門教養の試験内容|美術科
専門教養「美術科」は、中学校や高校で指導する科目から出題があります。
- 美術基礎
- 美術道具
- 西洋美術史
- 日本美術史
- 学習指導要領、指導法
試験レベルは高校入試~高1レベルを中心とし、大学での専門課程で学ぶ内容まで幅広いです。
また、出題パターンは以下の3つに分類できます。
- 中学校と高校で異なる出題
- 中学校と高校で同じ出題
- 中学校と高校で一部が同じ出題
とくに、学習指導要領は中学校(高校)だけでいいのか、それとも両方必要なのかは最低限把握しておく必要があります。
最初に過去問を見て、レベルや出題パターンを把握することから始めましょう。
専門教養の試験内容|保健体育科
専門教養「保健体育科」は、中学校や高校で指導する科目から出題があります。
- 器械運動
- 水泳
- 球技
- 武道
- 保健
- 学習指導要領、指導法
試験レベルは高校入試~高1レベルを中心とし、大学での専門課程で学ぶ内容まで幅広いです。
また、出題パターンは以下の3つに分類できます。
- 中学校と高校で異なる出題
- 中学校と高校で同じ出題
- 中学校と高校で一部が同じ出題
とくに、学習指導要領は中学校(高校)だけでいいのか、それとも両方必要なのかは最低限把握しておく必要があります。
最初に過去問を見て、レベルや出題パターンを把握することから始めましょう。
専門教養の試験内容|家庭科
専門教養「家庭科」は、中学校や高校で指導する科目から出題があります。
- 被服
- 食物
- 家庭生活
- 保育
- 住居
- 学習指導要領、指導法
試験レベルは高校入試~高1レベルを中心とし、大学での専門課程で学ぶ内容まで幅広いです。
また、出題パターンは以下の3つに分類できます。
- 中学校と高校で異なる出題
- 中学校と高校で同じ出題
- 中学校と高校で一部が同じ出題
とくに、学習指導要領は中学校(高校)だけでいいのか、それとも両方必要なのかは最低限把握しておく必要があります。
最初に過去問を見て、レベルや出題パターンを把握することから始めましょう。
専門教養の試験内容|英語科
専門教養「英語科」は、中学校や高校で指導する科目から出題があります。
- 文法
- 文章読解
- 和英作文
- リスニング
- 学習指導要領、指導法
試験レベルは高校入試~高1レベルを中心とし、大学入試共通テストレベルの出題まで幅広いです。
また、出題パターンは以下の3つに分類できます。
- 中学校と高校で異なる出題
- 中学校と高校で同じ出題
- 中学校と高校で一部が同じ出題
とくに、学習指導要領は中学校(高校)だけでいいのか、それとも両方必要なのかは最低限把握しておく必要があります。
最初に過去問を見て、レベルや出題パターンを把握することから始めましょう。
専門教養の試験内容|特別支援学校
専門教養「特別支援教育」は、特別支援に関する専門知識から出題があります。
- 特別支援教育の制度・歴史
- 自立活動
- 障害児教育
- 検査法・訓練法
- 学習指導要領、指導法
試験レベルは大学での専門課程で学ぶ内容です。
また、出題パターンは以下の3つに分類できます。
- すべて特別支援教育に関する出題
- 志望教科と特別支援教育に関する出題
- すべて志望教科に関する出題
とくに、特別支援教育の専門知識だけでいいのか、それとも教科の専門知識(両方)も必要なのかは最低限把握しておく必要があります。
最初に過去問を見て、レベルや出題パターンを把握することから始めましょう。
専門教養の試験内容|養護教諭
専門教養「養護教諭」は、大学の専門課程で学ぶ内容から出題があります。
- 学校保健・学校安全
- 保健室指導
- 健康相談・観察
- 疾病と病気
- 各種法令
- 学習指導要領、指導法
試験レベルは大学の専門課程で学ぶ内容ばかりなので高いです。最近は見たことのない法令や資料からバンバン出題されています。
教員採用試験の参考書・問題集で事足りるのか、それとも大学での専門書まで必要なのかは最低限把握しておく必要があります。
最初に過去問を見て、レベルや出題パターンを把握することから始めましょう。
より詳しい試験内容や勉強方法は次の記事で解説しています。
専門教養の試験内容|栄養教諭
専門教養「栄養教諭」は、大学での専門課程で学ぶ内容から出題があります。
- 栄養教諭制度
- 食育と文化
- 学校給食や食育指導
- 学校給食の管理
- 学習指導要領、指導法
試験レベルは大学の専門課程で学ぶ内容ばかりなので高いです。最近は見たことのない法令や資料からバンバン出題されています。
教員採用試験の参考書・問題集で事足りるのか、それとも大学での専門書まで必要なのかは最低限把握しておく必要があります。
最初に過去問を見て、レベルや出題パターンを把握することから始めましょう。
詳しい内容や勉強方法は、下記の記事で解説しています。
【教員採用試験】専門教養の勉強方法
教員採用試験の専門教養を勉強するときの手順を解説します。
出題傾向の把握(過去問分析)
まずは、出題傾向の把握から始めましょう。
なぜなら、志望自治体によって、試験科目や出題範囲が異なるからです。
たとえば高校社会(地理歴史)の出題傾向は、次の3パターンに分類できます。
- 地理、日本史、世界史から均等に出題
- 地理、日本史、世界史の共通問題と選択した1科目
- 地理、日本史、世界史のうち選択した1科目
高校日本史の先生になりたいと思っても、志望自治体の出題パターンが①や②だったら、世界史も地理も勉強しないといけませんよね。
その他にも、事前に把握しておくべき情報は多いです。
- 学習指導要領の出題有無
- 指導法に関する出題有無
- 出題形式(記述式 or 択一式) など
出題傾向は過去問5年分を分析すれば把握できます。今後の効率性にも関わってくるので、時間をかけて取り掛かりましょう。
なお、協同出版の過去問シリーズを使えば過去5年分の出題傾向が一瞬で把握できます。こういった書籍を活用すれば時短できるのでオススメです。
出題頻度の高い科目・分野をインプットする
過去問分析で出題傾向を把握したら、出題頻度の高い科目や分野に絞り覚えていきましょう。出題率が低い部分に時間をかけても効率が悪いからです。
たとえば、次の表は養護教諭の出題傾向例です。
出題分野 | 2024 | 2023 | 2022 | 2021 | 2020 |
---|---|---|---|---|---|
①学校保健 | ● | ● | |||
②学校安全 | ● | ||||
③保健教育 | ● | ● | ● | ||
④保健室 | ● | ● | |||
⑤健康相談 | |||||
⑥健康診断 | ● | ● | |||
⑦救急処置 | ● | ● | ● | ● | |
⑧法令答申 | ● | ● | ● | ● | ● |
- 表中の”●”は出題の有無
「③保健教育」は3年連続で出題があります。一方、「①学校保健」や「②学校安全」はほとんど出ていないので、どちらの分野に多く時間を使うかは明確ですよね。
もっと言うと、「⑧法令答申」は5年連続で出ているので、「③保健教育」よりも優先して勉強する必要があるということです。
勉強の初期段階では、出るか出ないかわからない1問に時間をかけるよりも、まずは確実に出るであろう1問を覚えてください。どのみち、ステップ③で重要度の低い分野も勉強するので、この時点ではスルーで大丈夫です。
過去問で総復習
過去問分析で出題傾向を把握し、出題頻度の高い分野を覚えたら、志望自治体以外の過去問を使い知識のインプット&アウトプットをしましょう。
このステップでは、これまでに覚えた知識の定着にくわえて、重要度の低かった分野も回収していきます。
過去問の使い方
まずは本試験を受験するつもりで解いてみましょう。
初見問題への対応や時間配分(見直し含む)の感覚も意識できると良いです。
解き終わったら答え合わせをしてください。
このとき、自信を持って正解できた問題は◯、不正解は×、そして勘で正解した問題には△をつけてください。
答え合わせをして△と×だった問題を解けるように復習します。
このとき、その問題をノートに貼り、周辺知識も書き込めるようにすると利便性が上がります。
復習が終われば、もう一度、自力で正解できるかを確認します。ここで解けなければ、やり直してください。
そして、解いた翌日にもう一度見直してください。
時間がないときは、復習用に作成したノートを軽く見るだけでもOKです。
とにかく、この過程(翌日にもう一度触れる)を挟まないといつまでたっても記憶が定着しないので注意。
全自治体の問題を2〜3年分解けばかなりの知識が身につくので、1問でも多く解いていってくださいね。
出題傾向は違うのに、他自治体の過去問を使っても意味あるの?
出題傾向は自治体によって違うので、このような疑問が出るかもしれません。
結論、気にせず解いてください。
確かに、出題傾向は違うかもしれませんが、覚えるべき知識は同じだからです。たとえば、次の問題①と問題②を見ると、自治体は違いますが、正解するには同じ知識が必要だとわかるはず。
問題①(2024年度青森県)
問題②(2023年度佐賀県)
青森県志望者でも、佐賀県の過去問を解いておけば、この1問は確実に取れていましたよね。
全自治体の過去問を使い勉強するというのは、こういうことです。
専門教養の参考書は種類が少ないので、全国の過去問を問題集代わりにして勉強しましょう。
【教員採用試験】専門教養対策に関するFAQ
教員採用試験の専門教養対策でよくある質問(FAQ)をまとめています。
専門教養でおすすめの参考書や問題集はありますか?
教員採用試験の専門教養でおすすめの参考書・問題集は次のとおりです。
- 過去問シリーズ(協同出版)
- 専門教養Build Upシリーズ(時事通信)
- ステップアップ問題集(東京アカデミー)
これらの参考書・問題集をやっていけば基礎的な部分はOKです。その他、高校・大学入試の参考書や専攻課程の専門書も取り入れるといいでしょう。
また、基礎学力に自信がない人は参考書で勉強するよりも、「スタディサプリ」を使って直接的に指導を受けた方が効率的です。
何事においても基礎が重要なので、ここを間違えてしまうとなかなか点数を伸ばすことができません。小学校レベルから学べて、低価格で利用できる点もオススメできる理由の一つです。
生活環境に予備校等がなく、基礎学力からしっかり学びたい人は「スタディサプリ」も使いながら勉強してみましょう。
専門教養の勉強はいつから始めるといいですか?
現在の学力にもよりますが、試験日の1年〜9ヶ月前から始めるといいでしょう。
なぜなら、専門教養の配点は高く、合格するようなライバルたちは高得点を取ってくるからです。
専門教養で得点できれば、対策が難しい一般教養の負担を減らせるので、早めに専門教養に着手しましょう。
専門教養の過去問はどこで入手できますか?
専門教養の過去問は、各都道府県の情報センター等で入手(閲覧・コピーが)できます。
また、山梨県や兵庫県など一部の自治体は、教育委員会のホームページで公開しているので、それをダウンロードして使うことも可能です。
【教員採用試験】専門教養の重要性
教員採用試験の専門教養科目は、自分が教員になったときに教える科目なので、できて当たり前です。
文部科学省も「教育の専門家としての確かな力量」が必要であるとの見解を示していることから専門教養で点数を取ることが重要です。
専門教養は平均点が高く、点数が取れないと合格点を超えれません。筆記試験を突破する人は、専門教養は配点が高いことをきちんと理解しているので時間をかけて勉強してきます。
ライバルたちが高得点を取っている中で、自分だけ点数が取れないと合格は難しいですよね。
専門教養の他にも教員採用試験の内容は幅広いので、過去問分析をし、出題傾向を理解してから効率的に勉強を始めましょう。
この記事が少しでもお役に立てたら幸いです。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました!
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