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横浜市教員採用試験の小論文とは?過去のテーマと模範解答を解説

横浜市教員採用試験の論文

横浜市教員採用試験(通称:横浜市教採)の小論文について解説します。

  • 小論文ってどんな試験なんだろう…。
  • どんなテーマが出ているの?
  • なにを書いたら合格できるの?

このような悩みや不安をお持ちなのではないでしょうか。

横浜市教採の小論文は、ただテーマに沿って文章をダラダラ書くだけでは評価されないのです。

正しい型や評価ポイントを知らずに対策しても、合格は勝ち取れません。

そこで本記事では、横浜市教員採用試験の小論文について以下の3点を解説します。

この記事でわかること
  • 小論文の概要(試験時間、文字数、評価基準)
  • 過去5年分の出題テーマ
  • 評価を落とす・評価される模範解答例

この記事に書かれていることを実践すれば、あなたの面接への不安は自信に変わりますよ。

福永

福永です。Xnoteでも有益な情報を発信しています!


横浜市教員採用試験の内容や対策方法を以下の記事でまとめています。あわせてご覧ください。

目次

横浜市教員採用試験の小論文とは?

横浜市教員採用試験の小論文は、第一次選考で行われ、第二次選考で採点されます。

筆記試験では判断できない、論理的思考力や読解力、教師としての適性などを総合的に評価します。

試験時間45分
文字数800字
問題数1題
配点100点満点
令和8年度概要

文字数と試験時間

文字数は制限があり、800字以内で書かなければなりません。対する試験時間は45分です。

福永

700字以上を目安に書くといいでしょう!

出題形式

出題数は1題ですが、校種によってテーマは異なります。

出題形式は、おおむね教育問題や学校教育の在り方に関する課題を扱うテーマが出題される傾向にあります。

評価基準・配点

小論文は以下の観点に沿って評価します。

基本的事項
  • 文章構成
  • わかりやすさ
  • 誤字脱字や不適切な表現
  • 字数
論文内容
  • テーマを正しく理解している
  • テーマに沿って論じている
  • 自分の考えを具体的に記述している

最終的に採点官2名の点数(100点満点)の平均点が得点になりますが、20点以下だと足切り(即不合格)です。

評価が悪くなる理由としては、テーマの把握ができていなかったり、文字数が少ない(400字以下)だったりすることが挙げられます。また、字が汚い(丁寧であればOK)、誤字脱字が多いっていうのもよくないので、注意しながら書きましょう。

【横浜市教採】小論文の過去問テーマ

ここでは、横浜市教員採用試験の小論文の過去問(テーマ)を紹介します。

出題傾向を把握し、どのようなテーマが重視されているのかを確認しましょう。

令和8年度(2025年実施)

小学校学校では、多数決などで意志決定を行ったり、「普通はこうする」というルールに基づいたりなど、意図するとしないとにかかわらず、多数派が尊重される一方で、少数派が埋没してしまう状況が生じることがあります。 あなたは学級担任として、教科の授業や学級活動において、少数派を尊重するために、どのような取組をしたいと考えるか、具体的に述べなさい。
中高「探究的な学び」の中で、特に「問いを立てる」ことは難しいとされます。生徒たちが主体的に問いを立てて学びを深めていくためには、どのような取組や工夫が必要でしょうか。あなたの考えを述べなさい。
特別支援特別支援教育においては、就学前から社会参加までの切れ目ない支援の充実が求められています。そのため、学校ではどのような取組が求められるか、具体的に述べなさい。
養護教諭養護教諭は、職務の特質から、児童生徒の心身の健康問題を発見しやすい立場にあると考えられています。では、養護教諭の職務の特質とはどのようなものでしょうか。また、その特質から、養護教諭にはどのような役割が求められているでしょうか。あなたの考えを述べなさい。

令和7年度(2024年実施)

小学校背の高さの違う三人の子どもたちが、高いフェンスの向こう側で行われている野球の試合を見たがっています。どの子にも同じ高さの踏み台を一つずつ準備した場合、いちばん背の高い子にはちょうどよく、中くらいの子には高さが少し足りなく、いちばん低い子には高さがかなり足りないといった不都合が生じます。すべての子どもが試合を見られるためには、子どもの背の高さに応じて異なった数の踏み台を準備する必要があるでしょう。あなたが小学校の学級担任だとして、上記の例のような、子どもの状況に応じて異なる指導・支援をどのように実践するか、具体的な例を示しながら論述しなさい。また、そういった指導・支援が子どもたちの不平等感や不満感に結びつかないようにするための、留意点と具体的な工夫についても述べなさい。
中高GIGA スクール構想について述べなさい。また、GIGAスクール構想を踏まえて、あなたはICTの活用にどのように取り組みますか。あなたの考えを具体的に述べなさい。
特別支援インクルーシブな社会を実現するために、「交流及び共同学習」の機会を設けて、相互に理解し尊重する態度を育成することはますます重要になってきています。特別支援学校の一員として、どのような教育活動の展開が考えられるか、あなたの考えを具体的に述べなさい。
養護教諭保健室では、児童生徒の心身の健康に関する問題の背後に、虐待や貧困、両親の不和などの様々な問題があることに気づかされることがあります。養護教諭の立場として、どのような対応が望ましいと考えるか、具体的なケースを想定して述べなさい。

令和6年度(2023年実施)

小学校「いじめのメカニズム」を踏まえたうえで、いじめが生まれない学級づくりの方法を、学年の発達段階を考慮して論じなさい。
中高オンラインを活用した授業の可能性について、どのように考えますか。基本的な考えを述べるとともに、授業での具体的な活用の例について述べなさい。
特別支援「児童生徒の調和的な発達の支援」には、ガイダンスとカウンセリングの各機能を生かした指導の充実が求められます。それぞれの趣旨を踏まえた支援をどのように進めたいと考えているか、あなた自身の考えを述べなさい。
養護教諭児童生徒が「心身の健康に関する知識・技能」を身につけることは、生涯にわたって健康な生活を送るために必要であり、養護教諭が専門性を生かしつつ中心的な役割を果たすことが期待されます。あなたは、どのように取り組んでいきたいと考えるか具体的に述べなさい。

令和5年度(2022年実施)

*全校種共通

横浜教育ビジョン2030 では、横浜の教育の方向性を以下の通り示しています。

「多様性を尊重し、つながりを大切にした教育を推進します」

多様性を尊重し、つながりを大切にしながら、次の四つの方向性に沿って施策や取組を進めます。

  • 子どもの可能性を広げます
  • 魅力ある学校をつくります
  • 豊かな教育環境を整えます
  • 社会全体で子どもを育みます

上記の方向性①~④のうち一つを選び、あなた自身のよさや強みを生かして、どのようなことに取り組みたいと考えるか、400字以上500字以内で具体的に述べなさい。

令和4年度(2021年実施)

*新型コロナウイルスの影響により実施なし。


▼過去のテーマは以下の記事でもまとめています。

【横浜市教採】小論文の模範解答例

ここでは、実際にどんな答案を書ければ評価をもらえるのか。逆に、どんな論文だと不合格になるのかを解説します。

 学校では、多数決などで意志決定を行ったり、「普通はこうする」というルールに基づいたりなど、意-図するとしないとにかかわらず、多数派が尊重される一方で、少数派が埋没してしまう状況が生じることがあります。 あなたは学級担任として、教科の授業や学級活動において、少数派を尊重するために、どのような取組をしたいと考えるか、具体的に述べなさい。

令和8年度(2025年実施)

評価されない解答例

まずは、多くの受験生が書いてしまいがちな答案の例を見てみましょう。

熱意は伝わってきますが、これでは合格は難しいかもしれません。

 子どもたち一人ひとりの個性は多様であり、その個性を尊重することが、これからの教育には不可欠です。私は学級担任として、すべての子どもが自分らしさを発揮できる、温かい学級を作りたいと考えています。そのためには、多数派の意見だけでなく、少数派の意見にもしっかりと耳を傾ける姿勢が大切です。
 学級活動、特に学級会において、私は子どもたちの話し合いを大切にします。どんな小さな意見でも決して否定せず、すべての意見を尊重する雰囲気づくりを心がけます。みんなでじっくりと話し合う時間を通して、お互いを思いやる心を育んでいきたいです。多数決で安易に決めるのではなく、みんなが納得できる結論を目指すことが、真の学級づくりにつながると信じています。
 また、日頃から子どもたち一人ひとりとのコミュニケーションを密にし、信頼関係を築くことが何よりも重要です。子どもたちが安心して自分の考えを話せるような、よき理解者でありたいと思います。
 私は、子どもたちの心に寄り添い、少数派の意見が尊重される思いやりにあふれた学級を、情熱をもって作っていきます。横浜市の教員として、多様性を大切にする教育に貢献したいです。

「温かい学級」「思いやりの心」「子どもに寄り添う」など、教師としての理想や情熱が感じられる、悪くない答案に見えるかもしれません。

しかし、この答案では採用担当者に「この先生は本当に実践力があるのだろうか?」という疑問を抱かせてしまいます。

この答案が評価されない理由は、大きく分けて4つあります。

NGポイント①:徹底的な「具体性」の欠如

答案全体を通して、「大切にします」「心がけます」「育みたいです」といった精神論・理想論に終始しています。

  • 「少数派の意見にもしっかりと耳を傾ける」→『どうやって』傾けるのですか?
  • 「みんなでじっくりと話し合う」→『どんな工夫をして』話し合いを促すのですか?
  • 「尊重する雰囲気づくり」→『具体的に何をして』その雰囲気を作るのですか?

採点者は、あなたの理想ではなく「具体的な方法論(How)」を知りたいのです。

この答案には、教員としての専門的な手立てが全く見えません。

NGポイント②:テーマの要求に応えきれていない

これは致命的なミスです。

テーマは「教科の授業」と「学級活動」の両面から具体策を求めています。しかし、この答案は「学級活動」について抽象的に触れているだけで、「教科の授業」における取り組みが完全に抜け落ちています。

設問を正確に読み取り、要求された要素をすべて満たすことは、小論文の絶対条件です。

NGポイント③:誰でも言える「一般論」の域を出ない

「コミュニケーションを密にする」「信頼関係を築く」といった内容は、教員でなくても言える一般論です。

学級担任という専門職として、どのような教育的意図をもって、どのようなスキルを用いてこの課題に取り組むのか、という視点が欠けています。

これでは、あなたの教師としての資質や強みをアピールできません。

NGポイント④:文字数不足

横浜市は「800字以内」という規定があります。

この答案は500字程度であり、小論文のルール(最低でも最大文字数の8割=640字以上)を満たしていません

文字数が足りないのは、内容に具体性がないことの裏返しでもあります。

模範解答例

では、どうすれば評価される答案になるのでしょうか。NGポイントを改善した模範解答例を見てみましょう。

 多様な個性を持つ子どもたちが集まる学級では、一人ひとりが安心して自分らしさを発揮できる環境を整えることが不可欠である。そのためには、多数決や「普通」という考え方によって埋没しがちな少数派の意見や存在を意図的に拾い上げ、尊重する学級経営が重要となる。私は学級担任として、教科の授業と学級活動の両面から、少数派を尊重するための具体的な取組を行いたい。
 
 【改善ポイント①:教科の授業での具体策】第一に、教科の授業において、多角的な視点を育む働きかけを行う。特に道徳科において、「本当の親切」などをテーマに、多様な考え方や感じ方が存在することを学ぶ授業を展開する。例えば、登場人物の言動に対して、複数の考え方を提示し、それぞれの考えの良さや背景にある思いをグループで話し合う活動を取り入れる。これにより、自分とは異なる意見にも価値があることに気づかせ、「一つの正解」だけを求めるのではなく、少数意見を尊重する素地を養う。
 
 【改善ポイント②:学級活動での具体策】第二に、学級活動における意思決定のプロセスを工夫する。学級目標や行事の内容を決める学級会では、安易に多数決に頼らず、合意形成を目指す話し合いを重視する。具体的には、付箋を用いて全員の意見を一度全て出し合い、可視化する。その上で、「なぜそう思うのか」という理由や背景にある願いを共有する時間を十分に確保する。たとえ最終的に採用されなくても、自分の意見が一度真剣に受け止められたという経験は、子どもたちの自己肯定感と集団への所属感を育むと考える。
 
 これらの取組を通して、子どもたちが互いの違いを認め、尊重し合えるインクルーシブな学級を創造したい。そして、横浜の未来を担う子どもたちが、多様性を力に変えて共生社会を築く担い手となるよう、情熱をもって指導にあたる所存である。


模範解答例では、

  • 「教科の授業(道徳科)」と「学級活動(学級会)」という2つの柱を立て、設問の要求に明確に応えている。
  • 「グループで話し合う」「付箋で可視化する」など、情景が目に浮かぶような具体的な手立てが示されている。
  • それらの取り組みが、「少数意見を尊重する素地を養う」「自己肯定感を育む」といった教育的なねらいにどう結びつくのかが論理的に説明されている。

という点が大きく異なります。

小論文で評価されるのは、熱意や理想だけではありません。それを実現するための「具体的な実践力」と「論理的な思考力」です。

横浜市が求める教師像を理解し、あなたの強みを最大限にアピールできる答案を作成していきましょう


▼他年度や中高・養護教諭の模範解答例は以下の記事で解説しています。

【横浜市教採】小論文の対策方法5ステップ

横浜市教員採用試験の小論文は、「45分で800字」という非常に厳しい試験です。

ここでは、合格答案を目指すための最も効率的な「5つのステップ」を紹介します。

ステップ①:課題の意図を正確に把握する

まず、出題者が「何を書かせたいか」(題意)を正確につかみましょう 。  

課題の把握を誤ると、どんなに立派な文章でも評価されないからです 。  

具体的には、過去の出題テーマを分析します。

あわせて横浜市の「教育ビジョン2030」も読み込みましょう。市が求める教師像を理解することが、的確な合格答案の土台になります。  

ステップ②:主題を決め、構成メモを作る

次に、答案の核となる「主題(最も伝えたい結論)」を一つに決めます 。  

800字で説得力を持たせるには、論点を絞る必要があるからです 。  

試験が始まったら、最初の5〜10分で「序論・本論・結論」の簡単なメモ(構成案)を作ります 。

このメモが、時間内に書ききるための「構成図」になります。いきなり書き始めないようにしてくださいね。  

ステップ③:教師の視点で執筆する

構成メモに従い、本文を執筆します 。  

この試験は、評論家ではなく「教師としての視点」が求められるからです 。あなたの熱意や人間性も評価対象です 。  

本論では、教育実習などの「自分の体験」を具体例として使いましょう。ただし、体験談自体が目的ではないので、簡潔に書くのがコツです。

ステップ④:必ず推敲する

書き終えたら、試験終了までの残り5分で必ず文章を読み返します 。  

誤字脱字や原稿用紙の使い方のミスは、減点対象になるからです 。  

最低でも、以下の3点はチェックしましょう。

  1. 誤字、脱字はないか  
  2. 字数は最低8割(640字)以上か  
  3. 課題の意図(題意)からズレていないか  

ステップ⑤:第三者の添削を受ける

練習で書いた答案は、必ず第三者に添削してもらいます 。  

自分の文章の癖や、独りよがりな考えには気づきにくいものです 。  

大学の教授や学校の先生など、教採をよく知る人にお願いするのが理想です。 客観的な視点をもらうことが、合格への一番の近道ですね。


小論文の個別コーチングをやっています!ぜひ活用してください。


▼より具体的な書き方は以下の記事をご覧ください。

まとめ|【横浜市教採】小論文で落ちないために

今回は、横浜市教員採用試験における小論文の傾向と過去のテーマをまとめていました。

教員採用試験の小論文は、やるべきことが想像しているよりも多いです。

過去問を眺めるだけでは、小論文を攻略することはできません。過去問を使って答案を作成し、その上で添削を受けることで徐々に上達します。

小論文で落ちる人ほど、書いたら書きっぱなしってことが多いです。答案を書いて誰にも見せないというのは、問題を解いても答え合わせをしないのと同じなので注意しましょう。

小論文が原因で不合格にならにように、早めに(遅くても試験の3ヶ月前を推奨)準備を始めてください。


もし一人での対策に困ったり、不安を感じたりしたときは、遠慮なく僕を頼ってほしいです。あなたが合格できるよう、全力でサポートします!

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