高知県の公立学校で教員を目指している方に向けて、本記事では高知県教員採用試験の内容をわかりやすく整理しました。
試験の概要はもちろん、一次・二次試験の内容から傾向まで、受験に必要な情報を“ガイドブック”のような感覚でまとめています。これから本格的に準備を始める方にとっても、きっと役立つはずです。
出題傾向や選考方法を理解しないまま勉強を進めてしまうと、努力が成果に結びつきにくくなります。まずは高知県教員採用試験の試験制度を正しく把握することから始めていきましょう。

高知県教員採用試験の内容
高知県教員採用試験では、第1次試験・第2次試験を通して、教員としての知識、技能、そして人物面まで幅広く評価されます。
まずは第1次試験の内容から見ていきましょう。その後、第2次試験についても詳しく解説しますので、全体像をつかみながら対策の優先順位を考えるヒントにしてみてください。
第1次試験
第1次試験では、主に筆記試験によって受験者の基礎的な知識と専門性を評価します。
試験科目は「教職・一般教養」と「専門教養」に分かれており、いずれも合格のためにはしっかりとした対策が必要です。
教職・一般教養
教職・一般教養は、教育に関する基礎的な知識を問う「教職教養科目」で構成される筆記試験です。
まずは、教職・一般教養の概要を確認しましょう。
| 試験時間 | 60分 |
|---|---|
| 問題数 | 40問(必答) |
| 出題形式 | 正誤問題、穴埋め問題 |
| 解答方法 | 択一式(マークシート) |
| 配点 | 150点満点 |
このように試験の形式自体はシンプルに見えますが、実際の出題範囲は非常に広範囲にわたります。そのため、やみくもにすべての分野を勉強しようとすると膨大な時間と労力がかかってしまうんですよね…。
そこで、過去のデータをもとに、出題傾向を分析し、効率的に学習を進めるためのポイントを整理しました。
| 出題科目 | 2025 | 2024 | 2023 |
|---|---|---|---|
| 教育原理 | 20 | 19 | 18 |
| 教育法規 | 7 | 6 | 6 |
| 教育心理 | 2 | 2 | 3 |
| 教育史 | 2 | 3 | 3 |
| ローカル | 5 | 5 | 4 |
| 一般教養 | 4 | 5 | 6 |
このように、出題傾向をもとに「出るところ」に絞って学習を進めることが、合格への最短ルートです。
時間は有限です。すべてを満遍なく勉強するよりも、出題頻度の高い分野から重点的に取り組みましょう。
専門教養
専門教養は、自分が志望する教科・校種に応じて内容が異なります。
たとえば、小学校ならば全科目にわたる幅広い知識が求められ、中学校・高等学校であれば専門教科(英語、数学、理科など)に特化した問題が出題されます。
まずは、専門教養の概要を確認しましょう。
| 試験時間 | 60分 |
|---|---|
| 問題数 | 教科・科目による |
| 出題形式 | 択一式(マークシート方式) |
| 配点 | 300点満点 |
問題レベルは、大学入試共通テスト(旧センター試験)から国公立大二次試験で問われるレベルの問題が6割程度を占めています。
専門教養は、受験者ごとに学力レベルや知識の差が大きく出やすいので、自分の学力に合った方法での対策が必須です。
たとえば、英語教員を目指す人の中には英検1級レベルの人から3級すら危うい人までおり、同じテキストや手順で勉強しても効率がよくありません。
まずは過去問を自力で解き、自分の実力を正確に把握することが大事です。
過去問を解いてみて…、
- 5割以下:基礎がないので中学受験レベルから勉強しなおす。基本的な概念や知識をしっかり固めることが大切です。
- 7割以下:高校~大学受験レベルで力をつける。より高度な問題に挑戦し、理解を深めることを目指しましょう。
- 7割以上:全国の過去問を解いて知識の定着や弱点克服。さらに実践的な問題に取り組むことで、試験本番に備えます。
このように捉えて勉強を始めるといいでしょう。
福永専門教養の勉強方法は、下記の記事でも解説しています。あわせて確認してみてください!


第2次試験
第2次試験では、人物評価と実技力の確認が中心となります。高知県では、学力だけでは測れない「教員としての資質・人間性」を重視する傾向があります。
試験科目は「面接試験」と「実技試験」に分かれており、いずれも合格のためにはしっかりとした対策が必要です。
面接試験
面接試験は、自己PRや志望動機から教職員としての適性や素質、人間性などを評価・判断する人物試験です。
まずは、面接試験の概要を確認しましょう。
| 試験内容 | 個人面接+模擬授業・口頭試問 |
|---|---|
| 試験時間 | 40分 |
| 面接官 | 4人 |
| 面接カード (自己評価書) | あり ※一次試験の通知に同封 |
| 配点 | 500点満点 (実技試験のある教科は400点) |
| 評価基準 | ・基本的資質 ・積極性 ・社会性 ・表現力 ・堅実性 ・協調性 ・指導方法・技術 ・分析力・客観性 ・豊かな人間性 ・専門性 |
このように、高知県教員採用試験の面接では、知識や指導力に加えて、子どもに寄り添い、落ち着いて物事に対応できるかどうかといった人物的な資質が重視されます。模擬授業では、展開の工夫や語りかけの姿勢、児童理解を踏まえた授業構成ができているかも評価対象です。
受験者には、教育に対する真摯な思いや責任感、そしてチームの一員として協働できる柔軟さが求められており、普段の言動や価値観の表れが評価に大きく影響するといえるでしょう。
本番で自分らしさをしっかり伝えるためにも、早めの対策を意識的に進めておきたいところです。
なお、過去の質問例や対策方法については、以下の記事で詳しく紹介しています。面接対策を深めたい方は、ぜひチェックしてみてください。


実技試験
実技試験は、専門的技能や実践的能力があるかどうかを評価・判断する人物試験です。専門知識の有無だけでなく、児童生徒に知識を伝えるための教育的なアプローチや方法論も重要視されます。
対象教科は中学校・高校・特別支援学校の「音楽・美術・保健体育・技術・家庭・英語」です。
まずは、実技試験の概要を確認しましょう。
| 対象教科 | 内容 |
|---|---|
| 技術 | 「材料と加工の技術」「エネルギー変換の技術」に関する基礎的・基本的な実技 |
| 音楽 | ・弾き歌い「花の街」 ・筝による演奏「六段の調」(※初段のみ演奏) ・専攻等の演奏 |
| 美術 | 着彩写生(鉛筆写生後、水彩絵具で彩色) |
| 英語 | グループ・ディスカッション(テーマに基づき話し合い後、発言内容について問答) |
| 家庭 | 被服・食物に関する基礎的・基本的な実技 |
| 保健体育 | 専門実技(種目:バレーボール、バスケットボール、ハードル走、卓球)※内容は当日指定 |
何ができて、できていないのかを早めに把握するようにしましょう。そのうえで出来るように少しずつ技能を磨いていくことが最適解です。
また、自己評価だけでなく、指導者や同僚からフィードバックをもらうことで、自分では気づかない改善点を発見することができます。
なお、課題に沿って完璧にできることにくわえて、熱意や意欲、態度なども評価対象です。そのため、実際の試験では面接と同じように楽しくできるように練習してください。
高知県教員採用試験に関するFAQ
高知県教員採用試験に関するFAQ(受験者から頻繁に寄せられる質問とその回答)をまとめています。
求める教師像
Q1. 高知県の求める教師像は?
A1. 高知県が求める教師像は、以下のような人物です。
- 教育の仕事に対する使命感や誇り、子どもに対する愛情や責任感のある人
- 教育の専門家として、教育指導力、児童生徒に対する理解力、指導力、集団指導力の向上に取り組む意欲のある人
- 豊かな人間性や社会性、常識と教養を備え、組織の一員としての自覚を持てる人
受験資格(年齢制限等)
Q2. 高知県教員採用試験の受験資格(年齢制限)は?
A2. 2026年度(2025年実施)の場合、1964(昭和39)年4月2日以降に生まれた人が対象です。
採用予定人数
Q3. 高知県教員採用試験の採用人数は何人くらいですか?
A3. 2026年度(2025年実施)高知県教員採用試験では263人程度の採用を予定しています。
| 校種 | 2026 | 2025 | 2024 |
|---|---|---|---|
| 小学校 | 130 | 130 | 130 |
| 中学校 | 66 | 47 | 49 |
| 高等学校 | 41 | 41 | 37 |
| 特別支援 | 13 | 18 | 23 |
| 養護教諭 | 11 | 11 | 13 |
| 栄養教諭 | 2 | 3 | 3 |
| 合計 | 263 | 250 | 255 |
受験倍率
Q4. 高知県教員採用試験の倍率はどのくらいですか?
A4. 教科や校種によって異なりますが、概ね3〜5倍程度です。
| 採用年度 | 受験者数 | 合格者数 | 倍率 |
|---|---|---|---|
| 2025 | 1,372 | 400 | 3.4 |
| 2024 | 1,803 | 327 | 5.5 |
| 2023 | 2,131 | 282 | 7.6 |
| 2022 | 2,397 | 306 | 7.8 |
| 2021 | 2,306 | 302 | 7.6 |
なお、教科別の倍率は下記の記事で詳しくまとめています。


募集要項の告示
Q5. 高知県教員採用試験の募集要項はいつ公開されますか?
A5. 例年3月中旬に高知県教育委員会のウェブサイトで告示されます。
2026(令和8)年度の募集要項は2025年3月4日(火)に公開されました。募集要項には、試験内容や実施状況などの詳細な情報が掲載されていますので、必ず確認してください。
出願期間
Q6. 高知県教員採用試験の出願期間はいつですか?
A6. 例年、3月中旬〜4月中旬が出願期間となっています。
2026(令和8)年度の出願期間は、2025年3月17日(月)~4月14日(月)までです。
試験日程
Q7. 高知県教員採用試験はいつ実施されますか?
A7. 一次試験は6月上旬、二次試験は8月頃に実施されるのが一般的です。
2026(令和8)年度の試験日は以下のとおり。
| 第1次試験 | 2025年5月31日(土) |
|---|---|
| 第2次試験 | 2025年7月26日(土)~8月3日(日)の指定日 |
年度により日程が前後するため、必ず公式発表を確認してください。
なお、全国の試験日程を下記の記事で詳しくまとめています。併願等を考えるときの参考にしてください。


合格発表日
Q8. 高知県教員採用試験の合格発表はいつ行われますか?
A8. 第1次試験の合格発表は7月、第2次試験(最終合格)は9月に行われます。
2026(令和8)年度の合格発表日は以下のとおり。
| 第1次試験 | 2025年6月27日(金) |
|---|---|
| 第2次試験 | 2025年9月12日(金) |
第2次試験に合格すると、採用候補者名簿に登録されます。その後、意向聴取、受験資格の確認等を行い、学校現場の欠員状況等を考慮した上で採用者を内定。
過去問
Q9. 高知県教員採用試験の過去問はどこで入手できますか?
A9. 高知県教育委員会のウェブサイトにて、直近数年分の過去問が公開されています。
Web上で過去の問題と解答を入手できるため、出題内容や形式、問題レベルを把握するのに活用しましょう。過去問を活用することで、試験対策が効果的に進められます。
なお、下記の記事でも掲載しているので活用してください。


おすすめの参考書・問題集
Q10. 高知県教員採用試験対策におすすめの参考書はありますか?
A10. 「教員採用試験「過去問」シリーズ(協同出版)」がオススメです。
数年分の過去問が掲載されています。勉強を始める前に難易度や傾向を把握でき、無駄のない勉強ができて効果的です。
なお、下記の記事ではオススメの参考書や問題集を紹介しています。ぜひ参考にしてください。


まとめ|高知県教員採用試験は難しいのか?
高知県教員採用試験は、しっかりと対策をすれば決して突破が不可能な試験ではありません。
ただし、単に筆記試験の得点だけで決まるわけではなく、面接での人間性や指導観が大きく評価されるため、努力の方向性を誤ると結果につながりにくいという難しさがあります。
実際、筆記試験を通過しても、二次試験でなかなか合格できない受験者も一定数存在します。
記事内で解説したように、高知県の教員採用試験は出題範囲が広く、内容も多岐にわたります。合格を目指すには、傾向を正しく把握し、無駄のない効率的な学習を進めることが鍵となります。
本記事はここまでです。
本サイトでは、高知県教員採用試験の合格に必要な情報を多く配信しています。これから本格的に対策を始めたい方は、ぜひ他の記事も参考にして、自分に合った準備を進めていきましょう。



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