東京都教員採用試験について調べ始めると、「試験の種類が多くて、自分は何から対策すればいいの?」と迷いますよね。
一般選考では、第一次選考の教職教養・専門教養・論文と、第二次選考の個人面接・実技が基本です。
でも、全員が同じ試験を受けるわけではないんですよね。選考区分によって免除科目があり、実技の有無も校種・教科で変わります。
この記事では、2027年度採用(2026年実施)東京都教員採用試験の内容をまとめました。
試験の仕組みだけでなく、どこを優先して対策すればいいのかも解説します。一緒に見ていきましょう。
東京都教員採用試験の内容
まずは、一般選考の全体像を確認してみましょう。
東京都は、筆記だけで終わる試験ではありません。論文や面接、対象者には実技もあります。
| 選考段階 | 試験科目 | 時間・概要 |
|---|---|---|
| 第一次選考 | 教職教養 | 60分・100点・マークシート方式 |
| 専門教養 | 60分・100点・マークシート方式 | |
| 論文 | 70分・100点・1,050字以内 | |
| 第二次選考 | 個人面接 | 30分程度・面接官3人・口頭試問+場面指導 |
| 実技 | 音楽・美術・保健体育・英語などの対象者に実施 |
実技を受けるのは、対象となる校種・教科の受験者だけです。
中高共通の英語と中学校技術では、教職教養の代わりにSPI3を選べる場合もあります。
最初にやるのは、参考書選びではありません。まずは「自分が何を受けるのか」を確認しましょう。ここが曖昧なまま勉強を始めると、必要のない科目に時間を使ってしまいます。
選考区分によって受験科目が異なる
東京都では、選考区分によって受ける試験が変わります。
「特例選考①って、誰が対象なの?」と思いますよね。まずは、選考方法A~Dとの組み合わせを見てみましょう。
| 選考方法 | 主な選考区分 | 受験する試験 |
|---|---|---|
| A | 一般選考 特例選考⑥(社会人経験者) | 教職教養・専門教養・論文・個人面接・実技(対象者) |
| B | 特例選考①・②・④・⑦ 大学推薦 | 専門教養・論文・個人面接・実技(対象者) |
| C | 特例選考③ (カムバック採用) | 個人面接・実技(対象者) |
| D | 特例選考⑤ (名簿登載者) | 個人面接・英語実技(対象者) |
特例選考①~⑦の対象者
①国公立学校の正規教員経験者
東京都教育委員会の発令を除き、正規任用教員として3年以上の経験がある人
②東京都公立学校の正規教員経験者
東京都の正規任用教員として3年以上の経験があり、現在は在職していない人
③カムバック採用
東京都の正規任用教員として3年以上働き、退職後10年以内に同じ校種・教科で受験する人
④国公立学校の臨時的任用教員等経験者
直近3年間に、常勤と同様の勤務形態で12か月以上働いた人
⑤直近の東京都教採における名簿登載者
採用候補者名簿や、対象となる期限付任用教員採用候補者名簿に登載された人
⑥社会人経験者
民間企業・官公庁・国公私立学校などで、通算2年以上の勤務経験がある人
⑦スポーツ・文化・芸術分野の実績がある人
国際大会や全国大会、全国規模のコンクールなどで優秀な実績がある人
大学3年生前倒し選考では、3年次に教職教養と専門教養を受けます。
ここを通過すると、翌年度は教職教養と専門教養が免除されます。同じ校種・教科で受験することが条件です。
キャリア採用選考では、通常の試験に加えて90分間のキャリア論文もあります。
キャリア論文は、採用時の職層を判定するための試験です。第一次選考の合否には使われません。
特例①・②・④・⑦は、教職教養が免除されます。特例③は、さらに専門教養と論文もありません。逆に、社会人経験者の特例⑥は、一般選考と同じ試験を受けます。番号だけで判断せず、自分がどこに当てはまるか見てください。
特別選考や大学推薦では、書類審査によって受験科目が変わることがあります。最後は、交付された受験票で確認してください。
第一次選考の内容
一般選考の第一次選考は、教職教養・専門教養・論文の3つです。
ここで押さえたいのが、各試験に最低基準点があること。得意科目だけで押し切るのは難しいんですよね。
教職教養
教職教養では、教育に関する法令や理論などが出題されます。
「範囲が広くて大変そう……」と思うかもしれません。でも、出題数を見ると優先順位はかなり分かりやすいです。
2026年実施試験は全25問。各問4点の100点満点でした。
| 科目 | 2025年実施R8採用 | 2024年実施R7採用 | 2023年実施R6採用 |
|---|---|---|---|
| 教職科目・計 | 24 | 23 | 23 |
| 教育原理 | 9 | 7 | 8 |
| 教育史 | 1 | 2 | 2 |
| 教育心理 | 5 | 6 | 4 |
| 教育法規 | 9 | 8 | 9 |
| 原理+法規 | 18 | 15 | 17 |
東京都教員採用試験|教職教養(教職科目)の出題数
2025年実施(R8採用)は、この24問に東京都の教育施策1問を加えた全25問です。
毎年15~18問。まずここから固める。
毎年4~6問。原理・法規の次に進める。
毎年1~2問。最後に取りこぼしを防ぐ。
この2科目だけで、毎年15~18問が出ています。ここを後回しにする理由はありません。まず原理と法規を固めて、その次に教育心理。教育史は最後でOKです。
60分で25問なので、1問に使える時間は平均約2分24秒です。
迷う問題に時間を使いすぎると、最後まで解き切れません。いったん飛ばして、あとで戻る練習もしておきましょう。
学習指導要領は、平成29年・平成30年・平成31年告示の内容が対象です。
教職教養 出題傾向と効率的な勉強法を詳しく見る 頻出分野、過去問分析、優先順位の付け方は別記事で解説しています。教職教養に代えて受けられるSPI3
中学校・高等学校共通の英語と中学校技術では、一般選考または特例選考⑥の受験者に限り、教職教養に代えてSPI3を選択できます。
| 対象 | 中学校・高等学校共通 英語/中学校 技術 |
|---|---|
| 対象選考区分 | 一般選考/特例選考⑥ |
| 検査 | SPI3-Uの基礎能力検査(約35分) |
| 出題水準 | 大学卒業程度 |
| 主な内容 | 言語的理解力・数的処理能力・論理的思考力 |
| 受検方法 | 全国のリアル会場またはオンライン会場 |
基礎能力検査の前に、自宅などで性格検査を受けます。性格検査の結果は、合否には使われません。
SPI3を選んでも、専門教養と論文は残ります。ここは勘違いしないようにしてください。
補足 SPI3は申込時に選びます。受験票通知日から2026年7月2日までの間に、自分で受検日時と会場を予約してください。
「SPI3のほうが簡単そう」で選ぶのは危険です。すでに教職教養を勉強しているなら、途中で切り替えると対策が分散します。逆に、就活などでSPIに慣れている人には有力です。両方の例題を解いてから決めましょう。
専門教養
専門教養は、東京都教採のなかでも対策に時間がかかる試験です。
校種・教科によって問題が違います。共通の勉強法だけでは対応できないんですよね。
まずは、自分が受験する校種・教科の過去問を確認してみましょう。
問題数や出題範囲も、校種・教科によって違います。
教科知識だけでなく、学習指導要領からも出題されます。教科の勉強だけで終わらせないでください。
もう一つ注意したいのが、分野別最低基準点です。一部の校種・教科に設定されています。
| 校種・教科 | 分野 |
|---|---|
| 小学校全科 | 国語・社会・算数・理科・英語 |
| 中高共通 国語 | 現代文・古典 |
| 中高共通 社会 (地理歴史/公民) | 共通問題地理・共通問題歴史・共通問題公民・選択問題 |
| 中高共通 理科 (物理/化学/生物/地学) | 共通問題・各専門の選択問題 |
| 小中高共通 保健体育 | 体育・保健 |
| 高等学校 農業 | 共通問題・各専門の選択問題 |
| 高等学校 工業 | 共通問題・各専門の選択問題 |
| 特別支援学校各学部・各教科 (自立活動を除く) | 教科等・特別支援教育の専門 |
たとえば小学校全科の場合、算数や理科で点を稼いでも安心できません。別の分野が基準を下回れば、合格できないんですよね。
得意分野は、順位を上げるために伸ばします。苦手分野は、基準を割らないために底上げしましょう。参考書を最初から読むより、過去問で自分の穴を見つけてから戻るほうが効率的ですよ。
論文
論文では、教育課題に対する考えや具体的な取組を書きます。
問題は1題で、必答です。
見られるのは、課題を読み取る力、教師としての実践力、そして分かりやすく伝える力です。
教育用語を覚えただけでは書けません。自分の校種・教科なら何をするのか。そこまで具体的に書いてください。
論文は、書き始める前の構成でほぼ決まります。目安は、構成10分、執筆50分、残り時間で見直し。910字を超える条件もあるので、練習から時間と字数を必ず測ってください。
第一次選考の合否は科目ごとに判定される
第一次選考は、3科目の合計点だけで決まりません。
教職教養(SPI3を含む)・専門教養・論文。それぞれに最低基準点があります。
どれか一つでも基準を下回ると、ほかで高得点を取っていても合格できません。
つまり、全科目で基準を超えてから総合点を伸ばす。これが基本です。
最低基準点は、目標点ではありません。「たぶんこのくらい」でギリギリを狙うのは危険です。苦手科目は安定して基準を超える状態へ。得意科目は順位を上げられる水準へ。この二段構えでいきましょう。
第二次選考の内容
第二次選考は、個人面接が中心です。対象となる校種・教科では、実技試験もあります。
「一次が終わってから対策すればいい」と思いますよね。でも、面接も実技も短期間では仕上がりません。
筆記と並行して、少しずつ準備しておきましょう。
個人面接
個人面接は、面接票をもとに進みます。試験時間は30分程度、面接官は3人です。
面接票は、ただの提出書類ではありません。質問の入口になるものです。
主な評価の観点
- 教職への理解
- 教科等の指導力
- 対応力
- 将来性
- 心身の健康と人間的な魅力
暗記した回答は、少し質問を変えられると崩れます。教育実習や仕事、ボランティアなどの経験を振り返ってみてください。「何を見たのか」「どう考えたのか」「教員としてどう動くのか」。ここまで自分の言葉で話せるようにしておきましょう。
実技試験
実技試験があるのは、音楽・美術・保健体育・英語などです。小学校全科では、英語コースの受験者が対象になります。
音楽
7曲のうち、当日に指定された1曲をピアノで伴奏しながら歌います。
移調はできます。伴奏譜は、自分で用意してください。
評価されるのは、基礎的な技能だけではありません。曲に合った表現ができているかも見られます。
福永 Voice:難しい伴奏で余裕をなくすより、安定した伴奏で歌えるほうがいいです。7曲すべてを録音して、最後まで止まらず演奏できるか確認してみましょう。
美術
美術は、鉛筆による素描です。形を正確に描く力と、鉛筆を生かした表現力が見られます。
福永 Voice:輪郭を取るだけでは足りません。形の比率、光と影、質感まで見て描く練習をしておきましょう。モチーフや時間は、届いた案内で確認してください。
保健体育
次の4種目をすべて行います。
開脚跳び、台上前転
水中から25m平泳ぎ、25m背泳ぎ
リフティング、ドリブル、パス
礼法、切り返し、二段の技(小手-面)
見られるのは、体育を指導するために必要な技能です。
福永 Voice:4種目すべてを受けます。得意種目だけ練習してもダメなんですよね。まずは、どの種目も安全に最後までできる状態を目指しましょう。
英語・小学校全科(英語コース)
英語実技は、スピーチとディスカッションです。どちらも英語で行います。
英語でのスピーチ
テーマ「東京の魅力」
英語でのディスカッション
①スピーチの内容 ②授業における指導方法
ディスカッションは、ネイティブスピーカーとの1対1です。英語でやり取りする力が見られます。
福永 Voice:スピーチを暗記して終わりではありません。そのあとの対話があるんですよね。東京の魅力や授業での指導方法を、自分の言葉で説明する練習までやっておきましょう。
小学校全科(英語コース)は、英語実技の対象です。通常の小学校全科には実技がありません。面接を欠席すると、実技も受けられないので注意してください。
英語実技試験の免除
次の基準を満たしている人は、英語実技の免除を申請できます。
| 資格・試験 | 基準 |
|---|---|
| 実用英語技能検定 | 1級 |
| TOEIC L&R/S&W | 合算1,840点以上 L&R+(S&W×2.5)。IPは不可 |
| TOEFL iBT | 94点以上またはバンドスコア4.5以上 MyBestスコアは不可 |
| IELTS | 6.5以上 アカデミック・モジュール。One Skill Retakeは不可 |
使えるのは、2024年7月6日以降に受験した証明書です。
免除を希望する人は、原則として第一次選考の日に写しを提出します。
スコアだけ見て安心しないでください。証明書の日付と提出方法まで確認しましょう。免除されるのは英語実技だけで、個人面接は受けます。
最終合格は第一次・第二次選考を総合して判定
「一次を通過したら、筆記の点数はリセットされる」と思っていませんか。
東京都は、そうではありません。
これらを総合して最終合格者が決定されます。
第一次選考の点数も、最後まで使われます。「通過できれば何点でもいい」という考え方は危険です。
取れる問題は、きっちり得点しておきましょう。
筆記・論文・面接を、別々の試験だと考えないほうがいいです。論文で書く教育観も、面接で話す志望理由も、最後は「東京都でどんな教員になりたいか」につながります。ここに一貫性を持たせましょう。
東京都教員採用試験の対策を始める順番
ここまで読んで、「結局、何から始めればいいの?」と思いますよね。
すべてを同じように勉強しなくてOKです。次の順番で進めてみましょう。
- 1受験する試験を確定する
選考区分と免除科目を確認します。受験票が届いたら、もう一度見てください。
- 2過去問を1年分解く
勉強してからではありません。最初に解いて、出題分野と今の実力をつかみます。
- 3筆記と論文を並行する
筆記は頻出分野から。論文は、東京都の字数と時間で練習します。
- 4面接と実技も少しずつ始める
面接で使える経験をメモします。実技がある人は、基礎練習も始めましょう。
過去問は、東京都公立学校教員採用ポータルサイトで公開されています。問題だけでなく、正答・配点・論文課題・実技内容も確認できます。
過去問 過去問の入手方法と使い方を見る 公開年度と、最初に確認したいポイントをまとめています。よくある質問
一般選考では何を受験しますか?
第一次選考で教職教養・専門教養・論文、第二次選考で個人面接を受験します。音楽・美術・保健体育・英語などの対象者には実技試験もあります。
教職教養の代わりにSPI3を選べますか?
中学校・高等学校共通の英語と中学校技術を、一般選考または特例選考⑥で受験する人は選択できます。申込時の申告が必要です。
第一次選考は合計点だけで決まりますか?
いいえ。教職教養、専門教養、論文ごとに最低基準点があります。専門教養では、一部の校種・教科に分野別最低基準点も設定されます。
小学校全科にも実技試験がありますか?
通常の小学校全科には実技試験はありません。小学校全科(英語コース)は英語実技の対象です。
個人面接はどのように行われますか?
試験時間は30分程度で、面接官は3人です。面接票をもとに、口頭試問と場面指導があります。
まとめ
東京都教員採用試験は、たしかに試験の種類が多いです。
でも、自分が受ける試験を整理すれば、やることは見えてきます。
まずは、受験科目を書き出してみましょう。その次に、過去問を1年分解いてください。
教職教養は頻出科目から。専門教養は、得意分野と苦手分野を分けて対策します。
論文・面接・実技も、少しずつ並行してください。今日できる最初の一歩は、受験科目を書き出して過去問を開くことです。
出典:『令和8年度東京都公立学校教員採用候補者選考(9年度採用)実施要綱』第2「選考方法」、第3「受験申込み」、第4「選考内容と評価の観点」、東京都公立学校教員採用ポータルサイト「令和8年度 問題・正答・配点」。試験内容は変更される場合があるため、受験時は最新情報を確認してください。
教採ギルド代表
福永 真 Makoto Fukunaga
あ、どうも、サイト代表の「福永 真」です。
「教採ギルド(みんなの教員採用試験対策ブログ)」では、公立学校の先生になりたい方に向けて、教員採用試験に関する情報を発信しています。
孤独になりがちな教採対策の伴走者として、気軽に活用してください☺️

