名古屋市教員採用試験の合格を目指す上で、自分が受験する試験の正確な「倍率」を把握することは大事です。
全体の難易度はもちろん、自分が受ける校種・教科の立ち位置を知ることで、より効果的な学習戦略を立てることができますよね。
この記事では、名古屋市教員採用試験の倍率について、最新の令和8年度(2025年実施)の結果から過去5年間の推移まで、校種・教科ごとに徹底分析します。
あなたの受験する校種・教科が、例年どれくらいの難易度なのか。その大きな流れを知ることで、今後の対策がぐっと立てやすくなりますよ。
【最新】令和8年度名古屋市教員採用試験の倍率は3.5倍!
まずは、最新の令和8年度(2025年実施)試験の最終結果から見ていきましょう。
結論から言うと、全体の最終倍率は3.5倍という結果でした。
- 受験者数:1,460人
- 合格者数:420人
- 最終倍率:3.5倍
校種・教科ごとの最終倍率は以下のとおりです。
校種・教科別
| 校種・教科 | 受験者数 | 合格者数 | 倍率 | |
|---|---|---|---|---|
| 小学校 | 579 | 174 | 3.3 | |
| 中学校 | 社会 | 97 | 21 | 4.6 |
| 音楽 | 32 | 6 | 5.3 | |
| 美術 | 16 | 5 | 3.2 | |
| 技術 | 8 | 5 | 1.6 | |
| 家庭 | 13 | 2 | 6.5 | |
| 中高共通 | 国語 | 65 | 28 | 2.3 |
| 数学 | 72 | 16 | 4.5 | |
| 理科 | 62 | 31 | 2.0 | |
| 保健体育 | 151 | 16 | 9.4 | |
| 英語 | 77 | 38 | 2.0 | |
| 高等学校 | 地理歴史 | 29 | 5 | 5.8 |
| 工業 | 6 | 2 | 3.0 | |
| 商業 | 12 | 5 | 2.4 | |
| 幼稚園 | 22 | 5 | 4.4 | |
| 特別支援 | 77 | 50 | 1.5 | |
| 養護教諭 | 110 | 10 | 11.0 | |
| 栄養教諭 | 32 | 1 | 32.0 | |
| 合計 | 1460 | 420 | 3.5 | |
令和8年度の結果を総括すると、「全体の倍率は安定しているものの、校種・教科による難易度の二極化がより鮮明になった」と言えるでしょう。
全体の倍率は3.5倍と、ここ数年続いている3倍台で落ち着きました。一方で、養護教諭(11.0倍)や保健体育(9.4倍)、そして採用枠1名に対し32名の受験者が集まった栄養教諭(32.0倍)は、依然として極めて高い競争率の「激戦区」です。
対照的に、特別支援学校(1.5倍)や中学校の技術(1.6倍)、中高共通の理科・英語(ともに2.0倍)などは比較的低い倍率となっており、門戸が広い状況が続いています。
【過去】名古屋市教員採用試験の倍率推移
最新の結果を把握したところで、次に過去の倍率がどのように推移してきたのかを見ていきましょう。
長期的な視点と短期的な視点の両方から、難易度の傾向を掴んでいきます。
| 採用年度 | 受験者数 | 合格者数 | 倍率 |
|---|---|---|---|
| 令和8年度 | 1,460 | 420 | 3.5 |
| 令和7年度 | 1,554 | 472 | 3.3 |
| 令和6年度 | 1,646 | 462 | 3.6 |
| 令和5年度 | 1,639 | 466 | 3.5 |
| 令和4年度 | 1,738 | 454 | 3.8 |
| 令和3年度 | 1,849 | 446 | 4.1 |
| 令和2年度 | 1,899 | 425 | 4.5 |
| 令和元年度 | 1,844 | 433 | 4.3 |
| 平成30年度 | 1,920 | 415 | 4.6 |
| 平成29年度 | 2,061 | 442 | 4.7 |
| 平成28年度 | 2,907 | 394 | 7.4 |
| 平成27年度 | 2,092 | 376 | 5.6 |
| 平成26年度 | 2,226 | 451 | 4.9 |
| 平成25年度 | 2,229 | 443 | 5.0 |
| 平成24年度 | 2,312 | 369 | 6.3 |
| 平成23年度 | 2,569 | 412 | 6.2 |
| 平成22年度 | 2,489 | 485 | 5.1 |
上の表を見ると、平成28年度には7.4倍と非常に高い倍率だった時期もありましたが、その後は長期的に見て低下傾向にあることがわかりますね。
特にここ数年は受験者数が1,500人前後、倍率も3倍台で安定して推移しています。
これは、いわゆる「教員氷河期」と言われた時代に比べると、受験者にとっては合格のチャンスが広がっている状況だと言えるでしょう。
▼全国の倍率と比較したい方はこちら
全都道府県の教員採用試験の倍率を以下の記事でまとめています。他自治体の動向もチェックして、より広い視点で試験に臨みましょう。
【校種・教科別】過去5年間の倍率推移
ここからは、あなたが最も気になるであろう「校種」と「教科」ごとの倍率を紹介します。
受験する区分が、過去どのような倍率で推移してきたのかを把握し、対策の参考にしてください。
小学校教諭
| 採用年度 | 受験者数 | 合格者数 | 倍率 |
|---|---|---|---|
| 令和8年度 | 579 | 174 | 3.3 |
| 令和7年度 | 607 | 271 | 2.2 |
| 令和6年度 | 637 | 247 | 2.6 |
| 令和5年度 | 700 | 263 | 2.7 |
| 令和4年度 | 736 | 260 | 2.8 |
中学校
中学校:社会
| 採用年度 | 受験者数 | 合格者数 | 倍率 |
|---|---|---|---|
| 令和8年度 | 97 | 21 | 4.6 |
| 令和7年度 | 97 | 11 | 8.8 |
| 令和6年度 | 96 | 15 | 6.4 |
| 令和5年度 | 80 | 14 | 5.7 |
| 令和4年度 | 83 | 16 | 5.2 |
中学校:音楽
| 採用年度 | 受験者数 | 合格者数 | 倍率 |
|---|---|---|---|
| 令和8年度 | 32 | 6 | 5.3 |
| 令和7年度 | 32 | 3 | 10.7 |
| 令和6年度 | 38 | 5 | 7.6 |
| 令和5年度 | 57 | 5 | 11.4 |
| 令和4年度 | 52 | 9 | 5.8 |
中学校:美術
| 採用年度 | 受験者数 | 合格者数 | 倍率 |
|---|---|---|---|
| 令和8年度 | 16 | 5 | 3.2 |
| 令和7年度 | 16 | 6 | 2.7 |
| 令和6年度 | 26 | 3 | 8.7 |
| 令和5年度 | 16 | 6 | 2.7 |
| 令和4年度 | 20 | 7 | 2.9 |
中学校:技術
| 採用年度 | 受験者数 | 合格者数 | 倍率 |
|---|---|---|---|
| 令和8年度 | 8 | 5 | 1.6 |
| 令和7年度 | 11 | 7 | 1.6 |
| 令和6年度 | 7 | 5 | 1.4 |
| 令和5年度 | 4 | 3 | 1.3 |
| 令和4年度 | 3 | 3 | 1.0 |
中学校:家庭
| 採用年度 | 受験者数 | 合格者数 | 倍率 |
|---|---|---|---|
| 令和8年度 | 13 | 2 | 6.5 |
| 令和7年度 | 16 | 4 | 4.0 |
| 令和6年度 | 25 | 7 | 3.6 |
| 令和5年度 | 8 | 1 | 8.0 |
| 令和4年度 | 16 | 1 | 16.0 |
中学校・高等学校共通
中学校・高等学校共通:国語
| 採用年度 | 受験者数 | 合格者数 | 倍率 |
|---|---|---|---|
| 令和8年度 | 65 | 28 | 2.3 |
| 令和7年度 | 80 | 32 | 2.5 |
| 令和6年度 | 77 | 18 | 4.3 |
| 令和5年度 | 68 | 24 | 2.8 |
| 令和4年度 | 73 | 22 | 3.3 |
中学校・高等学校共通:数学
| 採用年度 | 受験者数 | 合格者数 | 倍率 |
|---|---|---|---|
| 令和8年度 | 72 | 16 | 4.5 |
| 令和7年度 | 66 | 16 | 4.1 |
| 令和6年度 | 92 | 11 | 8.4 |
| 令和5年度 | 106 | 24 | 4.4 |
| 令和4年度 | 115 | 30 | 3.8 |
中学校・高等学校共通:理科
| 採用年度 | 受験者数 | 合格者数 | 倍率 |
|---|---|---|---|
| 令和8年度 | 62 | 31 | 2.0 |
| 令和7年度 | 55 | 25 | 2.2 |
| 令和6年度 | 63 | 26 | 2.4 |
| 令和5年度 | 69 | 23 | 3.0 |
| 令和4年度 | 68 | 16 | 4.3 |
中学校・高等学校共通:保健体育
| 採用年度 | 受験者数 | 合格者数 | 倍率 |
|---|---|---|---|
| 令和8年度 | 151 | 16 | 9.4 |
| 令和7年度 | 166 | 12 | 13.8 |
| 令和6年度 | 144 | 19 | 7.6 |
| 令和5年度 | 138 | 16 | 8.6 |
| 令和4年度 | 153 | 14 | 10.9 |
中学校・高等学校共通:英語
| 採用年度 | 受験者数 | 合格者数 | 倍率 |
|---|---|---|---|
| 令和8年度 | 77 | 38 | 2.0 |
| 令和7年度 | 91 | 9 | 10.1 |
| 令和6年度 | 105 | 27 | 3.9 |
| 令和5年度 | 106 | 30 | 3.5 |
| 令和4年度 | 96 | 22 | 4.4 |
高等学校
高等学校:地理歴史
| 採用年度 | 受験者数 | 合格者数 | 倍率 |
|---|---|---|---|
| 令和8年度 | 29 | 5 | 5.8 |
| 令和7年度 | 30 | 3 | 10.0 |
| 令和6年度 | 34 | 5 | 6.8 |
| 令和5年度 | 28 | 3 | 9.3 |
| 令和4年度 | 24 | 3 | 8.0 |
高等学校:工業
| 採用年度 | 受験者数 | 合格者数 | 倍率 |
|---|---|---|---|
| 令和8年度 | 6 | 2 | 3.0 |
| 令和7年度 | 10 | 3 | 3.3 |
| 令和6年度 | 16 | 4 | 4.0 |
| 令和5年度 | 3 | 2 | 1.5 |
| 令和4年度 | 9 | 4 | 2.3 |
高等学校:商業
| 採用年度 | 受験者数 | 合格者数 | 倍率 |
|---|---|---|---|
| 令和8年度 | 12 | 5 | 2.4 |
| 令和7年度 | 7 | 4 | 1.8 |
| 令和6年度 | 5 | 4 | 1.3 |
| 令和5年度 | – | – | – |
| 令和4年度 | 6 | 1 | 6.0 |
高等学校:情報
| 採用年度 | 受験者数 | 合格者数 | 倍率 |
|---|---|---|---|
| 令和8年度 | – | – | – |
| 令和7年度 | – | – | – |
| 令和6年度 | – | – | – |
| 令和5年度 | 13 | 1 | 13.0 |
| 令和4年度 | – | – | – |
高等学校:福祉
| 採用年度 | 受験者数 | 合格者数 | 倍率 |
|---|---|---|---|
| 令和8年度 | – | – | – |
| 令和7年度 | – | – | – |
| 令和6年度 | – | – | – |
| 令和5年度 | 2 | 2 | 1.0 |
| 令和4年度 | – | – | – |
幼稚園教諭
| 採用年度 | 受験者数 | 合格者数 | 倍率 |
|---|---|---|---|
| 令和8年度 | 22 | 5 | 4.4 |
| 令和7年度 | 28 | 8 | 3.5 |
| 令和6年度 | 32 | 4 | 8.0 |
| 令和5年度 | 25 | 1 | 25.0 |
| 令和4年度 | 39 | 3 | 13.0 |
特別支援学校
| 採用年度 | 受験者数 | 合格者数 | 倍率 |
|---|---|---|---|
| 令和8年度 | 77 | 50 | 1.5 |
| 令和7年度 | 73 | 43 | 1.7 |
| 令和6年度 | 80 | 46 | 1.7 |
| 令和5年度 | 60 | 28 | 2.1 |
| 令和4年度 | 65 | 23 | 2.8 |
養護教諭
| 採用年度 | 受験者数 | 合格者数 | 倍率 |
|---|---|---|---|
| 令和8年度 | 110 | 10 | 11.0 |
| 令和7年度 | 132 | 12 | 11.0 |
| 令和6年度 | 133 | 15 | 8.9 |
| 令和5年度 | 122 | 15 | 8.1 |
| 令和4年度 | 132 | 15 | 8.8 |
栄養教諭
| 採用年度 | 受験者数 | 合格者数 | 倍率 |
|---|---|---|---|
| 令和8年度 | 32 | 1 | 32.0 |
| 令和7年度 | 37 | 3 | 12.3 |
| 令和6年度 | 36 | 1 | 36.0 |
| 令和5年度 | 34 | 5 | 6.8 |
| 令和4年度 | 48 | 5 | 9.6 |
今後の動向予測と令和9年度の試験対策
過去のデータと最新の令和8年度の結果から、来年度、令和9年度(2026年実施)名古屋市教員採用試験はどのようになるのでしょうか。
ここでは、今後の動向を予測し、合格に向けた具体的な対策を解説します。
今後の動向予測
令和8年度の結果と近年の傾向を踏まえると、来年度の試験では以下の3つの流れが続くと予測されます。
- ①小学校・特別支援学校の「売り手市場」は継続する
-
全国的な教員不足と特別支援教育の需要拡大を背景に、小学校と特別支援学校の倍率が極端に上がることは考えにくいでしょう。
特に特別支援学校は、専門性が求められる一方で採用数も多く、免許を持っている方や強い関心のある方にとっては、引き続き合格のチャンスが大きい状況が続くと予測されます。
- ②養護・保健体育などの「専門職」は高倍率を維持
-
養護教諭や保健体育は、採用枠が少ない一方で、毎年安定して多くの志願者が集まる人気の職種です。この「狭き門」という状況は来年度も変わらないでしょう。
合格するには、筆記試験で高得点を取ることはもちろん、面接や実技で「他の受験者にはない強み」を明確に示すことが不可欠です。
- ③栄養・技術などの「少数採用教科」は倍率が読めない
-
栄養教諭や技術科のように、採用予定数が1〜数名という教科は、来年度の採用数が1人増減するだけで倍率が大きく変動します。したがって、過去の倍率データは参考程度に留めるべきです。
重要なのは「合格者は必ず出る」という事実です。倍率の数字に惑わされず、自分がそのたった一人の合格者になるための準備を着々と進める必要があります。
令和9年度試験に向けた具体的な対策
上記の動向予測を踏まえ、ご自身の受験する校種・教科に合わせて、以下のような対策を進めていきましょう。
- ①低倍率の校種(小学校・特別支援など)を受験する方へ
-
「倍率が低いから安心」と考えるのは危険です。筆記試験で基準点を確実に超える基礎学力を固めた上で、面接対策に多くの時間を割きましょう。
「なぜ教員なのか」「なぜ名古屋市なのか」という基本的な問いに加え、「インクルーシブ教育をどう実現したいか」「ICTを授業でどう活用するか」といった、現代的な教育課題に対する自分の考えを具体的に語れるように準備することが、他の受験生との差をつける鍵となります。
- ②高倍率の校種(養護・保健体育など)を受験する方へ
-
「筆記で逃げ切る、面接で突き放す」くらいの戦略が必要です。
まずは、専門教養・教職教養ともに満点を目指すつもりで学習し、一次試験で確実に上位通過できる実力をつけましょう。その上で、面接では「〇〇という自分の強みを、名古屋市の子供たちのためにこう活かせる」という再現性のあるアピールが不可欠です。
単なる熱意だけでなく、論理的な自己分析と自治体研究に基づいた説得力のある応答を準備してください。
- ③少数採用の校種(栄養・技術など)を受験する方へ
-
「倍率は気にせず、満点を取る」という意識が最も重要です。
ライバルは他人ではなく、試験問題そのものと考えましょう。筆記試験では誰もが解ける問題を絶対に落とさない完璧さを、面接では「この先生なら一人でも安心して任せられる」と思わせるだけの専門性と人間性を示す必要があります。
採用担当者に「今年はこの人を採用するために採用枠があったんだ」と思わせるくらいの、圧倒的な準備をして臨みましょう。
名古屋市教員採用試験の結果と倍率まとめ
今回は、名古屋市教員採用試験の倍率について、最新の令和8年度のデータから過去17年間の推移、そして校種・教科別の詳細まで詳しく解説しました。
非常に多くの情報をお伝えしましたが、最後にこの記事の最も重要なポイントを振り返っておきましょう。
- 長期的な傾向
-
全体の倍率は、平成28年度の7.4倍をピークに長期的な低下傾向にあり、近年は3倍台で安定している。
- 令和8年度の状況
-
全体の倍率は3.5倍。ただし、特別支援学校(1.5倍)のように門戸が広い校種と、養護教諭(11.0倍)や保健体育(9.4倍)のような高倍率の激戦区との二極化が進んでいる。
- 採用数が少ない教科の注意点
-
栄養教諭のように採用枠が1〜数名の教科は、年度によって倍率が乱高下する。数字に一喜一憂せず、着実に実力をつけることが何よりも大切。
- 今後の対策
-
最も重要なのは、これらの客観的なデータを元に、「いつまでに」「何を」「どれくらい」勉強するのか、具体的な計画を立てて実行に移すこと。
あなたの受験する教科の、現在の立ち位置は確認できたでしょうか?
倍率を知ることは、ゴールまでの距離を測るための第一歩です。この記事で得た情報を、ぜひあなたの合格戦略に活かしてください。
最後に、試験日程や募集要項といった最新かつ正確な情報は、必ず公式サイトで確認する習慣をつけましょう。この記事が、あなたの合格への一助となれば幸いです。頑張ってください、応援しています!
▼名古屋市教員採用試験の内容や対策については、以下の記事でまとめています。あわせて確認してみましょう!
