静岡県教員採用試験の小論文対策を始めるとき、まず確認すべきなのが過去問です。
過去のテーマを並べて見ると、出題される内容や問われ方には明確なパターンがあることに気づきます。
本記事では、静岡県教員採用試験の小論文について5年分の過去問と出題傾向をまとめました。
どんなテーマが出るのか、どう対策すればいいのか。この記事を読めば、効率的な準備の方向性が見えてきます。
小論文の試験概要
まずは、静岡県教員採用試験の小論文の基本情報を確認しましょう。
| 対象校種 | 高等学校 |
|---|---|
| 試験時間 | 60分 |
| 文字数 | 800字 |
| 出題数 | 1題 |
| 配点 | 10点満点 |
小論文は以下の観点に沿って評価します。
| 内容 | ・適切な内容であるか ・具体的に書かれているか ・主題が明確であるか ・内容に深みがあるか |
|---|---|
| 表現力 論理性 | ・用語、語彙、表記は適切か ・表現方法が上手か ・字数は適切か ・文章構成は良いか |
| 人柄 性格 | ・人間的魅力・温かさが読み取れるか ・精神的な成熟が感じられるか ・偏見や視野の狭さはないか ・標記等が雑でないか |
最終的に10点満点で採点しますが、3点以下で即不合格です。
評価が悪くなる理由としては、テーマの把握ができていなかったり、文字数が少ない(600字以下)だったりすることが挙げられます。
また、字が汚い(丁寧であればOK)、誤字脱字が多いっていうのもよくないので、注意しながら書きましょう。
小論文の過去問
静岡県教員採用試験における小論文の過去問を紹介します。
令和7年度(2024年実施)
教員としての10年後の自分を想像し、そこまでのキャリアプランを800字以内で書きなさい。
令和6年度(2023年実施)
あなたがこれまでに出会った学校の先生との出来事のうち、印象に残っていることを1つ上げ、その時に感じたことをあなた自身が教員としてどのように生かすか、具体的に800字以内で説明しなさい。
令和5年度(2022年実施)
「誰一人取り残さない学校教育」をテーマとして、あなたが考えることを800字以内で書きなさい。
令和4年度(2021年実施)
それぞれの生徒が自らの個性を発揮し、いきいきと学校生活を送るために、生徒にとってどのような環境をつくる必要があると考えますか。あなたの考えを具体的に800字以内で書きなさい。
令和3年度(2020年実施)
教員が授業をする上で、時代を超えて大切にしなくてはならないものと時代の変化とともに変えていく必要があるものについて一つずつ挙げ、それぞれに対するあなたの考えを具体的に800字以内で書きなさい。
小論文の出題傾向
静岡県教員採用試験における小論文は、県の教育指針への深い理解と、実践的な指導力が問われます。
主な傾向は以下の3点です。
1. 「教員育成指標」と連動したキャリア観
静岡県では、教員の成長段階(キャリアステージ)を明確に定義しています。
そのため、「10年後の自分(充実・発展期)」や「理想の教師像」を問うテーマが頻出です。ここでは、単に授業ができるだけでなく、組織を牽引する「ミドルリーダー」としての視点や、生徒の「伴走者」としての姿勢が求められます。
2. 「誰一人取り残さない」と「ウェルビーイング」
県の教育振興基本計画の根幹にあるのが「誰一人取り残さない教育」です。
これを実現するための手段として、以下のキーワードに関連する出題が目立ちます。
- 個別最適な学びと協働的な学び: ICTやデータを活用し、個々の進度に合わせつつ、他者と学び合う授業づくり。
- ウェルビーイング(幸福度): 生徒が「自分の意見を聴いてもらえている」と感じられる居場所づくりや、自己効力感の育成。
- 多文化共生・インクルーシブ教育: 外国ルーツの生徒や特別な支援を要する生徒への具体的な対応,。
3. 具体的な実践力の重視
抽象的な教育論だけでなく、「実際にどう指導するか」という実践力が重視されます。
「いじめ」「不登校」「学習意欲の低下」といった具体的な課題に対し、自身の経験(教育実習や講師経験など)を踏まえた解決策を提示する必要があります,。
特に高校では、「探究的な学び」や「キャリア教育」をどう推進するかという視点も重要です,。
文字数は750〜800字程度が一般的です。結論から書き出し、具体的なエピソードと県の施策を絡めて論述する構成力が重要です。
小論文の解説と模範解答例
今回は、高校1年生から「勉強する意味が分からない」と相談された場面を想定したテーマです。
あなたは、高校1 年生の生徒から、「何のために勉強するのか分からないから勉強する気が起きない。」と相談された場合、生徒に対してどのような話をしますか。「何のために勉強するのか。」に対するあなたの考えを含め、800字以内で書きなさい。
この課題は、あなたの「教育観」と「生徒指導力」の両方を問うています。
静岡県が求める教師像や、現在の高校教育で重視されているポイントを押さえて解説します。
テーマの解説
このテーマで採点者が見ているポイントは主に3つです。
- 生徒への共感と受容
- いきなり正論をぶつけるのではなく、生徒の悩みに寄り添う姿勢(伴走者としての姿勢)があるかを見られます。静岡県教員育成指標でも「信頼関係の構築」は重要視されています。
- 「勉強の意義」に対する明確なビジョン
- 単に「大学に行くため」ではなく、予測困難な社会を生き抜く力や、人生の選択肢を広げる手段として勉強を捉えているかが問われます。静岡県の計画にある「未来を創造する力」や「キャリア教育」の視点を入れると良いでしょう。
- 社会貢献への視点
- 静岡県が目指す「有徳の人」に関連し、学びを自分だけの利益でなく、他者や社会のためにどう活かすかという視点を含めると評価が高まります。
文章構成
スマホでも読みやすいよう、結論から入る構成がおすすめです。
- 序論(結論・対応の第一歩)
- まず生徒の気持ちに共感し、受け止めることを述べます。「勉強は未来の選択肢を広げるためのもの」という結論を提示します。
- 本論1(生徒への語りかけ)
- 生徒に対し、具体的にどう話すかを書きます。 「勉強は自分の世界を広げるパスポートであること」や「無駄に思える知識が、将来思わぬところで役立つ点(点と点が線になる)」などを伝えます。
- 本論2(自身の考え・教育的意義)
- ここからは教員としての持論を展開します。 予測困難な時代において、正解のない問いに立ち向かうための基礎力が必要であること。また、学びは他者と協働し、社会に貢献するための基盤になることを論じます。
- 結論(まとめ・決意)
- 生徒の「伴走者」として、答えを教えるだけでなく、一緒に悩み考え続ける姿勢を示して結びます。
模範解答例
もし生徒からこのような相談を受けたら、私はまず「そのように悩むこと自体が、自身の人生と真剣に向き合っている証拠だ」と肯定し、生徒の気持ちに深く共感する。その上で、勉強とは「自分の未来の選択肢を増やし、自由になるための翼を手に入れること」だと伝えたい。
生徒には、次のように話をする。「今は役に立たないと思える公式や歴史の知識も、将来君が何かを成し遂げたいと思った時、それを実現する『道具』になる。学ぶことで視野が広がり、今まで見えなかった解決策が見えてくる。勉強は、誰かに強制される苦役ではなく、君自身が望む人生を自由に描くための力をつけるプロセスなんだよ」と。さらに、私自身の経験も交えながら、学びがどのように人生を豊かにしてくれたかを語り、学ぶことの面白さを共有したい。
私自身、「何のために勉強するのか」という問いに対し、それは「予測困難な社会を生き抜く力を得て、他者や社会に貢献するため」であると考える。現代は変化が激しく、正解のない課題が山積している。静岡県が推進する「探究的な学び」のように、知識を組み合わせて新たな価値を創造する力が不可欠だ。基礎的な学習はその土台となる。また、学びは自分一人で完結するものではない。広い教養を身につけることは、異なる背景を持つ他者を理解し、協働するための共通言語となる。つまり、勉強は自らの幸福(ウェルビーイング)を高めるだけでなく、社会の一員として「有徳の人」となり、誰かの役に立つための準備期間でもあるのだ。
教師の役割は、一方的に答えを与えることではない。私は生徒の「伴走者」として、彼らが学びの意味を自ら見出し、納得して歩み出せるよう、対話を重ね、共に考え続ける決意である。
▼他にも以下の記事で過去5年分のテーマについて解説と模範解答をまとめています。


小論文の対策方法
静岡県教員採用試験の小論文は、制限時間(例年60分)の中で、指定文字数を論理的に書き切る試験です。
出題傾向を踏まえた上で、以下の対策ポイントを確実に押さえておきましょう。
対策ポイント①:静岡県特有の「型」を身につける
短時間で条件を満たすためには、迷わず書き始められる「型」が不可欠です。
以下の3部構成をマスターしてください。
- 序論(現状・背景の提示)
- 課題文にある公的文書やデータに触れ、教員としての問題意識と組織的に対応する姿勢を明示します。
- 本論(具体的な取組)
- 「第一に、〜に取り組む。具体的には〜」「第二に、〜」とナンバリングをして、設問で問われた数(2つや3つ)の具体策を提示します。「道徳科で」「学級活動で」「帰りの会で」など、場面を限定して書くことが重要です。
- 結論(静岡県のビジョンで締める)
- 静岡県が目指す教育(教育振興基本計画)に触れ、そのような生徒を育てる決意で締めくくります。
対策ポイント②:キーワードを使いこなす練習をする
静岡県独自の教育指針を自分の言葉で説明できるようにしておきましょう。
「3つの力」を本論で活用する
- 自立力:自分に自信をもち、主体的に行動する力
- 共生力:人とつながり、互いを活かす力
- 自己実現力:夢に挑戦し、社会に貢献する力
「互いを認め合う『共生力』を育むために~」のように、具体策と結びつけて使うと効果的です。
対策ポイント③:「国の根拠」と「県の実践」をリンクさせて書く
知識をインプットするだけでは不十分です。実際に書いて、以下の2点を練習してください。
国のデータと県のビジョンをつなぐ
「いじめ認知件数の増加(国)」を、「共生力の育成(県)」でどう解決するか、という文脈で書く練習をしてください。
組織的対応を必ず盛り込む
どのテーマであれ、「担任一人で解決する」書きぶりは避け、「チーム学校」「家庭・地域との連携」を必ず入れる癖をつけてください。
これらの対策を踏まえ、実際に書いて添削を受けることで、合格ラインを超える答案が作成できるようになります。
▼独学での対策に限界を感じている方のために、下記のnoteでは、静岡県の出題傾向に完全対応した小論文添削(回数無制限)を行っています。
「この書き方で合っているのか不安」「本番レベルで通用するか確認したい」という方は、ぜひ活用してください。


小論文は準備で合格・不合格が決まる
静岡県教員採用試験の小論文には、出題テーマや問い方には一定の傾向があります。その流れを知らずに対策を始めると、努力が空回りしてしまいます。
一方で、過去問を分析し書き方を固めておけば、準備量がそのまま得点差につながる科目でもあります。
合格に近づくためのポイントは次の3点です。
- 60分で書き切るための「型」を確立する
- 静岡県の教育施策を自分の言葉で言語化する
- 実際に時間を計って練習し、第三者の添削を受ける
本記事で過去問と出題傾向を把握したうえで、次は「どう書くか」「どこまで仕上げるか」を具体的に詰めていきましょう。

