川崎市教員採用試験(通称:川崎市教採)の小論文について解説します。
- 川崎市教採の小論文は何文字くらいなの?
- 川崎市教採の小論文テーマは?
- 川崎市教採の小論文の模範解答は?
このような悩みや不安をお持ちなのではないでしょうか。
川崎市教採の小論文は、ただテーマに沿って文章をダラダラ書くだけでは評価されないのです。
正しい型や評価ポイントを知らずに対策しても、合格は勝ち取れません。
そこで本記事では、川崎市教員採用試験の小論文について以下の3点を解説します。
- 小論文の概要(試験時間、文字数、評価基準)
- 過去5年分の出題テーマ
- テーマの解説と模範解答例
この記事に書かれていることを実践すれば、あなたの面接への不安は自信に変わりますよ。
▼川崎市教員採用試験の内容や対策方法を以下の記事でまとめています。あわせてご覧ください。
【川崎市教採】小論文試験の内容
川崎市教員採用試験における小論文の内容を簡単に説明します。
小論文Aの内容
小論文Aは、次の特別選考で受験する方を対象に実施されます。
- 正規教員経験者特別選考
- 臨時的任用職員・非常勤講師・一般任期付教員等経験者特別選考
- 社会人・青年海外協力隊員等経験者・資格取得者特別選考
- 英語資格所有者特別選考
概要は次のとおりです。
| 実施日 | 第1次試験 |
|---|---|
| 試験時間 | 60分 |
| 文字数 | 600字以内 |
| 問題数 | 1題 |
| 配点 | 300点満点 |
文字数は制限があり、600字以内で書かなければなりません。
対する試験時間は60分なので、文字数に対する試験時間が極めて短いのが川崎市の特徴です。
評価の観点
| テーマの把握 | ・テーマを深く理解しているか。 ・テーマに関する知識や見識はあるか。 |
|---|---|
| 表現力 | ・わかりやすく適切な表現をしているか。 ・内容に具体性があるか。 |
| 論文の構成 | ・説得力のある構成になっているか。 ・テーマについて自分の考えを述べているか。 |
| 教員としての資質 | ・教員としての適性が感じられるか。 |
最終的に300点満点で評価しますが、著しく評価が低いと即不合格です。
評価が悪くなる理由としては、テーマの把握ができていなかったり、文字数が少ない(625字以下)だったりすることが挙げられます。また、字が汚い(丁寧であればOK)、誤字脱字が多いっていうのもよくないので、注意しながら書きましょう。
小論文Bの内容
小論文Bは、一部の特別選考を除く全校種・教科を対象に実施されます。
概要は次のとおりです。
| 実施日 | 第1次試験 |
|---|---|
| 採点日 | 第2次試験 |
| 試験時間 | 60分 |
| 文字数 | 600字以内 |
| 問題数 | 1題 |
| 配点 | 300点満点 |
特徴は、第1次試験日に実施され、採点は第2次試験に行われることです。
つまり、一次試験の合否には関係ないものの、最終合否には関わってくるため、重点的な対策が必要になります。
評価の観点
| テーマの把握 | ・テーマを深く理解しているか。 ・テーマに関する知識や見識はあるか。 |
|---|---|
| 表現力 | ・わかりやすく適切な表現をしているか。 ・内容に具体性があるか。 |
| 論文の構成 | ・説得力のある構成になっているか。 ・テーマについて自分の考えを述べているか。 |
| 教員としての資質 | ・教員としての適性が感じられるか。 |
最終的に300点満点で評価しますが、著しく評価が低いと即不合格です。
評価が悪くなる理由としては、テーマの把握ができていなかったり、文字数が少ない(625字以下)だったりすることが挙げられます。また、字が汚い(丁寧であればOK)、誤字脱字が多いっていうのもよくないので、注意しながら書きましょう。
【川崎市教採】小論文の過去問
川崎市教員採用試験における小論文の過去問を紹介します。
小論文Aの過去問
ここでは、小論文Aの過去問テーマをまとめています。
令和8年度(2025年実施)
| 小学校 | 川崎市では、「一人ひとりの将来の社会的自立に向け、必要な能力や態度を育てること」をねらい、キャリア在り方生き方教育を進めています。子どもたちが将来、社会的に自立できるようにするためにはどのようなことが大切だと考えますか。また、そのためにどのような取組をしますか。これまでの経験を踏まえ、具体的に600字以内で述べてください。 |
|---|---|
| 中学校 | |
| 高等学校 | |
| 特別支援 | |
| 養護教諭 | 健康相談と保健指導は明確に切り分けられるものではなく、相互に関連して展開されるものです。養護教諭として、健康相談及び保健指導を行うに当たり、どのようなことが大切だと考えますか。また、どのような取組をしますか。600字以内で述べてください |
令和7年度(2024年実施)
| 小学校 | かわさき教育プランでは、一人ひとりの教育的ニーズに適切に対応することが基本政策の一つとして挙げられています。学校として、すべての子どもがいきいきと個性を発揮するためには、どのようなことが大切だと考えますか。また、そのためにどのような取組をしますか。具体的に600字以内で述べてください。 |
|---|---|
| 中学校 | |
| 高等学校 | |
| 特別支援 | |
| 養護教諭 | 特別な配慮を必要とする子どもが多くなっており、特別支援教育において養護教諭にも期待される役割が増してきています。このことについて、養護教諭としてどのようなことが大切だと考えますか。また、どのような取組をしますか。具体的に600字以内で述べてください。 |
令和6年度(2023年実施)
| 小学校 | 不登校の児童生徒数が増加する中「誰一人取り残されない学びの保障に向けた不登校対策」が求められています。このことについて、あなたはどのようなことが大切だと考えますか。また、そのためにどのような取組をしますか。具体的に600字以内で述べてください。 |
|---|---|
| 中学校 | |
| 高等学校 | |
| 特別支援 | |
| 養護教諭 | 近年、児童生徒の健康課題が多様化・複雑化しています。これらの課題について、適切に対応するために養護教諭としてどのような取組をしますか。具体的に600字以内で述べてください。 |
令和5年度(2022年実施)
| 小学校 | 川崎市は令和元年に「SDGs未来都市」に選定され、多くの学校も「かわさきSDGsパートナー」になっています。SDGsについて学校での教育活動の中で、どのように取り組んでいきますか。また児童生徒にどのように指導していきますか。具体的に600字以内で述べてください。 |
|---|---|
| 中学校 | |
| 高等学校 | |
| 特別支援 | |
| 養護教諭 | かわさき教育プランでは、「自主・自立」「共生・協働」を基本目標に掲げています。児童生徒にこの力を育むために大切なことは何ですか。また養護教諭としてどのような取り組みをしますか。具体的に600字以内で述べてください。 |
令和4年度(2021年実施)
| 小学校 | 「かわさきGIGAスクール構想」では、「3つのステップ」で段階的に学びを変容させていきます。このことをふまえて、子どもたちにどのような力をつけることが大切だと考えますか。またどのような取組を行いますか。具体的に600字以内で述べてください。 |
|---|---|
| 中学校 | |
| 高等学校 | |
| 特別支援 | |
| 養護教諭 | 子どもたちが健康で安全な生活を送るために、学校は様々な学校事故の防止に努めることが重要です。このために養護教諭として、どのような取組をしますか。また、学校事故が発生した場合、どのように対応することが重要であると考えますか。具体的に600字以内で述べてください |
小論文Bの過去問
ここでは、小論文Bの過去問テーマをまとめています。
令和8年度(2025年実施)
| 小学校 | 全ての子どもが「わかる、できる、楽しい」と思える授業にするためには、どのようなことが大切だと考えますか。またそのためにどのような取組をしますか。具体的に600字以内で述べてください。 |
|---|---|
| 中学校 | |
| 高等学校 | |
| 特別支援 | |
| 養護教諭 | 令和3年の中央教育審議会では、「令和の日本型学校教育の構築を目指して~全ての子供たちの可能性を引き出す、個別最適な学びと、協働的な学びの実現~(答申)」が出されました。「子供たちの可能性」についてあなたはどのように考えますか。また、その可能性を引き出すために、養護教諭としてどのような取組ができると考えますか。 |
令和7年度(2024年実施)
| 小学校 | 児童生徒が楽しく学校へ通うために「魅力ある授業づくり」を目指していくことが求められます。「魅力ある授業」とは、どのような授業であると考えますか。また、そのような授業の実現に向けて、どのような取組をしますか。具体的に600字以内で述べてください。 |
|---|---|
| 中学校 | |
| 高等学校 | |
| 特別支援 | |
| 養護教諭 | 養護教諭は、その職務の特質から、いじめや児童虐待などの早期発見・早期対応を図ることが期待されています。このことについて、あなたはどのようなことが大切だと考えますか。また、そのために養護教諭としてどのような取組をしますか。具体的に600字以内で述べてください。 |
令和6年度(2023年実施)
| 小学校 | 川崎市の求める教師像に「子どもの話にきちんと耳を傾けることができる」があります。このことについて、あなたはどのようなことが大切だと考えますか。また、そのためにどのような取組をしますか。具体的に600字以内で述べてください。 |
|---|---|
| 中学校 | |
| 高等学校 | |
| 特別支援 | |
| 養護教諭 | 川崎市の求める教師像に「子どもの話にきちんと耳を傾けることができる」があります。このことについて、あなたはどのようなことが大切だと考えますか。また、そのために養護教諭としてどのような取組をしますか。具体的に600字以内で述べてください。 |
令和5年度(2022年実施)
| 小学校 | 全ての児童生徒の個性が生かされ、多様性が尊重される学級にするためには、どのようなことが大切だと考えますか。またそのためにどのような取組をしますか。具体的に600字以内で述べてください。 |
|---|---|
| 中学校 | |
| 高等学校 | |
| 特別支援 | |
| 養護教諭 | 全ての児童生徒の個性が生かされ、多様性が尊重される学校にするためには、どのようなことが大切だと考えますか。またそのために養護教諭としてどのような取組をしますか。具体的に600字以内で述べてください |
令和4年度(2021年実施)
| 小学校 | かわさき教育プランでは、「地域とともにある学校」への転換を進めています。これを実現するためには、どのようなことが大切だと考えますか。またそのためにどのような取組をしますか。具体的に600字以内で述べてください。 |
|---|---|
| 中学校 | |
| 高等学校 | |
| 特別支援 | |
| 養護教諭 | 「かわさき教育プラン」の基本政策の中に、「一人ひとりの教育的ニーズに適切に対応していくこと」が挙げられています。養護教諭として一人ひとりの教育的ニーズに対応するためには、どのようなことが大切だと考えますか。またそのためにどのような取組をしますか。具体的に600字以内で述べてください。 |
▼過去のテーマは以下の記事でもまとめています。
【川崎市教採】小論文の模範解答例
ここでは、令和8年度川崎市教員採用試験の小論文を、どんな構成で書けば合格点がもらえるのか、模範解答例を紹介します。
全ての子どもが「わかる、できる、楽しい」と思える授業にするためには、どのようなことが大切だと考えますか。またそのためにどのような取組をしますか。具体的に600字以内で述べてください。
論文試験・面接試験・実技試験(英語) 課題一覧
テーマの解説
このテーマは、新学習指導要領の基本理念である「主体的・対話的で深い学び」の実現と、誰一人取り残すことのない「個別最適な学び」と「協働的な学び」を、教師としてどのように授業で具現化していくかを問うものです。
- 「わかる」:児童生徒が学習内容を正しく理解し、知識のつながりを実感できる状態を指します。
- 「できる」:理解した知識・技能を活用して課題を解決でき、自己肯定感や有用感を育む状態を指します。
- 「楽しい」:知的好奇心が刺激され、仲間と学ぶ喜びを感じ、主体的に学習に向かう意欲的な状態を指します。
これらの三つの要素は、子供たちの学習意欲の根幹をなすものです。
本テーマでは、多様な個性や背景を持つ全ての子供たちを視野に入れ、一人ひとりの学びを保障するための教育的信念と、それを実現するための具体的な指導方法・実践力が問われています。
文章構成の解説
まず、テーマで問われている「大切なこと」についての自分の考えを明確に述べます。
例えば、「子供一人ひとりの学習状況や興味関心に応じた学習活動を設定し、誰もが主体的に参加できる授業環境を整えること」が大切である、といった結論を最初に示します。
序論で述べた結論を具体化します。
「わかる」「できる」「楽しい」の3つの観点から、それぞれどのような取組を行うかを具体的に記述します。
- 「わかる」ための取組:ICTの活用による視覚的支援、ユニバーサルデザインの視点を取り入れた教材の工夫、児童生徒の思考を促す発問など。
- 「できる」ための取組:課題の難易度を段階的に設定する(スモールステップ)、多様な表現の場を保障する、児童生徒同士の学び合いや教え合いの場面を設定するなど。
- 「楽しい」ための取組:学習内容と実生活との関連付け、グループでの協働的な学習活動、児童生徒の興味関心を引き出す題材設定など。
本論で述べた取組を総括し、それらを通してどのような子供の姿を目指すのか、教師としてどのように貢献していきたいかという抱負を力強く述べます。
模範解答例
全ての子どもが「わかる、できる、楽しい」と感じる授業には、一人ひとりの学習状況や興味に応じた「個別最適な学び」と、多様な考えに触れ学びを深める「協働的な学び」を一体的に充実させることが不可欠だと考える。
そのために、まず「わかる」授業のために、ICTを効果的に活用する。例えば、図や映像資料を提示し、学習内容を視覚的に分かりやすく伝える。また、個々の理解度に応じて課題を選択できるよう、複数のレベルの学習プリントを用意し、誰もが自分のペースで学べる環境を整える。
次に、「できる」実感を促すために、単元の目標をスモールステップで設定し、小さな成功体験を積み重ねられるように支援する。発表やノートへの記述、作品制作など、児童が自分に合った方法で学習の成果を表現できる場を多様に設けることで、自己肯定感を育む。
そして、「楽しい」と感じられるよう、グループでの対話や教え合いの活動を積極的に取り入れる。仲間と協力して課題を解決する中で、学ぶことの楽しさや他者と関わる喜びを実感できるようにしたい。
これらの取組を通して、子供たちの「学びたい」という意欲を引き出す。貴市の一員として、全ての子供が自分の可能性を信じ、輝ける授業づくりに貢献したい。
▼他年度や養護教諭の模範解答例は以下の記事で解説しています。
【川崎市教採】小論文の対策方法5ステップ
川崎市教員採用試験の小論文は、「60分で600字」という非常に厳しい試験です。
ここでは、合格答案を目指すための最も効率的な「5つのステップ」を紹介します。
ステップ①:課題の意図を正確に把握する
まず、出題者が「何を書かせたいか」(題意)を正確につかみましょう 。
課題の把握を誤ると、どんなに立派な文章でも評価されないからです 。
具体的には、過去の出題テーマを分析します。
あわせて「かわさき教育プラン」も読み込みましょう。市が求める教師像を理解することが、的確な合格答案の土台になります。
ステップ②:主題を決め、構成メモを作る
次に、答案の核となる「主題(最も伝えたい結論)」を一つに決めます 。
600字で説得力を持たせるには、論点を絞る必要があるからです 。
試験が始まったら、最初の5〜10分で「序論・本論・結論」の簡単なメモ(構成案)を作ります 。
このメモが、時間内に書ききるための「構成図」になります。いきなり書き始めないようにしてくださいね。
ステップ③:教師の視点で執筆する
構成メモに従い、本文を執筆します 。
この試験は、評論家ではなく「教師としての視点」が求められるからです 。あなたの熱意や人間性も評価対象です 。
本論では、教育実習などの「自分の体験」を具体例として使いましょう。ただし、体験談自体が目的ではないので、簡潔に書くのがコツです。
ステップ④:必ず推敲する
書き終えたら、試験終了までの残り5分で必ず文章を読み返します 。
誤字脱字や原稿用紙の使い方のミスは、減点対象になるからです 。
最低でも、以下の3点はチェックしましょう。
- 誤字、脱字はないか
- 字数は最低8割(480字)以上か
- 課題の意図(題意)からズレていないか
ステップ⑤:第三者の添削を受ける
練習で書いた答案は、必ず第三者に添削してもらいます 。
自分の文章の癖や、独りよがりな考えには気づきにくいものです 。
大学の教授や学校の先生など、教採をよく知る人にお願いするのが理想です。 客観的な視点をもらうことが、合格への一番の近道ですね。
▼小論文の個別コーチングをやっています!ぜひ活用してください。
▼より具体的な書き方は以下の記事をご覧ください。
まとめ|【川崎市教採】小論文で落ちないために
今回は、川崎市教員採用試験における小論文の傾向と過去のテーマをまとめていました。
川崎市教員採用試験の小論文は、やるべきことが想像しているよりも多いです。
過去問を眺めるだけでは、小論文を攻略することはできません。過去問を使って答案を作成し、その上で添削を受けることで徐々に上達します。
小論文で落ちる人ほど、書いたら書きっぱなしってことが多いです。答案を書いて誰にも見せないというのは、問題を解いても答え合わせをしないのと同じなので注意しましょう。
小論文が原因で不合格にならにように、早めに(遅くても試験の3ヶ月前を推奨)準備を始めてください。
もし一人での対策に困ったり、不安を感じたりしたときは、遠慮なく僕を頼ってほしいです。あなたが合格できるよう、全力でサポートします!
▼小論文の個別コーチングは以下の記事をご覧ください。


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