本記事では、富山県教員採用試験の教養Ⅱ(小論文)に関する情報をまとめています。
具体的には、教養Ⅱの傾向(文字数や試験時間、出題形式、配点など)と過去のテーマを詳しく紹介しているので、教養Ⅱ対策の役に立ててください。
目次
富山県教員採用試験 教養Ⅱ(小論文)の傾向
富山県教員採用試験の教養Ⅱ(小論文)は、第二次選考で行われます(※)。筆記試験では判断できない、論理的思考力や読解力、教師としての適性などを総合的に評価します。
- 教養(II)は「職務内容に係る児童・生徒への指導場面等」に関する記述・論述問題です。
試験時間 | 50分 |
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文字数 | 800字 |
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問題数 | 1題 |
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配点 | 90点満点 |
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富山県教員採用試験 教養Ⅱの傾向(2024年度)
教養Ⅱ(小論文)の文字数と試験時間
文字数は制限があり、800字以内で書かなければなりません。対する試験時間は50分なので、文字数に対する試験時間が極めて短いのが富山県の特徴です。
教養Ⅱ(小論文)の出題形式
出題数は1題ですが、校種によってテーマは異なります。
出題形式は、職務内容に係る児童・生徒への指導場面等を扱うテーマが出題される傾向にあります。
教養Ⅱ(小論文)の配点
最終的に90点満点に換算して評価しますが、著しく評価が低いと即不合格です。
評価が悪くなる理由としては、テーマの把握ができていなかったり、文字数が少ない(500字以下)だったりすることが挙げられます。また、字が汚い(丁寧であればOK)、誤字脱字が多いっていうのもよくないので、注意しながら書きましょう。
富山県教員採用試験 教養Ⅱ(小論文)の過去問
富山県教員採用試験における教養Ⅱ(小論文)の過去問を紹介します。
教養Ⅱ(小論文)の過去問(2024年度)
現在、A教諭は小学校で2年3組の担任をしている。2年3組の男子児童Bは、外国人児童である。日本語指導担当教師の1年間の指導で、平易な日本語は理解できるようになったが、自分の思いを日本語で伝えることは難しい状況である。今年度も週に5時間、昨年度と同じ日本語指導担当教師から日本語指導を受けている。1学期の始業式以来、気にかけて見ているが、明るく元気に行動し、気が合う男子児童と仲良く遊ぶ様子が見られる。授業では興味をもったことに対しては進んで取り組んでいる。両親も外国人で、日本語の習熟は十分ではない。
6月初旬ごろから、児童Bは授業中に教科書を開かずに手遊びをしたり、立ち歩きをしたりするようになった。最初は、個別に声をかけることで、着席していたが、次第に声をかけるだけでは、着席せず、気が合う男子児童の席へ行き、ちょっかいを出すようになってきた。また、何か指示を出すと「めんどうくさい」と反発するようになってきた。この様子を見て、女子児童を中心に、児童Bのことを避けるようになってきた。
あなたがA教諭だとすると、このような状況にどう対応するか。児童Bへの対応やその他の児童への関わり、今後の学級づくり等について800字以内で述べよ。
Aは中学2年生の女子生徒である。吹奏楽部に所属し、部活動に熱心に取り組んでいる。クラス内でも明るく活発な生徒だったが、10月頃から元気がなくなり、仲のよかった同じクラスの友人数人とも距離を置くようになるなど、一人で行動することが多くなってきた。
11月のある日、担任は、Aの手首に傷跡が数本あることに気付いた。放課後にAと面談を行い、手首の傷跡について尋ねたところ、Aは、ためらいながらも、これまでに自宅の自室で数回自傷行為をしたことを告白した。自傷行為をするようになったのは最近のことで、勉強を始めてもなかなか集中できず、気付いたら行為に及んでしまっていることもあるという。Aからは、自傷行為をしたことについて親に知らせないでほしいと依頼された。
あなたがAの担任ならば、Aに対してどのように対応するか、800字以内で述べよ。
特別支援学校においては、自立と社会参加に向け、一人一人の教育的ニーズに応じた教育を発展させ、共生社会の実現に向けたインクルーシブ教育システムの推進が求められています。このことを踏まえ、特別支援学校の教員として障害のある児童生徒の地域生活を将来にわたって豊かにするための取組について、あなたの考えを述べよ。
ただし、対象とする児童生徒の障害種別と学部を解答欄に記入し、「取組のねらい」「取組の意義」を踏まえながら800字以内でまとめよ。
次の事例を読んで、あとの問いに答えよ。
事例
A子・・・中学校2年生女子(陸上部)、家族構成4人(本人、両親、弟(小学校6年生))
養護教諭が、健康相談の対象者を把握するために、定期健康診断の結果(肥満度曲線)を確認していたところ、A子の肥満度が昨年度の「普通」から今年度は「やせ傾向」に変化していることが分かった。A子の健康診断の結果は、身長157.0cm体重38.2kg肥満度-21.4%であった。昨年の検診結果は、身長153.5cm44.2kg肥満度-2.3%であり、身長は伸びているが、体重は6kg減少していた。
陸上部の顧問でもある学級担任にA子について尋ねたところ、遅刻や欠席はなく、成績はトップクラスで、学級でも部活動でもリーダー的な存在であり、陸上部の練習にも熱心だが、昨年秋ごろまで伸びていたタイムが、今年に入ってなかなか伸びず、苦労しているとのことであった。
後日、A子が体育の授業中に貧血を起こし、保健室を利用した。その際、養護教諭との会話の中で、A子はつぎのように打ち明けた。
- 先輩から「減量するとタイムが上がる」と言われ、給食のご飯の量を減らしたり、夕食を抜いたりして体重を落とした。
- 始めは順調に体重が減り、面白いようにタイムが伸びたが、最近は夕食を抜いても体重が減らず、身体も思うように動かない。
- 大会が近いので、すぐに効果の出るダイエット方法を知りたい。
- 母親は心配性なので、ダイエットをしていることは、知られたくない。
問 次の(1)、(2)について、あなたは養護教諭としてどのように対応するか、摂食障害(神経性やせ症)の症状等に関する説明もあわせて800字以内で述べよ。
- A子に対する学校全体での支援について
- A子及びその家族への接し方や今後の対応について
次の【事例】を読んで、あとの[問い]に答えよ。
【事例】
A中学校の男子サッカー部は、例年、T市でベスト4まで勝ち進んでいる強豪チームである。しかし、最近は、けがをしたり十分な睡眠がとれなかったり、朝食や夕食を欠食する部員が増き1か月後の5月に開催されるT市中学校体育大会に向けて体調を整え、試合で実力を十分に発揮できるように食事指導をして欲しいというサッカー部の顧問から依頼があった。男子サッカー部員は30名(1年生10名、2年生12名、3年生8名)で、平均身長は161cm、平均体重は50kgである。顧問は、日頃から朝、昼、夕の三食をしっかり食べることの指導や、練習中は15~30分ごとに水分補給する時間を設定している。
[問い]上記の【事例】について、あなたはA中学校の栄養教諭としてサッカー部員や保護者に対し、どのように指導し,対応するか。800字以内で述べよ。
教養Ⅱ(小論文)の過去問(2023年度)
現在,A教諭は小学校で6年2組の担任をしている。6年2組の女子児童Bは,明るく元気で,男女問わず誰とでも仲良くしており,授業では自分からすすんで発言するなど,学習にも意欲的に取り組んでいた。また,家ではSNSを利用し,毎日夜遅くまで友達と連絡を取り合っていたようだ。
6 月に入ったくらいから,児童Bは暗い表情で教室に1人でいることが多くみられるようになったので,声をかけると「大丈夫です」と視線を合わせずに答える場面があった。6月中旬,児童Bの母親から,「SNSで友達とトラブルがあったようで,学校に行きたくないと言っている。それ以上話してくれないので詳しくは分からない。どうしたらよいか。」と相談があった。
あなたがA教諭だとすると,このような状況にどう対応するか。児童Bの母親への対応,児童Bやその他の児童への関わり,今後の学級づくり等について800字以内で述べよ。
Aは,高校1年の男子生徒で卓球部に所属している。9月中旬,2日連続で学校を欠席したAの母親から担任に対し,Aが「卓球部の先輩からのいじめが怖くて学校に行けないと言っている」という内容の電話があった。担任がAの母親からさらに詳しく聞き取った内容は以下の通りである。
・卓球部の2年生の先輩BとCからいじめをうけている。
・顧問の教諭の目の届かないところで,BとCはAに対してだけ,「死ね」,「バカ」などと言ったり,蹴ったりする。
・部長Dを含む他の2年生の先輩や1年生の他の部員は見て見ぬふりをしている。
・練習以外の場面でも,BやCから通りすがりに「死ね」と言われたりすることもある。
・Aは中学校時代から卓球に打ち込み,高校でも熱心に部活動に参加していた。
・夏休みの練習にAが遅刻したことがきっかけとなり,AはBとCからいじめられるようになった。
あなたはAの担任として,この後どのように対応するか。800字以内で述べよ。
あなたが担任している特別支援学校の児童生徒が,居住する地域の学校(小・中学校)と交流及び共同学習を行うことになった。
今回の交流及び共同学習における「活動のねらい」,「合理的配慮」,「交流及び共同学習の意義」について800字以内で述べよ。ただし,対象となる児童生徒については以下のように設定し、記せ。
・「対象とする障害種別」と「指導する児童生徒の学部」を設定し,解答欄に記入すること。
・最初に,対象とする児童生徒について,学習上及び生活上の様々な実態を想定し,2つ程度挙げること。
・なお,対象とする児童生徒は1名とする。
次の事例を読んで、あとの問に答えよ。
事例
A:中学校1年生女子、家族構成4人(本人、父親、母親、弟(小4))
Aは、合唱コンクールの練習中、突然、過呼吸になり、クラスの友人に連れられて保健室へ来た。その3日後にも再び過呼吸発作を起こし、学級担任に付き添われて保健室へ来た。
Aが頻繁に過呼吸発作を起こすので、養護教諭は学級担任に日頃の様子を尋ねたところ、学級では学級委員長としてクラスをとりまとめるリーダー的存在である。何事にも一生懸命取り組む生徒であり、成績も優秀である。一方で、学級の友人に対してやや言葉がきつく、不快な様子が表情に出ることもあると聞いた。合唱コンクールの練習が始まった頃からは、クラスをまとめるために、自分の思いを押し通そうとするAに対して、クラスの中に不満の声も聞かれるようになってきていた。
問 次の(1)、(2)について、あなたは養護教諭としてどのように対応するか,過呼吸発作の説明・対処法もあわせて800字以内で述べよ。
(1)Aに対する学校全体での支援について
(2)A及びその家族への接し方や今後の対応について
次の【事例】を読んで、あとの[問い]に答えよ。
【事例】
A小学校の5年女子児童Bが、4月の発育測定で「高度肥満」(身長142cm 体重 52.5kg)と判定され、養護教諭から生活習慣の個別指導を受けていた。 また、 病院を受診し、医師から指導を受け、必要があれば教育入院することを勧められた。 7月までは、「太りたくない」という気持ちがあり、食べすぎないように注意し、体重を増加させることなく経過していた。しかし、夏休みに入ると、 自宅で1人で過ごすことが多くなり、 用意してある昼食やおやつだけでは足りず、ホットケーキを焼いて食べたり、自分のお小遣いでお菓子を購入して食べたりするようになった。(児童Bは母子家庭で、日中は母親が就労し、妹は保育所に通っている。)その結果、夏休みが始まった 7月下旬から2学期が始まる9月までの間に体重が5kg増加した。(身長 145 cm 体重 57.5kg) 児童 B は、 普段から食に興味があることから、 養護教諭のすすめで、栄養教諭に食事指導を受けることになった。
[問い]上記の【事例】について、あなたはA小学校の栄養教諭として児童Bやその保護者に対し,どのように指導し,対応するか。800字以内で述べよ。
教養Ⅱ(小論文)の過去問(2022年度)
A先生は、現在、小学校で5年2組の担任をしている。5年2組の女子児童Bは、おとなしい性格で、授業中に自分から発言することはないが、真面目な態度で学習に取り組んでいる。クラスの中には、女子のグループがいくつかできており、児童Bは、活発な児童C、Dと3人でいることが多かった。
ある日、児童Bが別のグループの女子といるところを見たA先生は、少し気になってはいたが、特に児童Bに声をかけることもなく様子をみていた。6月上旬、児童Bの母親から、「Bが、CとDに仲間外れにされていて、学校に行きたくないと言っている。先生に言うと、また嫌なことをされるかもしれないから、言わないでほしいとBが言っている。どうしたらよいか。」と相談があった。
あなたがA先生だとすると、このような状況にどう対応するか。児童Bの母への対応をはじめ、児童Bへの関わり、児童C、Dへの指導及び学級づくり等について800字以内で述べよ。
Aは高校1年生の男子生徒である。Aは、9月初めから遅刻が多くなり、ここ数日は欠席している。欠席しはじめて3日目の今日、Aは部活動の友人の誘いで、放課後の部活動に参加した。これを聞いたAの担任はその活動場所に出向き、Aと話をすることができた。
Aに、家での生活について尋ねてみると、朝起きるのが辛く、昼まで寝ているとのことであった。朝起きられない理由を尋ねると、毎晩のようにオンラインゲームに夢中になり、ゲームをやっていると時間の感覚が分からず、気づくと明け方になっていることも多く、朝寝て昼に起きる習慣になったとのことであった。さらに、ここ最近は遅刻してまで登校したいとは思わなくなったという。卒業後は進学を希望しており、夏休み前までは勉強も意欲的に取り組んでいたのだが、学校に目が向かなくなってからは、勉強内容も分からなくなり、最近は勉強も手がつかなくなったようである。
あなたがAの担任ならば、今後どのように対応するか。800字以内で述べよ。
あなたは特別支援学校の児童生徒に対して、身体の動きに関する自立活動を指導することになった。
今回の自立活動における指導目標と指導内容を、指導する際の配慮事項を交えて800字以内で述べよ。ただし、対象となる児童生徒については以下のように設定し、記せ。
・最初に、「対象とする障害種別」と「指導する児童生徒の学部」を設定し、解答欄に記入すること。
・本文中で、対象とする児童生徒について、学習上及び生活上の実態を様々な観点から想定し、3つ程度挙げること。
・なお、対象とする児童生徒は1名とする。
次の事例を読んで、あとの問いに答えよ。
事例
A:小学校2年生男子、家族構成3人(本人、父親、母親)
Aは、最近、頭痛や腹痛などを訴えて、保健室へ来室することが増えてきた。保健室では、言葉数も少なく、表情の暗い児童であるという印象であった。Aの様子が気になったので、養護教諭は担任に日頃の様子を尋ねたところ、Aは怒りや感情のコントロールが難しく、友達とトラブルになりやすいということであった。
ある日、Aはグラウンドで転んで運動服が汚れたため、着替えを貸してほしいと担任に連れられて保健室に来室した。着替えはじめたところで、Aの背中から腰部にかけて内出血跡が目に入った。内出血跡は、緑色をしており、数箇所にわたって見られた。Aに背中の内出血跡について尋ねたところ、昨日、家の階段で転んだ。」と言ったが、説明が不自然であった。
問 次の(1)、(2)について、あなたは養護教諭としてどのように対応するかあわせて800字以内で述べよ。
(1)Aに対する学校全体での支援について
(2)A及びその家族への接し方や今後の対応について
次の【事例】を読んで、あとの[問い]に答えよ。
【事例】
A小学校の児童の生活習慣等に関するアンケート調査の結果は、「朝食を毎日食べている」94%、「だいたい食べている」5%、「あまり食べていない」1%であった。朝食内容をみると、「赤・黄・緑の3つの色の食品を食べている」は全体の49%で、「黄・赤または黄・緑の2つの色の食品を食べている」46%、「そのほか」5%であった。「そのほか」と答えた児童に詳しく話を聞くと、「食べていない」の他に、「パンのみ」や「ごはんとふりかけ」と答えた児童もいた。「そのほか」と答えた児童のアンケートでは、就寝時刻が遅かったり、排便のリズムが乱れていたりする傾向がみられた。学校全体の給食の様子をみていると、残食は少ないが、児童によっては配膳時に主食や副菜の量を極端に減らす様子がみられる。家庭環境は核家族で共働きの家庭の割合が多い。
[問い]上記の【事例】について、あなたはA小学校の栄養教諭としてどのように考え、またどのように対応するか。800字以内で述べよ。
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教員採用試験の教養Ⅱ(小論文)対策は、やるべきことが想像しているよりも多いです。
過去問を眺めるだけでは、教養Ⅱ(小論文)を攻略することはできません。過去問を使って答案を作成し、その上で添削を受けることで徐々に上達します。
教養Ⅱ(小論文)で落ちる人ほど、書いたら書きっぱなしってことが多いです。答案を書いて誰にも見せないというのは、問題を解いても答え合わせをしないのと同じなので注意しましょう。
教養Ⅱ(小論文)が原因で不合格にならにように、早めに(遅くても試験の3ヶ月前を推奨)準備を始めてください。
以上、富山県教員採用試験の教養Ⅱ(小論文)についてでした。
この記事が少しでもお役に立てたら幸いです。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました!
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