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【令和8年度】東京都教員採用試験の小論文対策!過去問と書き方解説

【令和8年度】東京都教員採用試験の小論文

東京都教員採用試験において、筆記試験と並ぶ最大の難関の一つが「小論文」です。

  • 「過去にどんなテーマが出たんだろう?」
  • 「東京都はどんな人材を求めているの?」
  • 「どうすれば合格レベルの答案が書けるんだろう?」

毎年多くの受験生が、こうした悩みを抱えています。

※小論文は第一次選考の一部です。東京都教員採用試験の全体像(試験日程や他の科目など)をまず把握したい方は、こちらのまとめ記事からご覧ください。
【対策ガイド2025】東京都教員採用試験の内容と傾向

そこでこの記事では、令和8年度の最新テーマを含む過去の出題傾向を徹底的に分析し、東京都が求める教育理念(東京都教育ビジョン)に基づいた「高評価を得るための書き方のコツ」を、誰にでも実践できるよう具体的に解説します。

最後まで読めば、あなたが今すぐ取り組むべき対策が明確になり、自信を持って小論文の準備をスタートできますよ。

【知っておきたい】試験の「実施年」と「採用年度」の違い

教員採用試験の年度表記に少し混乱していませんか?

  • 試験が実施される年令和7年(2025年)
  • 採用されて働き始める年度令和8年度(2026年度)

この記事で解説する「令和8年度試験」とは、令和7年(2025年)夏に行われる令和8年度採用に向けた試験のことです。

目次

【令和8年度】東京都教員採用試験の小論文テーマと考察

令和8年度の東京都教員採用試験では、昨年度に引き続き、子供たちの「多様性」や「協調性」を育む教師の資質を問うテーマが出題されました。

まずは、実際の試験問題を確認しましょう。

令和8年度小論文テーマ

次の問題について、(1)と(2)を合計して30行(1‚050字)以内で論述しなさい。ただし、26行(910字)を超えること。

各学校では、児童・生徒が互いのよさを見付け、多様な考えを尊重し合うことができるよう、教育の充実を図っています。

(1) 児童・生徒が互いのよさを見付け、多様な考えを尊重し合うことについて、あなたの考えを、理由を明確にして述べなさい。

(2) (1)の考えを踏まえ、あなたは教師としてどのように取り組んでいくか、志望する校種と教科等に即して述べなさい。

出典元:https://www.kyoinsaiyopr.metro.tokyo.lg.jp/recruit/exam_r7/mondai35.pdf

このテーマは、単に「仲良くすること」の大切さを問うているのではありません。

その背景には、現代社会の複雑化や、東京都が掲げる教育理念が深く関わっています。

【考察】出題の背景にある「東京都教育ビジョン」

このテーマを読み解くポイントは、東京都が全ての教育活動の指針としている「東京都教育ビジョン」にあります。

特に、ビジョンで示されている「一人一人の多様な幸せ(ウェルビーイング)の実現」や「『未来の東京』戦略」といった理念が、今回のテーマに直結しています。

グローバル化や社会のデジタル化が進む中で、子供たちは自分と異なる価値観を持つ人々と協力して、新しい価値を創造していく力(=協働性)が求められています。

そのためには、表面的な理解だけでなく、互いの「よさ」を積極的に見つけ、多様な考え方を尊重する姿勢を育むことが不可欠なのです。

つまり、東京都教育委員会は「あなたは、この都の理念を正しく理解し、教室で具体的に実践できる先生ですか?」ということを、この小論文を通して確かめようとしているのですね。

東京都教員採用試験の小論文で高得点をとる3つのコツ

東京都教員採用試験の小論文で評価される答案を書くためには、ただ綺麗な文章を書くだけでなく、東京都が目指す教育の方向性を正しく理解し、自身の考えと結びつけて論じることが不可欠です。

ここでは、令和8年度のテーマをもとに東京都の教育方針に直結するポイントを3つに絞って解説します。

結論ファーストで「都が抱える課題」を明確にする

小論文の鉄則は「結論から書く」ことです。

特に東京都の小論文では、冒頭で「なぜ、互いのよさを見付け、多様な考えを尊重することが重要なのか」という問いに対するあなたの答えを、都が直面する課題と結びつけて明確に示しましょう。

例えば、次のように書き出すことができます。

「予測困難な社会の中で子供たちが未来を切り拓いていくためには、多様な人々と協働して新たな価値を創造する力が不可欠であり、その土台として互いのよさを認め、多様な考えを尊重する姿勢を育むことが極めて重要である。」

このように、単なる「大切です」という感想ではなく、「未来を創造する力を育むため」といった都の課題感を意識した結論を先に示すことで、採点者に「この受験者はテーマの意図を深く理解している」という印象を与えることができます。

「東京都教育ビジョン」の内容を答案に盛り込む

あなたの主張に説得力を持たせる簡単なコツは、「東京都教育ビジョン」を答案に盛り込むことです。

これを答案に盛り込むことで、あなたの考えが単なる私見ではなく、都の教育方針に根ざしたものであることを証明できます。

東京都教育ビジョン(第5次)」では、目指す教育の姿として「誰一人取り残さず、すべての子供が将来への希望を持って、自ら伸び、育つ教育」を掲げています。

この理念を踏まえ、(1)の「あなたの考え」を述べる部分で、

「『東京都教育ビジョン』が示すように、全ての子供が将来への希望を持つためには、一人一人の個性や背景が尊重されるインクルーシブな環境が不可欠です。互いのよさを見付け合う経験は、子供たちの自己肯定感を高め、まさに『誰一人取り残さない』教育の実現に繋がります。」

のように、ビジョンの言葉を引用・言及しながら論を展開すると、答案の信頼性と具体性が一気に高まります。

具体的な「教育実践例」を必ず入れる

(2)の問いで求められる「教師としての取り組み」では、抽象的な精神論に終始せず、情景が目に浮かぶような具体的な教育実践を述べることが重要です。

ここでも「東京都教育ビジョン」がヒントになります。ビジョンでは「Society5.0時代を切り拓くイノベーション人材を育成する教育」の一環として、一人1台端末の活用が挙げられています。

この方針を、あなたの志望校種・教科と結びつけて、次のように展開してみましょう。

「国語の授業において、一つの物語に対して複数の解釈があることを学ぶ活動を行います。例えば、グループごとにICT端末を活用して登場人物の心情をまとめたプレゼンテーションを作成させ、互いに発表し合う場を設けます。自分たちとは違う意見に触れることで、多様な考えの存在を実感させるとともに、友達の発表の『よさ』を見付けてコメントを送り合う活動を通して、互いを尊重する態度を育みます。

このように、「いつ」「どこで」「誰が」「何を」「どのようにする」が明確な実践例を挙げることで、あなたの教師としての実践的指導力を具体的にアピールすることができます。


より普遍的な小論文の型や、文章作成のテクニックを基礎から学びたい方は、下記の記事をご覧ください。

【過去問】東京都教員採用試験の小論文テーマ一覧

ここでは、令和7年度(2025年度)以前の過去問テーマを紹介します。

毎年のテーマを比較することで、東京都が一貫してどのような資質を持つ教師を求めているのか、その傾向を掴むことができます。

令和7(2025)年度

全校種共通

次の問題について、(1)と(2)を合計して30行(1,050字)以内で論述しなさい。ただし、26行(910字)を超えること。

各学校では、児童・生徒に他者への共感や思いやりの心を育てる教育を目指しています。

(1) 児童・生徒に他者への共感や思いやりの心を育てることについて、あなたの考えを述べなさい。

(2) (1)の考えを踏まえ、あなたは教師としてどのように取り組んでいくか、志望する校種と教科等に即して述べなさい。

【ワンポイント解説】

令和8年度のテーマと非常に近い、他者との関わりや内面の育成を問うテーマです。「多様性の尊重」の基礎となる「共感」や「思いやり」に焦点が当てられており、東京都が一貫してインクルーシブな学校づくりを目指していることがわかります。ここでも、具体的な教育活動と結びつけて論じることが求められます。

令和6(2024)年度

全校種共通

各学校では、児童・生徒一人一人のよい点や可能性を引き出し伸ばす教育が求められています。このことについて、あなたの考えを述べた上で、その考えに立ち、教師としてどのように取り組んでいくか、志望する校種と教科等に即して、26行(910 字)を超え、30行(1050字)以内で述べなさい。

【ワンポイント解説】

この年は「個の伸長」に焦点を当てたテーマです。令和8年度の「互いのよさを見付け」るという部分と共通しており、多様な子供たち一人一人に光を当て、その可能性を伸ばす教師の観察眼や指導力が問われています。「個別最適な学び」といったキーワードと結びつけて考えると、論じやすくなります。

令和5(2023)年度

小学校

 あなたは、第5学年の学級担任である。年度初めの学年会における話合いの中で、学年主任から、「授業には真面目に取り組みますが、自ら進んで、学習する意欲に課題が見られます。」と報告があった。また、他の教員からは、「自分から興味・関心をもって学習し、疑問を調べて解決することに消極的ですね。」や「当番や係などの活動でも、もっと自分なりに工夫して積極的に取り組ませたいですね。」という意見もあった。

 まとめに、学年主任から今年度の学年経営の方針の一つとして、「自主的、自発的に学習したり活動したりする力を育む」が示された。学年会終了後、学年主任からあなたに、「先ほどの学年経営の方針に基づいて、学級経営の重点をどこに置き、どのように取り組んでいくか、具体的に考える必要がありますね。」と話があった。

問題 この事例の学校において、あなたは学級担任としてどのように学級経営を行っていくか、課題を明確にした上で、具体的な方策を二つ挙げ、それぞれ 10行(350字)程度で述べなさい。また、まとめを含め、全体で30行(1,050字)以内で論述しなさい。ただし、26行(910 字)を超えること。

【ワンポイント解説】

この年度は「子供の主体性」が大きなテーマです。「自主的・自発的な学習意欲」が問われました。これは学習指導要領の根幹である「主体的・対話的で深い学び」の実践そのものであり、教師が一方的に教えるのではなく、子供自身が学びの主役となるような働きかけができるかが試されています。

その他校種

次のA、Bのうちから1題を選択して、論述しなさい。

【A】

 年度初めの職員会議で、教務主任から、「昨年度に実施した生徒アンケートで、進度が自分に合っていないと回答した生徒が少なくありませんでした。」と報告があった。また、複数の教科主任からは、「自分に合った勉強方法を見付けられていない生徒が多いですね。」や「生徒の特性を十分理解した指導を行う必要がありますね。」という意見もあった。

 最後に、教務主任から、今年度の各教科等の指導における重点事項の一つとして、「個に応じた指導の充実を図る」が示された。職員会議終了後、教務主任からあなたに、「先ほどの重点事項に基づいて、どのように学習指導に取り組んでいくか、具体的に考える必要がありますね。」と話があった。

<問題>
 この事例の学校において、あなたはどのように学習指導に取り組んでいくか、志望する校種と教科等に即して、課題を明確にした上で、具体的な方策を二つ挙げ、それぞれ10行(350字)程度で述べなさい。また、まとめを含め、全体で30行(1,050字)以内で論述しなさい。ただし、26行(910字)を超えること。

【B】

 あなたは、生活指導・保健指導部に所属している。年度初めの生活指導・保健指導部会で、生活指導主任から、「昨年度に実施した生徒アンケートで、話合いで自分なりの意見を言うことが苦手な生徒が多いことが分かりました。」と報告があった。また、各学年の生活指導担当の教員からは、「話合いがまとまらないことがよくあります。」や「自分の考えと異なる様々な意見を比較しながら、新たなものを協力して生み出していくことも大切ですね。」という意見もあった。

 最後に、生活指導主任から、今年度の生活指導・保健指導部の重点事項の一つとして、「多様な考えを認め合い、合意を目指して話し合う態度の育成を図る」が示された。 部会終了後、生活指導主任からあなたに、「先ほどの重点事項に基づいて、どのように指導に取り組んでいくか、具体的に考える必要がありますね。」と話があった。

<問題>
 この事例の学校において、あなたはどのように指導に取り組んでいくか、志望する校種に即して、課題を明確にした上で、具体的な方策を二つ挙げ、それぞれ10行(350字)程度で述べなさい。また、まとめを含め、全体で30行(1,050字)以内で論述しなさい。ただし、26行(910字)を超えること。

【ワンポイント解説】

この年度は「子供の主体性」が大きなテーマです。「個に応じた指導(勉強方法の見付け方)」や「多様な考えを認め合う話合い」が問われました。これらは学習指導要領の根幹である「主体的・対話的で深い学び」の実践そのものであり、教師が一方的に教えるのではなく、子供自身が学びの主役となるような働きかけができるかが試されています。

令和4(2022)年度

小学校

 あなたは、第5学年の学級担任である。年度初めの学年会で、昨年度の児童の課題に関する引継事項として、学年主任から、「学習面では、授業のめあてを達成できない児童がいる一方で、めあてに到達すると、それ以上は、取り組まない児童がいます。また、生活面では、相手の身になって考えることが苦手な児童が多く見られます。」と報告があった。この引継事項を踏まえ、話合いを行った結果、学年主任から、「今年度の学年経営の方針を、『教師と児童との信頼関係を築き、児童相互のよりよい人間関係を育てる』とします。」と示された。

 学年会終了後、学年主任からあなたに、「先ほどの学年経営の方針に基づいて、主に集団の場面で、必要な指導や援助を具体的にどのように行えば学級経営の充実が図れるか、一緒に考えてみませんか。」と話があった。

問題 学年主任の発言を受けて、あなたなら学級担任としてどのように学級経営を行っていくか、学習面と生活面について具体的な方策を一つずつ挙げ、それぞれ 10行(350字)程度で述べなさい。また、まとめを含め、全体で30行(1,050字)以内で論述しなさい。ただし、26行(910 字)を超えること。

【ワンポイント解説】

この年は「人間関係」と「言語能力」がキーワードです。「信頼関係・人間関係づくり」がテーマとなりました。特に「自己肯定感」は、他者との良好な関係性の土台となる重要な要素です。GIGAスクール構想が進む中で、対面でのコミュニケーションや言葉を介した思考力・表現力を、教師としてどう育んでいくかが問われています。

その他校種

次のA、Bのうちから1題を選択して、論述しなさい。

【A】

 年度初めの職員会議で、教務主任から、昨年度末に実施した生徒アンケートでは、「自分の考えや質問を述べて、積極的に授業に参加している」や「根拠や理由を明確にして自分の考えを述べることができる」に肯定的な回答をした生徒が少なかったこと、また、教科主任会では、複数の教科主任から、「授業で学んだ内容を自分なりに解釈したり、これまで学習した知識と結び付けて自分の考えを形成したりすることができていない」ことが課題として挙げられたとの報告があった。

 その上で、教務主任から、「今年度、各教科等の指導において、『言語活動の充実を図り、言語能力の向上を目指す』を重点事項にしたいと思います。」と示された。
 職員会議終了後、教務主任からあなたに、「先ほどの重点事項に基づいて、どのように学習指導に取り組んでいくか、具体的に考える必要がありますね。」と話があった

<問題>
 教務主任の発言を受けて、あなたならどのように学習指導に取り組んでいくか、志望する校種と教科等に即して、具体的な方策を二つ挙げ、それぞれ10行(350字)程度で述べなさい。また、まとめを含め、全体で30行(1,050字)以内で論述しなさい。ただし、26行(910字)を超えること。

【B】

 あなたは、生活指導・保健指導部に所属している。年度初めの生活指導・保健指導部会で、生活指導主任から、全校生徒を対象に行った学校生活アンケートでは、「自分には、良いところがある」に否定的な回答が多く見られたこと、また、各学年の生活指導担当の教員からは、「苦手なことは、挑戦せずに避けようとする生徒が多く見られる」や「学校生活の様々な場面で、自分にはできないとあきらめる生徒が多い」ことが課題として挙げられたとの報告があった。

 その上で、生活指導主任から、「今年度、生活指導・保健指導部として、『生徒の自己肯定感を高められるよう、生活指導の充実を図る』を重点事項にしたいと思います。」と示された。
 部会終了後、生活指導主任からあなたに、「先ほどの重点事項に基づいて、生活指導・保健指導部の一員として、どのように指導に取り組んでいくか、具体的に考える必要がありますね。」と話があった。

<問題>
 生活指導主任の発言を受けて、あなたならどのように児童・生徒の指導に取り組んでいくか、志望する校種に即して、具体的な方策を二つ挙げ、それぞれ10行(350字)程度で述べなさい。また、その方策を考える上での問題意識を明確にし、全体で30行(1,050字)以内で論述しなさい。ただし、26行(910字)を超えること。

【ワンポイント解説】

この年は「人間関係」と「言語能力」がキーワードです。「言語能力の向上」や「自己肯定感の育成」がテーマとなりました。特に「自己肯定感」は、他者との良好な関係性の土台となる重要な要素です。GIGAスクール構想が進む中で、対面でのコミュニケーションや言葉を介した思考力・表現力を、教師としてどう育んでいくかが問われています。

令和3(2021)年度

小学校

 あなたは、第5学年の学級担任である。年度初めの学年会で、学年主任から、「昨年度の児童の学習や生活における課題について、次のような引継ぎを受けました。学習に関するアンケートの、『苦手なことにも取り組みましたか。』という項目では、否定的な回答が多くみられました。また、昨年度の学年主任からは、係や当番を決める際に興味はあるが一歩踏み出せず今まで経験したことのある係を選ぶ児童や、クラス全体の場で自分の考えをうまく伝えられず発表することが苦手だと考える児童が多いとのことでした。そこで、今年度の学年経営の方針は、『学校生活において、失敗を恐れず苦手なことや初めて取り組むことに挑戦する態度を育てる。』にしたいと思います。」と報告があった。

 学年会終了後、学年主任からあなたに、「先ほどの学年経営の方針に基づいて、学級経営の重点をどこに置き、どのように取り組んでいくか、具体的に考える必要がありますね。」と話があった。

問題 学年主任の発言を受けて、あなたなら学級担任としてどのように学級経営を行っていくか、「学習指導」と「生活指導」について具体的な方策を一つずつ挙げ、それぞれ 10 行(350 字)程度で述べなさい。また、その方策を考える上での問題意識やまとめを明確に書き、全体で 30 行(1,050 字)以内で述べなさい。ただし、26 行(910 字)を超えること。

【ワンポイント解説】

この年度のテーマは「挑戦する力」と「情報活用能力」です。「失敗を恐れず挑戦する態度」が問われました。予測困難な時代を生きる子供たちにとって、自ら課題を見つけて挑戦する力や、氾濫する情報の中から正しく情報を選択・活用する力は必須です。教師として、子供たちのチャレンジを支える「心理的安全性」を確保しつつ、情報モラルも含めた指導ができるかが試されています。

その他校種

次のA、Bのうちから1題を選択して、論述しなさい。

【A】

 年度初めの職員会議で、教務主任から、「昨年度末に実施した生徒アンケートで、問題の発見・解決に向けて、『情報の活用が十分できていない』や『情報の活用方法が分からない』と感じている生徒が多数いることが分かりました。また、昨年度末に行われた教科主任会で、『インターネットから得た情報をそのまま用いるなど、情報を整理したり、分析したりして思考する活動が十分でない生徒が多い。』といった意見が挙がりました。そこで、今年度、各教科等の指導において、『問題を発見・解決したり自分の考えを形成したりしていくために必要な情報を活用する力を育てる。』を重点事項にしたいと思います。」と報告があった。

 職員会議終了後、教務主任からあなたに、「先ほどの重点事項に基づいて、どのように学習指導に取り組んでいくか、具体的に考える必要がありますね。」と話があった。

<問題>
 教務主任の発言を受けて、あなたならどのように学習指導に取り組んでいくか、志望する校種と教科等に即して、具体的な方策を二つ挙げ、それぞれ10行(350字)程度で述べなさい。また、まとめを含め、全体で30行(1,050字)以内で論述しなさい。ただし、26行(910字)を超えること。

【B】

 あなたは生活指導・保健指導部に所属している。年度初めの生活指導・保健指導部会で、生活指導主任から、「昨年度行った生活に関するアンケートでは、『集団や社会のきまりを守ることができた』の項目で、否定的な回答が多くみられました。また、各学年の生活指導担当の教員からは、『教員から言われればきまりを守るが、きまりの意義を理解して、自ら守ろうとする意欲に欠ける生徒が多い。』や『日々の学校生活の中で、自律性が育まれていないのではないか。』との報告を受けています。そこで、今年度、生活指導・保健指導部として、『規範意識を高めるとともに、自律性を育む。』を重点事項にしたいと思います。」と報告があった。

 部会終了後、生活指導主任からあなたに、「先ほどの重点事項に基づいて、生活指導・保健指導部の一員として、どのように指導に取り組んでいくか、具体的に考える必要がありますね。」と話があった。

<問題>
 生活指導主任の発言を受けて、あなたならどのように児童・生徒の指導に取り組んでいくか、志望する校種に即して、具体的な方策を二つ挙げ、それぞれ10行(350字)程度で述べなさい。また、その方策を考える上での問題意識を明確にし、全体で30行(1,050字)以内で論述しなさい。ただし、26行(910字)を超えること

【ワンポイント解説】

この年度のテーマは「挑戦する力」と「情報活用能力」です。「情報を活用する力」や「規範意識・自律性」が問われました。予測困難な時代を生きる子供たちにとって、自ら課題を見つけて挑戦する力や、氾濫する情報の中から正しく情報を選択・活用する力は必須です。教師として、子供たちのチャレンジを支える「心理的安全性」を確保しつつ、情報モラルも含めた指導ができるかが試されています。

令和2(2020)年度

小学校

 あなたは、第5学年の学級担任である。年度初めの学年会で、学年主任から、「昨年度の児童の課題として、話合い活動の際に、自分の考えを強く主張する児童がいる一方で、自分の考えを相手に伝えられない児童が散見されるということが挙がっています。また、昨年度末に実施した学校生活アンケートの『クラスの中で、こまっている子や、なやんでいる子を見かけたことがありますか』の項目に『ある』と答えた児童の中で、『その子の力になることができましたか』の項目に『できなかった』『あまりできなかった』と答えた児童が半数以上おり、児童が互いに尊重し認め合い支え合う姿勢が十分ではないことがうかがえます。そこで、今年度の学年経営の方針は『学校生活において、相手の考え方や立場を理解し、共に支え合うことができる児童を育てる。』にしたいと思います。」と報告があった。

 学年会終了後、学年主任からあなたに、「先ほどの学年経営の方針に基づいて、学級経営の重点をどこに置き、どのように取り組んでいくか、具体的に考える必要がありますね。」と話があった。

問題 学年主任の発言を受けて、あなたなら学級担任としてどのように学級経営を行っていくか、「学習指導」と「生活指導」について具体的な方策を一つずつ挙げ、それぞれ10行(350字)程度で述べなさい。また、その方策を考える上での問題意識やまとめを明確に書き、全体で30行(1,050字)以内で述べなさい。ただし、26行(910字)を超えること。

【ワンポイント解説】

この年は、現在のテーマにも繋がる「協働性」が色濃く出ています。「相手を理解し支え合う姿勢」がテーマとなりました。学習指導要領で重視される「主体的・対話的で深い学び」の中でも、特に「対話」や「協働」に焦点が当てられています。一人で完結するのではなく、他者と関わり合いながら学びを深めていくプロセスを、教師としてどうデザインできるかが問われています。

その他校種

次のA、Bのうちから1題を選択して、論述しなさい。

【A】

 年度初めの職員会議で、教務主任から、「昨年度末に行われた教科主任会で、複数の教科主任から『身に付けた知識及び技能を活用して自分の意見を言ったり、説明したりすることができない生徒が多い』や『習得した知識を相互に関連付けて、課題を解決することができない生徒が多い』といった意見が挙がりました。そこで、今年度、各教科等の指導において、『各教科・科目等の特質に応じた「見方・考え方」を働かせて、自ら問いを見いだし探究する力を育成する。』を重点事項にしたいと思います。」と報告があった。

 職員会議終了後、教務主任からあなたに、「先ほどの重点事項に基づいて、どのように学習指導に取り組んでいくか、具体的に考える必要がありますね。」と話があった。

<問題>
 教務主任の発言を受けて、あなたならどのように学習指導に取り組んでいくか、志望する校種と教科等に即して、具体的な方策を二つ挙げ、それぞれ 10 行(350 字)程度で述べなさい。また、その方策を考える上での問題意識を明確にし、全体で 30 行(1,050 字)以内で論述しなさい。ただし、26 行(910 字)を超えること。

【B】

 あなたは生活指導・保健指導部に所属している。年度初めの生活指導・保健指導部会で、生活指導主任から、「委員会活動などにおいて、準備や活動を進めていく中で課題が出たときに、生徒に話合いをさせても意見が出ず、解決の方向性を生徒同士で決めることができなかったという報告が挙がっています。そこで、今年度、生活指導・保健指導部として、『様々な集団での活動を通して、課題を見いだし、よりよく解決していく力を育てる。』を重点事項にしたいと思います。」と報告があった。

 部会終了後、生活指導主任からあなたに、「先ほどの重点事項に基づいて、生活指導・保健指導部の一員として、どのように指導に取り組んでいくか、具体的に考える必要がありますね。」と話があった。

<問題> 
 生活指導主任の発言を受けて、あなたならどのように児童・生徒の指導に取り組んでいくか、志望する校種に即して、具体的な方策を二つ挙げ、それぞれ10行(350字)程度で述べなさい。また、その方策を考える上での問題意識を明確にし、全体で 30行(1,050字)以内で論述しなさい。ただし、26行(910字)を超えること。

【ワンポイント解説】

この年は、現在のテーマにも繋がる「協働性」が色濃く出ています。「探究する力」や「協働して課題解決する力」がテーマとなりました。学習指導要領で重視される「主体的・対話的で深い学び」の中でも、特に「対話」や「協働」に焦点が当てられています。一人で完結するのではなく、他者と関わり合いながら学びを深めていくプロセスを、教師としてどうデザインできるかが問われています。

東京都教員採用試験の小論文概要(文字数・試験時間)

東京都教員採用試験の小論文は、第一次選考で行われます。

筆記試験では判断できない、論理的思考力や読解力、教師としての適性などを総合的に評価します。

試験時間70分
文字数910~1050字
問題数1題
評価基準・課題把握力
・教師としての実践的指導力
・論理的表現力
・文章構成力
・国語力
配点100点満点

特筆すべきは、1,000字を超える文字数を70分で書かなければならないという点です。これは他の自治体と比較しても時間がタイトであり、ぶっつけ本番で臨むのは非常に危険です。

合格レベルの答案を仕上げるためには、時間配分を意識した練習が欠かせません。

以下に時間配分の目安を示します。

構成を考える(10〜15分)

テーマを読み解き、(1)と(2)で何を書くか、具体的なエピソードはどれを使うかなど、答案の骨子をメモに書き出します。ここで答案の質がほぼ決まります。

執筆する(50分)

構成メモに従って、一気に書き進めます。文字数を意識しつつも、誤字脱字は気にしすぎず、まずは最後まで書き上げることに集中します。

見直し(5〜10分)

誤字脱字のチェック、主語と述語のねじれがないか、問いに対して的確に答えているかなどを最終確認します。ここで冷静に文章を客観視することが、答案の完成度を大きく左右します。

日頃からこの時間配分を意識して、過去問に最低でも3〜5テーマは取り組んでおくことを強くオススメします。

また、書いた答案はプロに添削してもらうのが、自分の弱点を知り、合格レベルへ引き上げるための一番の近道です。


以下の記事でオススメの添削サービスを比較・紹介していますので、ぜひ参考にしてください。

東京都教員採用試験の小論文は「都の教育理念の理解」から始めよう

今回は、東京都教員採用試験における小論文の過去問と対策について詳しく解説してきました。

最後に重要なポイントを振り返りましょう。

  • 近年のテーマ: 「多様性の尊重」「他者への共感」「個の伸長」「主体性」など、子供の内面や他者との関わりを育む資質を問う傾向が続いている。
  • 対策のポイント: 高得点をとるポイントは、東京都の教育方針の羅針盤である「東京都教育ビジョン」を深く理解し、その理念を自身の考えや具体的な実践例と結びつけて論じること。
  • 答案の構成: (1)で自身の教育観や課題意識を述べ、(2)で志望校種・教科に即した情景が目に浮かぶような具体的な指導法を示す構成を徹底する。
  • 時間配分: 70分で1,050字を書き上げるため、「構成→執筆→見直し」の時間配分を体に染み込ませておくことが合否を分ける。

小論文対策は、単なる文章力トレーニングではありません。「自分は東京の教師として、どんな教育を実現したいのか」というあなたの教育への情熱やビジョンを、採点者に伝えるための大切な自己表現の機会です。

まずは第一歩として、この記事でも紹介した「東京都教育ビジョン」の公式資料に目を通してみてください。そして、過去問の中から一つテーマを選び、時間を計って答案を作成してみましょう。

その小さな一歩が、合格への大きな飛躍に繋がるはずです。

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